日本人の大半はエニアグラムのタイプ6とされています。データによっては、6割がそうだとか。そんなに多いのかは神のみぞ知るといったところですが。
まあ自認や簡易診断の結果はこの限りではありませんが……私個人が見ていても、周囲の人はタイプ6か、違ってもウィングやトライタイプ等でその素養を強く持った方が多い印象が強いです。

なんかみんなタイプ6のこと嫌ってません?避けられてるというか、「自分はこんな奴じゃない」という意思表明というか、そういうのも結構見かけますね。
同族嫌悪なのか、それとも誤解なのか……
今回は、そんな割を食ってそうなタイプ6のことをちょっと復習していきましょう。
タイプ6の真面目な解説は以下のリンクから。
タイプ6の日本人要素
とりあえず、タイプ6と日本人”らしさ”が合致しないことには、本記事で何を話しても空論でしょう。
というわけで、日本人にありがちな要素とタイプ6の要素を重ねて見ていくことにしましょう。
正義や秩序への意識が高い
まずひとつ言えるのは、どちらも正義や秩序に対して圧倒的な意識の高さがあります。
もっとも、この特徴に関してはタイプ1もそうなのですが……正義に反する人がいた場合にタイプ1が「是正してやる」と教育者魂を燃やしやすいのに対し、タイプ6は間違った相手を悪だと断定しがちなのが特徴ですね。
タイプ1にとって善や正義とは、誰しもが従うべき崇高な存在。
それに対してタイプ6にとっての正義や秩序は落伍者や脱落者が出ないか全体を見張るための装置であり、同時に自分も正義や秩序に見張られているような感覚を持つことがあります。
日本人も秩序や正義に対しての関心が高く、それゆえに人に親切にしたりルールを遵守する傾向が見られます。
また、これが悪い面に出るとルールや正解から逸脱した人を攻撃する傾向につながることも……
ルールや正義が煩わしくもある
ルールや正義には従います。でも、時々それが煩わしくなったり、なんだか窮屈に思えたり……というのも、タイプ6と日本人の共通認識ですね。
見張られている気がするから、あるいは破ればどうなるかわかったものではないから、あるいはそれが正しいからと、そんな感じの理由で、日本人はとにかくルールをよく遵守します。
ですが、あまりきっちり堅苦しく守っていても、正直しんどいですよね。率直に言えば窮屈です。
なので、タイプ6も典型的日本人も、非常に行儀がよくルールや正しさを遵守しますが、内心ではしんどいと感じることは多いでしょう。

だからガス抜きや純粋な正義感、「ずるい」って怒りの発散も兼ねて、ルールや正義から外れた人を激しく攻撃したがる。
人のサガですねぇ……
たまにあえて反抗的な人が出てくる
ルールや正義を意識する。これが日本人とタイプ6の特徴なのですが、時折妙に反抗的な人が出てきます。
秩序に反する不良少年やヤンキーの類なんてものは万国共通ですが……日本人のそれはルールに逆らうことを目的としていたり、ルールに従って窮屈な思いをするのに疲れた人が多いですね。
あるいは、「みんなが信じるルールとやらを破ることにより無敵感を覚える」みたいな人もいます。
どちらにせよ、ルールに疑いを持ち、それゆえに反抗する傾向もまた否定できません。
異なる存在に批判的
どちらも仲間思いなのはいい事なのですが、時として敵味方をくっきり区分けし、異なる存在を敵に分類することがあります。
「日本人は議論が苦手」とはよく言いますが、まさに異なる意見を敵と認識してしまうところから来ています。
敵視されるので下手に反対意見を述べられず、議論にならないわけですね。
そしてこれは、価値観にも通じます。
例えばスポーツチームAとBがあったとして、互いにライバル関係にあったとしましょう。
この場合、まずAのファンとBのファンの仲は最悪になりやすいです。というか大概は険悪です。
このように自分と異なる存在には反発的になりやすく、下手をすると反撃や防衛と称して先制攻撃を始めてしまうこともあるのです。
個人戦よりチームプレイが得意
逆張りタイプはまた様相が違ってきますが、テンプレのタイプ6はチーム戦が得意。ここも、日本人と共通する特徴でしょう。
これは「団結力がある」「仲間に優しい」とかそういう話よりも、「自分の領分を責任を持って完遂する」「出過ぎた行動を嫌う」という点がそうさせています。
正直、日本人が優しいとは限りません。むしろ弱者に対しては厳しい目で見ている人も多いでしょう。
ですが、自分に与えられた役目はきちんとこなそうとする人は多いです。ある意味で言えば、役割や責務に非常に忠実な。優れた駒と言えるでしょう。
逆に越権行為や怒られそうな行いは、ルールや正義に反するとして忌避する傾向もありますね。
こうやってそれぞれが自分の領分の中で、自分に与えられた権限や役割に忠実に動き、それぞれでリレー方式にタスクを回していく。これが得意な点が、日本人やタイプ6の美徳とされています。
将来とか老後という言葉に弱い
おおよそどちらも「将来とかクソほどどうでもいいから今を楽しく全力で生きる」と割り切ったりとか、「貯金を全部使い切って楽しく豪遊してから死ぬ」と思い切ってみたりといった行動や思考回路とはかけ離れています。
おおよそ頭脳は未来や万一に向いており、その不安を払拭する方法に興味を示したり不安を増長させるような発言に不安を覚える人が目立ちますね。
例えば有名なのは、「将来の万一や老後のために貯金しよう」とか「老後の生活のためには2000万円必要」、「ガンは将来2分の1の確率で発病する」みたいな文言でしょうか。
もっとも、将来や老後をあえて考えないように振る舞う人も中にはいますが(特に6w7)、大抵は不安症と言ってもいいくらいに色々考えています。
それがいい方向に向かえば思わぬ落とし穴や人の悪意に敏感に気づくファインプレーにつながりますが、悪い方向に向かえばあれもこれも不安がって精神的が不安定になったり、いいことを思いついても行動に移せなくなったりします。
ルールや常識の「何故」よりも「何」が気になる
ルールの生い立ちやなぜできたのかは別に今すぐ知らなくていい。でもルールや規則が厳密にどういうものなのか、どういう定義なのかがとにかく気になる。これも、日本人の特徴としてあると思います。
物事の決まりだったり常識だったり規則というものが目の前に現れると、何よりもまず「どこまでがセーフでどこからがアウトなのか」「そのルールの範疇で何ができるのか」といった外殻を知ろうとします。
当然、それで黙ってルールに従うかどうかはまた別の話です(中には思考停止して従う人もいますが)。
まずはそのルールの外殻や何が規制されるのかを知ることで、そのルールが「何」なのかを知ろうとします。

まずはルールが自分たちにどんなメリットとデメリットを与えるか吟味して、自分や周囲の権益に影響を与えないか知りたいんじゃないですかね(推測)
たまに「日本人はルールを作るのが好きだが、そのルールの存在意義を語ることを嫌う」と言われていますね。その理由が、まさに「意義より外殻や定義に興味を持つ」という特徴に隠されているのではないでしょうか。
腰が重く慎重で保守的
どちらも失敗を何より恐れている点があるのは否めないでしょう。その結果、慎重で無理や無茶な変革を好まない保守的な性格となり得ます。
保守的と言えば何だか悪いものに聞こえますが、必ずしもそうとは限りません。
既存の知識や体制を有効活用することで、結果として脱落者を減らすことにもつながります。
保守的な価値観は何よりわかりやすいし多くの人が馴染みやすいので、非常に受け入れられやすいし労力も少なくてすみます。
個人的な意見ですが……改革にこそ多少の保守精神は必要で、それが欠ければ次々と人をふるい落としていく危険な制度が完成しやすい危険性がついて回ることになるでしょう。

まあ「保守的=悪」という価値観が幅を利かせつつあるのも、日本人らしいと言えばらしいのかもしれませんけどね。誰にそそのかされたやら
もっとも、昔からあるものを簡単に変えられない性質なのは、時として物事の停滞を招きます。この点が弱点になることも少なくありませんが……
ギャンブルしない堅実さがウリ
どちらも保守的な考えの人が多いですが、その恩恵の一つが堅実さですね。
テンプレの日本人もタイプ6も、余程のことがない限りは無難で堅実な方法を好みます。
それこそギャンブルや株式投資でドカッと稼ぐよりも貯金、起業なんて身の丈に合わないことをするよりサラリーマンとして地道に生きていく……といったな感じでしょうか。

最近は価値観が変わりつつありますがね。
ああいうのは大抵胡散臭い顔をした自称成功者の一部タイプ3がタイプ6をたぶらかし……いや、何でもありません
人によっては地味で面白味がないと思うかもしれませんが、確実性や絶対性をどこまでも追求することで得られる安定感は間違いなく誇るべき長所でしょう。
何だかんだ仲間思い
ここまで何だかんだ言ってきましたが、ルールに従おうが反発しようが仲間のことは大事にします。
常識や正義やルールという厳しい条件を周囲に叩きつけますが、それをクリアしている上で同じ目線に立って親身にしてくれる人は、連帯意識のもと仲間として扱います。
タイプ6もも日本人も不安がりで、周囲への疑念や敵意がどこで爆発するかは謎ですが、信用しているうちは相手のことを本気で大事にします。
どちらも人を簡単に信用しませんが、相手が誰であっても、厳しい条件をクリアして仲間として認められれば非常に大事にするでしょう。
その根底にあるのは「不安」「恐れ」
タイプ6の囚われであり性格の根幹をなすものが「恐れ」。
まあ当人たちにそんな事実を突きつけても「そんなことはない!」と怒ってしまうことがあり、これもタイプ6が自分をタイプ6だと頑なに認めない理由になるのですが……この話は置いておきましょう。
例えば先ほどまで挙げたタイプ6と日本人の共通の特徴を不安と絡めて説明すると、
- 自分が悪者になったり孤立することを恐れ、正義や常識、規範を意識する
- 同時に正義や常識、規範およびそれに盲従することを恐れ、勇敢にルールに立ち向かう
- 将来や老後、未来を恐れるために、自分の将来や未来を担保してくれるものを欲しがったり、確実で堅実な手法を求める
- 仲間外れや孤立、敵からの攻撃を恐れるからこそ、仲間の大切さをしっかりと理解し、仲間を大事にできる
こんな感じでしょうか。
「タイプ6は恐れや不安、そしてそれを打ち破ってくれる存在を求める気持ちに突き動かされる」と言えば聞こえが悪いですが、聞こえが悪いのはエニアグラムのどのタイプも共通です。

タイプ1は身勝手で独善的な理想に突き動かされ、
タイプ2は見捨てられ不安から生じた支配欲に突き動かされ、
タイプ3は虚栄心と自己顕示欲から自分の一人勝ちを狙い、
タイプ4は思い込みと自己陶酔をやめられず周囲に役割ばかりを求め、
タイプ5は臆病さと小さなプライドから引きこもり、
タイプ7は自分勝手な要望と満たされたい思いから不義理を働き、
タイプ8は周囲への不信感から生じた薄っぺらな無敵感に突き動かされ、
タイプ9は何も問題が起こらない平和な世界を夢見てあらゆるものから目を逸らす。
タイプ6だけがぶっちぎりでダサいわけではないのは忘れないでください
長所もしっかりある
どうしても身近な存在ほど悪い点が目立ったり同族嫌悪だったり様々な理由から悪く言われがちなタイプ6や典型的日本人ですが……短所の裏にも長所が潜んでいるのを忘れないでください。
要するにただ批判するだけだったり「自分は違う」と相違点を血眼になって探すのではなく、まずはタイプ6や典型的日本人のよさに目を向けてみましょう。
タイプ6、日本人。その多くは不義理・不道徳とはほど遠く、正直に善良に生きようと日々努力しています。
時に不安感から押しつぶされそうになったり神経質で攻撃的になることもありますが、あれもそれだけ先々の問題や懸念について真剣に考えている証と言えます。
タイプ6も日本人も不安症ですが、その不安症ゆえに普通では考えつかないデメリットを発見したり、万一に対して万全の備えができるのも事実です。
その仲間や信じたものへの忠誠心や忠実さは目を見張るものがあり、まさに実行部隊としてこれほどに心強い点はないでしょう。
このように、良い点は探せばいくらでも見つかるものです。
これは私の持論ですが、短所を苦慮したり馬鹿にするより、長所を生かす方法を考える方がはるかに効率的です。
何より今回の話に限って言えば、「タイプ6だから悪い」「典型的日本人だからダメだ」と否定ばかりしていては、おそらく集団単位、世間単位で腐敗し、不健全になっていくことでしょう。
短所を否定しあげつらうことも、短所ばかり気にして自分をダメだと思うことも、大抵の場合は何も生みません。
それよりもよさに目を向け、長所を最大限活かすよう建設的な見方をした方が、間違いなく良い結果を生むはずです。

ちなみに長所を生かすために短所を伸ばす必要も、時として存在するという。
必死に生きるって大変ですね(笑)
まとめ
なんだか何を言いたいのか分からなくなってきましたが……要するに「タイプ6も日本人も捨てたものではない」ということです。
特徴には長所と短所の両方があると言いますが、8割方当てはまっていると思います。そして、タイプ6にも日本人の典型にも、その8割は確実に存在しています。

はぁ……
要は「タイプ6はダメな奴」という思い込みから、自分の中のタイプ6要素を否定したり避ける人が多いことが引っかかってたんですよね。そうなんですよね?
まあ、タイプ6への印象が悪いままタイプ6を疑えとは言いません。
ですが、まずはタイプ6を見直してしっかり評価し直すところから始めてほしい。できればタイプ6要素があるかもしれないとちょっと疑ってみてほしい。そういう思いです。
さて、今回の記事はここまで。他にもさまざまな記事を公開しておりますので、あと2、3記事ほど片手間に読んでいただけると大変うれしいです!
筆者:春眠ねむむ
X :@nemukedesiniso
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