【ユング心理学】外向的感覚型とは

ユング心理学
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今回はユング心理学より、外向的感覚型について軽くまとめてみようと思います。

ガチ記事と異なり、こちらは比較的さっくりを目標にやっていければと考えています。

私なりのガチ考察が見たいという方は以下のページをご覧ください。

外向的感覚のあり方

一言で表すと、THE・現実主義。ユングも「現実主義にかけては外向的感覚にかなうものはない」と断言しています。というかどの本でも現実主義者であることは触れられていますね。

非常に発達した感覚機能を用いて、この世のいろんなものにガンガン関わっていく。そんな感じの人たちです。

五感を通じてあらゆる刺激を感じ取り、その刺激と興奮を欲して今この瞬間を生きる真性の刺激好き。これがひどくなると刺激中毒者になる可能性もあります。

特に感覚機能が優越で合理的機能(いわゆる判断機能)を抑制するようになると、五感完全に解放状態。より強い刺激を求めて生きていくようになります。

刺激とはすなわち人生の活力。非常にエキサイティングな刺激とおもしろなことです。

感覚機能が合理的機能によって統御されているうちはこういった刺激はいい経験になり経験値も貯まっていくのですが、あまりに強烈すぎると、その経験を次の刺激のための足がかりにしか使わない人になってしまう可能性があります。

あかつき
あかつき

割と重要な心理機能です。実生活はもちろん、物事のチャンスやヤバそうなものをしっかり嗅ぎ分けるには、この外向的感覚は不可欠です。

でも行き過ぎるとダメですね。もはや野獣です

五感の発達によってセンスもあり、上質な耽美主義者になることもあります。

あるいは「飯、飯、飯!!」みたいにその場の勢いで生きる陽気な兄ちゃん姉ちゃんになるかもしれません。

どう転んでも面白い人ですね。なかなか愉快な人物像を帯びてきます。勢いはすごいですが。

今この瞬間を切り取る享楽主義者

五感に生きるということは、それだけ「物の味や見た景色を覚えている」ということにもつながります。

これはユングの言とは違いますが、とある書籍では「高性能カメラを携えているよう」と評していますね。

まさにそんな感じの人たちで、実際、「どこの何某はどういった色の服を着ていて、どういう帽子をかぶって、それでアクセサリーは……」といった具合に、他の心理機能と比べて瞬間的に得られる視覚情報は明らかに膨大です。

また、入った店の料理の味も覚えて後で他人を案内することも、経験をしっかり積むタイプの外向的感覚ならば簡単にやってのけるでしょう。

このように、今この瞬間を切り取ることにかけては右に出るものはいません

基本的に享楽を是とする彼らですが、その目はいつもこの瞬間を見つめています。

この瞬間瞬間を生きるからこそ今この場の状況を覚えていられる。そんな感じです。

あかつき
あかつき

おとなしくてもおどおどしてても観察眼と行動力だけは大体みんなありますね。

「なんなんだこいつは」と思わせるくらいよく見るし動く人たちです

また、彼らの享楽主義は今この瞬間を重視するからこそ。今この瞬間を大事にするからこそ質素にまずい飯を食うよりはおいしいものを食べたがりますし、地味な服よりはハイセンスな服装を好みます。

いい買い物をしたいしいいものは欲しいし、いい暮らしをしたい。

そんな感じに生きるのもまた、今この瞬間を切り取っているからこそなのかもしれません。

粗野な享楽主義者

「下卑なものになると粗野な享楽主義者になる」とは、ユング心理学を研究している河合隼雄氏の言。

実際、これはユングの言葉でも以下のようにしっかりと書かれていますね。

感覚の主体が感覚の陰に隠れてしまうと、それにつれてこのタイプは好ましくない存在となる。彼らは野卑な享楽家、あるいはあたりかまわぬ過飾の耽美主義者となる。

基本的に享楽すなわち刺激を求める彼らですが、それが行き過ぎて下卑化しはじめると、もはや楽しければ何でもアリな様相を呈してきます。

基本的に周囲に好感を与えて、さらに上質な人柄となると独自の美学・道徳心まで感覚機能を昇華させている人もいますが、ダメになればとことん快楽のみを追求する野生児じみた性格になっていくわけです。

基本的に動機は「少しでも感覚に刺激を得たい」「快楽を得たい」。そのため非常に明るくユーモラスな人が多いのですが、その願いが何かの間違いで野蛮じみた形で叶えられようとすることもあるわけですね。

あかつき
あかつき

過食とか散財とか、場合によっては異性を「刺激を受けるためだけの道具」として扱ったり他人を踏み台にしていい思いをしようとしたりしますね。しかも大体その願いは叶っちゃうんだよなぁ……

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劣等機能:内向的直観

直感に優れる彼らですが、直観、とりわけ内向的直観に関しては成長するまではからっきしです。

というか純粋に見下していますね。自分の中にある内向的直観を「病的」「忌まわしい」とすら思っており、そんなことより現実の楽しさに触れていたいと考えています。

以前どこかで言った「本当に思慮深い奴はまず行動する」と言い放った人からわかる通り、このタイプにとって思慮深さとは迷信じみた邪魔な存在でしかないのです。

あかつき
あかつき

彼らにとって真実や真相とは、自分が見たそのまんまなわけです。

そうだね、野生的だね!

彼らも考えたり何らかの思いを感じる時はありますが、ひどくなるとそれらは刺激や客体からくる影響(主に楽しい気持ち)に還元してしまい、そのせいでどれだけロジックが崩れようと意に介すことがありません。

要するに自分の経験やその場の刺激、その瞬間で思ったことでしか物を語れない人になってしまうわけですね。後々矛盾が生じても、暴力でねじ伏せることすらあります。

いついかなる時でも現実、すなわち刺激や快楽に触れていたい。今この瞬間だけを見ていたい。そんな人たちと言えるでしょう。

直観の抑圧の末

基本的に今この瞬間と見たまんま感じたまんまを本質と思い、現実に即して行動する外向的感覚タイプ。

ですがそれが行き過ぎると、先述の通り刺激にひたすら触れていたいだけの享楽主義者となり、ますます直観機能を無視するようになります。

それが進行すればするほど、現実にあるもの、自分が把握できるものしか見えなくなり、それ以外をあからさまに否定するようになっていきます。

ユングは例え話として、「心因性の症候があっても彼はためらわず低気圧のせいにし、心的葛藤を指摘しても病的な空想として一笑に付される」としていますね。

このような状態が続くと、最終的に抑えつけられていた内向的直観が逆流して爆発してしまいます。

こうなると、言葉では説明できないおかしな憶測や迷信を信じ込むという形で内向的直観が現出します。

例えば変な宗教にハマってしまうとか、唐突に何かの呪術を他人にかけようとするとか、あるいは被害妄想、嫉妬妄想、謂れもない不安感……色んな症状が出始めるでしょう。

あかつき
あかつき

唐突に予知能力(という思い込み)や神がかり的な才能(という思い込み)があるように感じる人もいるとかなんとか

これらは傍目から見ると、現出する何もかもを無差別に視認しては発狂ないし過剰反応を繰り返す珍妙な人だったり、唐突に自分のあるかどうかもわからない特別な才能をひけらかす人だったりするわけです。

こうなってしまったら沈静化にはコツが必要らしく、ユングは「感情を揺さぶる強制的手段が必要となることさえしばしば」と語っています。

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所感・個人的に思う外向的感覚型

個人的に強く思うのは、「今この瞬間を切り取る享楽家だなぁ」と。やはりどこまで行っても今を切り取っているだけであり、それだけに鋭敏で非常に質の高いものが仕上がるという感じでしょうか。

やってることは単純です。憶測も個人的な意見も抜きにして、今この瞬間をじっと見つめる。

単純ですが、これがなかなか難しい。簡単にできないぶん、このタイプの神がかり的な観察眼が光りますね。

ユングは「魂がないようにも見える」と言っていましたが、実際無機質で動物的でありながらも一番「生きている」のもこのタイプなのかなと。

というのも、非常に脈動を感じるというか、生命力に満ち溢れているというか……何というか実に生命を感じます。

そう考えると、やはり彼らも生きている人間なのかなと思います。

また、この瞬間を生きているからこその享楽主義者という気もちょっとしますね。

「人生先のことはわからない。だからこそ今を生きよう」みたいな思いを感じるのは、私だけでしょうか?

今この瞬間にフルスロットル。だからこその快楽主義、享楽主義。だからこそ底抜けにポジティブ。だからこ懲りないし諦めも知らない。

全てはこの瞬間だけを生きているからこそなのかなと。今この瞬間瞬間をただただ生きているからこそ、自分の全てを今にぶつける。まさに単純にしてエネルギッシュな生き方ですね。

一方で、不健全化すると唐突に「誰かに操られている」とか「きっとあいつの呪いに違いない」みたいに内向的直観が暴走を始めるのも興味深いです。

これらが起こるのは現実を見すぎた反動とのことですが、やはりこれまで見なかったものが本能的に気になるのでしょうか?

どうやら暴走した内向的直観はかなり厄介なようで、ユングも「場合によっては心を大きく揺さぶる必要あり」と言っていますね。この状態、実は相当危険なのかもしれません。

一方で「錯乱していてもふと我に立ち返った」という話もありますし、さて、どれを信じれば良いやら……。

とにかく超現実主義的で常に今この瞬間を見ている外向的感覚タイプ。彼らが未来を語り始めたときはすでに危ない状態にあると言ってもいいのかもしれません。

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まとめ

というわけで、今回は外向的感覚型についてまとめてみました。

正直言って、今の世の中、下手するとどんな状況でも一番得する心理機能なのではと考えてしまいます。やはり行動と全集中は大事ということなのでしょうか?

このタイプの有用性については、もはや語るまでもないでしょう。深い洞察が必要な分野以外では、大方役に立つはずです。

といったところで、今回はここまでですね。他にもいろんな心理機能について語っていますので、そちらもご覧いただけますと幸いです。

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