本能のサブタイプ解説にちゃっかり出てきた単語・カウンタータイプ。これは実際にどういう意味があるのか、実はよくわからないという方は結構いらっしゃると思います。
今回は、そんなちょっとした知識を補完する内容です。
本能のサブタイプ(生得本能)
まず、ザックリと本能のサブタイプについて見てみましょう。
エニアグラムでは生得本能(自己保存、ソーシャル、セクシャル)の概念をサブタイプとして採用しており、平たく言えばこれが本能のサブタイプというものです。
生得本能には優位>第2>盲点という順の序列があり、優位であればあるほど強く作用します。
簡単な解説を入れるなら、だいたい以下の通り。
自己保存 =実生活・自分の巣の発展メイン。安全欲求。
ソーシャル=集団生活、組織への所属メイン。所属欲求。
セクシャル=強烈な体験や深い繋がりメイン。自己実現欲求。
本能のサブタイプがよくわからないという方は、まず以下の記事から読み進めてみてください。
基本的にはこれと根源的恐れ、欲求、そして囚われが結びついてエニアグラムタイプが形成されますが、中には本能のサブタイプによってそのタイプらしからぬ行動を重要視するタイプが出てくることもあります。
カウンタータイプとは
それでは本題。カウンタータイプについて見てみましょう。
簡単にザックリ言えば、そのタイプの囚われに逆らうような動きをするタイプのこと。結果として、そのタイプらしからぬ行動をするタイプの人たちでもありますね。

必ずしも「そのタイプらしい行動をしないのがカウンタータイプ ではない」というのがポイントです。
あくまで囚われに逆らうタイプのことをカウンタータイプと呼ぶわけで……
例えばタイプ1なら怒りを抑えようとする気持ちに逆らい、タイプ6なら世の中に対する恐れに逆らう……といった具合ですね。
特にカウンタータイプは囚われに逆行する動きを見せるので、一見すると別のタイプに見えてしまいます。
この辺りがエニアグラムをややこしくしているポイントなのですが……実際にカウンタータイプがどのように囚われに逆らっているのか具体的に見てみましょう。
各タイプのカウンタータイプ
タイプ1:カウンタータイプ ・セクシャル(Sx)
囚われ:怒り
通常のタイプ1ならば、自分が完璧であろうとするために怒りの感情を感じないようにするか、あるいは無意識に押さえ込んでしまいます。
ですが、セクシャルに限っては別。タイプ1のセクシャル優位は、自分よりも親しい人や他人を完璧にしようとしています。自分は完璧かどうかわからない。でも他人は完璧でなければ気が済まない。そんな人たちです。
タイプ1特有の高い理想に他人がそぐわないと思うと普通に怒りますし、よく泣いたり怒ったりする激情家であることも多いです。
必ずしも私利私欲のために怒り散らしているわけではありませんが、もしかすると恐怖対抗型のタイプ6やタイプ8、タイプ4、不健全なタイプ7に見えることもあるかもしれませんね。
タイプ2:カウンタータイプ ・自己保存(Sp)
囚われ:プライド
このタイプ組み合わせの人たちは、「守ってあげる」と言わんばかりのタイプ2特有のプライドはありません。いや、ないように見えると言った方が正解ですね。
タイプ2は「自分は大丈夫」と一方的に人を保護することで他人に取り入りますが、この組み合わせはむしろ逆。保護者ではなく保護される子供のように振舞うことで人々に取り入ろうとしています。
結果として、非常に保護欲をそそるような、親役になりがちなタイプ2とは真逆の性格を見せることもありますね。
人に守ってもらおうとする姿勢もあって、タイプ6やタイプ4に見える人も少なくありません。
タイプ3:カウンタータイプ ・自己保存(Sp)
囚われ:欺き
この手のタイプ3は、見せかけを良くすることにそこまでこだわりません。むしろ求めてるものは安定したシステムと万能感。
完璧な自分を演じることも時にはありますが、それよりも本当に自分が全てコントロールできる完璧な存在になることを目指すので、多くの場合はワーカーホリック気味です。
欲しいものは絶対的なマニュアルと目標達成に至る攻略法。華々しい雰囲気よりはシビアな性格を見せることが多いでしょう。
そのストイックさからタイプ1に見えたり、万能でいたい欲求からタイプ5やタイプ6と勘違いするような人も少なくありませんね。
タイプ4:カウンタータイプ ・自己保存(Sp)
囚われ:嫉妬
タイプ4らしく自分の中に欠乏感を抱えた人たちですが、他人に嫉妬したりひがむのを避ける傾向が強いタイプ4ですね。良くも悪くも、自分で努力して自分にないものを取り入れようとする人たちです。
一方で手に入れたがるものは入手困難か不可能なものが多く、そのために我慢したり不幸な自分に陶酔している一面もありますね。
タイプ4特有のわがままや気取り屋な一面を見せず、何気なく努力を積み重ねる人たちでもあります。
苦労性なのでタイプ1に見えるかもしれませんし、タイプ6だと思われることもあるかもしれません。
タイプ5:カウンタータイプ ・セクシャル(Sx)
囚われ:ため込み
ひとりでいたい、他人にリソースを割きたくないという感覚がどうしてもあるのがタイプ5。ですが、セクシャルに限ってはちょっと違います。
普段はタイプ5をしていても、セクシャルらしく気に入った人との深い関係を求めています。
結果として、タイプ5らしくなくズブズブの関係を築いたり、自分のリソースを気に入った人に全部分け与えようとすることもしばしばですね。
間違えられるとすれば、まずタイプ4。稀に激情家すぎてタイプ6やタイプ8あたりに見える可能性もありますね。
タイプ6:カウンタータイプ ・セクシャル(Sx)
囚われ:恐怖
囚われをわかりやすく逆行するのがこの組み合わせ。本能のサブタイプに造詣がなければ、まずタイプ6だと見抜けないでしょう。
自己イメージは負け知らずの絶対強者。
敵対者は何を用いてでも叩き潰すし競争相手は何をしてでも押し負かす。強烈な自分を演出することで、自分の中の恐怖をかき消しているような、絵に描いたような恐怖対抗型です。
その強すぎるイメージからタイプ8にしか見えない人も大勢います。あるいはタイプ3、タイプ4あたりも間違い候補でしょうか。
タイプ7:カウンタータイプ ・ソーシャル(So)
囚われ:貪欲
タイプ7といえば、快楽や楽しみと言ったポジティブな刺激を集めるだけ集めたい人たちですが、一方で人を押し除けたりして一人勝ちすることで快楽を得ようとする一面が存在します。
そんな一面を極端に嫌うのが、ソーシャル優位のタイプ7。彼らは自分の中にある欲求を悪いものだと考え、それを外に出さないことで周囲との関係を良好なものに保とうとします。結果として、自分があえて貧乏くじを引いたりすることも少なくありません。
欲深なタイプ7が、自分を抑え込むために禁欲と自己犠牲に走る。イメージとしてはそんなところです。
その姿もあって、まずタイプ7には見えないでしょう。タイプ2かタイプ9、あるいはタイプ1あたりに見えることが多そうですね。
タイプ8:カウンタータイプ・ソーシャル(So)
囚われ:欲望
自分の力で何でも自由にやりたい欲の塊のような存在のタイプ8。ですがソーシャルとの組み合わせでは、我欲という面に限って言えば大人しくしていることが多いです。
自分で好き勝手やりたいとは思っていても、多くのリソースを弱者や搾取される人たちに傾けます。
殊更搾取や弱いものいじめには敏感で、誰かが一方的に損する環境を徹底的に排除しようとする善人属性持ちの人たちですね。
ともあれ、この人たちはタイプ8らしく見えないことも少なくありません。タイプ9かタイプ2、あるいはタイプ3辺りに見えることもあるかもしれませんね。
タイプ9:カウンタータイプ ・ソーシャル(So)
囚われ:怠惰
遊離型で万事に対して受動的なタイプ9かと思いきや、ソーシャルとの組み合わせだけは意外とそうとも言い切れません。
むしろ彼らは積極的に集まりや集団に参加して、他者をよく気にかけます。その積極性や一生懸命さからは、もはやタイプ9の面影は見られないでしょう。
一方で、時に過剰なまでに周囲に働きかける姿が見られることも……。
そんな周囲に一生懸命な姿勢もあって、タイプ2やタイプ3に見えることが多いと言えるでしょう。そもそもタイプ9はどのタイプにも染まるので、断定が難しいわけですが……
まとめ
カウンタータイプは自らの性質に逆行して行動する人たち。必然的にストレスを強く抱えていそうですね。
囚われに逆行するということで、どのタイプも通常のタイプとは思えない行動をとります。この辺りが、エニアグラムのタイプ判定を難しくしている要因です。
とはいえ、実際に自分の欲求や性質を封印している人がいるのもまた確か。そういった人たちがいるのも、エニアグラムの面白さと言えるかもしれませんね。
筆者:春眠ねむむ
X :@nemukedesiniso
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