【ユング心理学】内向的感覚型とは

ユング心理学
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今回はユング心理学より、内向的感覚型について軽くまとめてみようと思います。

ガチ記事と異なり、こちらは比較的さっくりを目標にやっていければと考えています。

私なりのガチ考察が見たいという方は以下のページをご覧ください。

内向的感覚型のあり方

このタイプを語るにあたっては、ユング曰く「もっともわかりやすいのは芸術作品・風景画」と評しています。

で何人かの画家が全く同じ景色を忠実に再現するように努力して描いたとしても、でき上がった絵画はそれぞれ異なっており、それは単に腕前の良し悪しによるものだけではなく、面として異なった見方をした結果であり、それどころかいくつかの絵画には色や形の雰囲気や動きに心的な相違がはっきりと現れているであろう。

内向的感覚を端的に表すと、目の前で起きたこと、五感で感じ取ったことを自らの形で描き残す風景画に近いです。

目の前で起こったことを重視する。そこまでは外向的感覚型とほとんど変わりません。

では外向的感覚と何が違うのか。

まず外向的感覚型は、目の前の映像を、手を加えずそのままの形で保存します。さながら、実像をそのまま映し出す写真のようなものです。

一方内向的感覚型が映し出すものは、自分の感じたことや心情といった自分の中にあるフィルターを通して見た事実やデータ。内向直観型にも同じことが言えますが、彼らが示すものは決して外部情報そのままではないのです。

このタイプの人たちは、五感を通して得た感覚と同時に自分の心も結論に反映させます。というより、無意識的にそうします。

あかつき
あかつき

ユング曰く「支離滅裂で恣意的なもののように思えることもある」とかなんとか。

え、この発言がそもそも恣意的?なんのことでしょう?

感覚ではなくそこから自分がどう思ったか、どう考えたかも含めて無意識的に発現させる。そのため、どうしても外部から見ると結構難解に感じることもあるかもしれません。

このタイプは一見すると鈍感で何を考えているかわからないように感じられる人なので、その感性や感覚に気付けない人はとことん気付けません。

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なぜか芸術家として取り沙汰されるタイプ

さて、そんな感じで、自分の中にある感覚や注釈を加えて自分流の事実や事の詳細を突き詰めていく内向的感覚タイプ。どういうわけか、ユング当人始め多くの書籍では、彼らの芸術家肌というかなかなか変わった側面が取り沙汰されていることが多いです。

とりわけ多いのは画家ですね。

先ほどのユングの言然り、他の書籍然り、大体の場所で「風景画」「芸術的センスに秀でる」みたいなことが書かれています。

で、ここで気になるのが、芸術的センスを持たない内向的感覚たち。彼らは一体どうやって存在しているのでしょう?

当然、ユングもその辺はしっかり言及していますね。

あかつき
あかつき

そらそうやろ。画家としての生き方しか書かれていなかったら、それはもうどんな偉人が記したものでも欠陥です

とはいえ、その内容はあまり明るい話ではないですね。かいつまんで記載しておきましょう。

芸術家的な表現能力がない場合には、自身の内にある思いは意識的に外部へ放出するのが困難になる。

そもそもこのタイプの補助である感情や思考は相対的に見れば無意識的であり、例え意識的にその思いを形にしたところで平凡な形に落ち着く。

よって稚拙で原始的な表現方法しか持ち得ない。

自分でも自分がわからないし、他人目線からの理解はもっと難しくなる。


おおよそこんな感じでしょうか。雑にまとめるなら、「作品や形に残るものにありったけの思いをぶつけましょう」ということですね。

愚鈍に見える?

このタイプの人たちは、常に自分というフィルターを通して目の前のことを認識しています。そのため、外向的感覚型などと比べるとどうしても反応がワンテンポ遅れてしまうところがあるようですね。

とある書籍では明白に「とてもゆっくりといった印象を与える」「朝冗談を言えば真夜中に笑い出す」といった書き方がなされていますね。まあユングのタイプ論という本なのですが。

あかつき
あかつき

そのせいで愚鈍に見える、か。河合隼雄氏がこのタイプを「生きづらい」と表現しましたが、なるほど確かに生きづらいわ。

でもこのタイプって特に日本では多数派のような……あっ(察し)

もっとも、彼らが本当に愚鈍でとろくさいわけではありません。むしろ頭の中は高速で回っています。

ですがその進行度合いや反応は、あくまで内向きのもの。外からは見えません。

そのため、どうしても「無反応」「何を考えているかわからない」、場合によっては「愚鈍」と思われてしまうわけですね。

また、可能な限り中立中庸を保とうとする一面もあるようです。例えば高いものがあれば低め、逆に低いものがあれば高める……といった具合でしょうか。

この中立をよしとする一面も、場合によっては「風見鶏的」「意見を持たない愚か者」と判別される要因になっているのかもしれません。

また当人たちのそんな性質もあってか、ユングは「無害なこのタイプは他人の攻撃や支配欲の餌食になりやすい」と述べていますね。

劣等機能:外向的直観

さて、そんな彼らの劣等機能は外向的直観です。これが彼らの描く絵を「風景画」「心象画」にとどめ、ファンタジー世界の話やピカソじみたカオスなものを作りにくい要因ですね。

ユングは内向的感覚に頼りすぎた彼らに起こる現象を以下のように語っています。

彼は神話世界に住んでいるのであり、ここでは人間・動物・鉄道・家・川・山が彼の眼には一部は恵み深い神々に見え、一部は悪意をもった悪霊に見えるのである。

ある意味、幻想的な景色ですね。ですがここにあるのは実際にある景色と、自分がどう感じたかの2つだけ。一見外向的直観のように見えるという方もいらっしゃるかもしれませんが、その要素はかけらもありません。

彼らは基本的に見えるものだけを見ており、事実のみを切り取って自分にどういう影響を与えたかを覚えているだけ。先の可能性とか将来有望株などを見ることはまずないのです。

あかつき
あかつき

今と過去はしばしば見ます。なぜなら目の前にある、ないしあったことだから。ですが可能性は目の前にはありません。だからこのタイプはそういうのをあまり見ようとしないんですよね

ユング曰く、「彼らに未来も将来の可能性もない。彼らが存在しているのは”今ここ”であり、その前には鉄のカーテンがそびえるのだ」。

要するに未来の可能性とか将来のこととか、そういうのは基本的に信じるに値しないもの。それよりも事実目の前にあるもの、あったものを大事にしたい。そんな感じの人たちです。

直観の抑圧の末

押さえつけすぎたものが逆流するように、直観も軽視し過ぎればそのうち牙を剥きます。

その出方は、多くは「否定的な未来の可能性」という感じですね。

例えばあらゆるものが不吉な予兆に見えるとか、極端な話テレビやネットの星座占いに過剰反応して「今日死ぬんだ!」とありもしない可能性に怯えたり……。

こう書けば、おおよそまともな精神状態ではないのが窺い知れます。

元々外向的直観の人たちは主に「こいつは伸びる」とか「この仕事は将来儲かる」みたいな先見の明というか独特の嗅覚を持つのですが、内向的直観タイプのそれはネガティブなものばかり、それも荒唐無稽な邪推がメインです。

未来を見てこなかったが故に未来に怯えるに至った、ということなのでしょうか。

あかつき
あかつき

ちなみに「外向的直観だから外部のもの(自分よりも目の前にあるもの)の先行きが見えたような気がする」という言説もありますね

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所感・個人的に思う内向的感覚型

正直言って、過去一でまとめるのに苦労しました。というのも、彼らが見ている内界風景が複雑すぎます。

彼らは外向的感覚型と同じく今この瞬間と目の前の事実を大事にしますが、このタイプはそこで感じたことや思ったことという注釈が必ずつきます。

要するに、あったこと+自分が感じたことなんですよね。これが彼らという存在や考え方を難しくしている要因と言えます。

さて、愚痴はほどほどに……。

このタイプが見ているのは、先述の通りあったこと+自分の所感です。そのため、ただ写実するだけの外向的感覚型と違って、ちょっとした解釈違いやそのまんまとの齟齬が生じて、それがいいアクセントになってひとつの「感想」という作品が出来上がります。

この感想、本当に”作品”なんですよね。その時の感覚をいつまでも大事にしまっておけるので、気が向いたり必要を感じたらいつでも取り出せます。ここが、MBTIにおけるSiにつながる箇所なのかなと。

一方、このタイプが最も苦手とするのは未来を見ること。下手をすると外向的感覚型以上に忌避感を覚えるかもしれません。

先述の通りユングは未来と今の間にある壁を「鉄のカーテン」と評しています。要するに、それだけ絶対的な壁で仕切られた空間なのです。

なんというか未来アレルギー?みたいなところがあり、未来の可能性や将来のことを話すと「あり得ない」「夢見すぎ」と、いの一番に判別するのはこのタイプなのかなと。

そんな彼らも不健全になれば最終的に未来の可能性(特にダメな方)を見始めるのも面白いなと。日本人には悲観主義者が多いという話をたまに聞きますが、この辺が関係あるんでしょうか?

ともあれ、知れば知るほど味があるタイプなのは間違いありません。

ネットでは愚か者のように語られることも少なくないタイプですが、真面目に調べればそんなこと全然ありません。考える方向性が違うだけでめちゃくちゃ思慮深いです。

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まとめ

というわけで、今回は内向的感覚型についてまとめてみました。

正直誰もが画家と表現するのはちょっと笑いましたが、実際、そんな彼らだからこそ親しみやすい程よい絵画が描けるのかなと。

自分が感じたことにはどこまでも正直な人なので、あらゆるものの評論・批評をさせれば右に出る者はいない……かも?

といったところで、今回はここまでですね。他にも色々と心理機能について記事を上げてますので、興味がおありでしたらぜひそちらもご覧ください。

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