囚われ | プライド |
統合 | タイプ4 |
退行 | タイプ8 |
タイプ2は、良くも悪くも親切心の塊と言っても良いタイプです。善行や慈善事業はこのタイプがいなければ始まらないと言ってもよく、仮にタイプ2がみんないなくなれば、世界は一部の勝ち組と、他は餓死者と浮浪者に溢れる可能性すら否定できません。
もっとも、そんなタイプ2にも強烈なダークサイドは存在します。
というのもタイプ2は「私を頼って」という気持ちが強く、それが自分の性格の中心になることも多いのです。
これが暴発すると、「いいから黙って介護されろ!」という強制につながることも……
健全度別のタイプ2
健全度に関しては以下の記事をご覧ください。
レベル1 | 自分を大事にする。自己犠牲の強迫観念の放棄。自分の気持ちや欲求ともしっかりと向き合い、「私を認めて」という一種の期待を抜きにして人に親切にできる。自由な愛情、謙虚、恵み深い性格。自他への限りない、無条件の愛情。 |
レベル2 | 自己イメージ「私は愛情があり、心がこもっており、私心がない」。そのイメージ通り、無条件の愛情を人に注ぐことができる。 相手の感謝を引き出すためではなく、本当に相手のためを思った行動ができる聖人。 |
レベル3 | 善行によって人を支え、自己イメージを強化していく段階の姿。 他者の良さを認め、励まし、時間や労力を惜しまず支えになる。 ボランティア精神に富み、自分の力を人と分かち合うことを喜びにする。 |
レベル4 | 善意とへつらい。「本当は人に望まれていない存在なのではないか」と恐れ、それを否定するためにわざとらしい善意を見せる姿も散見される。 まだまだ「人のため」という思いの方が強いが、人との距離感を詰めすぎたり、忖度や媚びにより味方を増やそうとすることも少なくない。 |
レベル5 | お節介と所有欲の強さが表出化。嫉妬深さと束縛。「みんな自分より他の人の方がいいのか」と内心怯え始め、「みんなから必要とされたい」という欲求が肥大化する。 恩着せがましく、自己犠牲的。プライドから表出はさせないが、助けを必要とする。みんなに離れて欲しくない。 |
レベル6 | 自分の親切心を当たり前のものと受け取ることが許せない。懐に入り込んでいる人たちには尊大で威圧的な一面を覗かせる。 自分の心の傷や寂しさを表面化させられない。でも寂しいので、「病気かも……」「疲れているの」と身体状態を引き合いに出したり、「前やってあげたことを忘れてないよね?」と昔の恩義を引っ張り出して無理矢理にでも人をつなぎとめる。 |
レベル7 | 「実は自分こそが人の心を離れさせている」という可能性を恐れ、他人のことを「恩知らず」「身勝手な薄情者」とみなすことで自分を正当化する。 他人の同情心をあの手この手で引きずり出したり、共依存的な関係を築くことで強引に人を引き止めようとする。 |
レベル8 | 「愛情…モット…ホシイノ…」 当人たち的には、ここまで自分を犠牲にして頑張ってきたのだから当然の権利である。そう思っている。 人から愛されるためには、もはやなりふり構っていられない。過去の恩義、脅迫、暴力、洗脳。あらゆる手段を用いて、自分に関心を向けさせるだろう。 |
レベル9 | 「身勝手で利己的で搾取的」という自分の姿を直視して、タイプ2の精神は耐えられずついに崩壊。 心身ともに崩壊し、それでも愛情を求めるゾンビと化したタイプ2に残された役割は、もはや「愛に生きて愛に死ぬ悲劇の殉教者」の他にない。 人の介護なしには立ち直れないだろう。 |
タイプ2のダークサイド:支配欲
支配欲。優しく親切心に溢れるタイプ2からは、想像できない言葉ですね。ですが、こう見えてもなかなかどうしてプライドが高い……というより、自分の弱みを見せられないタイプのひとつでもあります。
自分の弱さは無理に隠そうとしますし、自分自身も「悩みも痛みも感じない!」という自己暗示にかかってるケースも少なくありません。
こうなる理由は「存在価値のない自分には、弱みを見せる資格がない」という思い込みや防衛本能も大いにありますが……もうひとつの理由である「自分の課題を解決する暇があるなら、その時間で人助けをして頼られる人になりたい」という一種の承認欲求も非常に大きいです。
タイプ2がダークサイドに落ちる原因となるのは、主に承認欲求の強さ。
「素の自分に価値がない」「人助けで価値を示さないと」と思えば思うほど人助けや忖度の頻度が高まり、わざとらしさや媚びるような態度も多くなります。
これらが人々から一応の感謝を引き出しているうちはそこまで堕落することはありませんが……もし誰からの感謝も受けられない、あるいはタイプ2自身が暴走して普通の感謝では満足できなくなってしまった時、行き場を失った承認欲求は暴走します。
誰彼構わずしがみつける相手にはしがみつき、恩着せがましい態度や同情を誘うような嘘、下手をすると暴力や脅迫と、どんな手を使ってでも人と繋がろうとするでしょう。
タイプ2の支配欲は、「人との強いつながりが欲しい」「人から存在価値を認められたい」という思いが高じた時に顔を出すのです。
メサイアコンプレックスってあるじゃないですか。あれって、タイプ2がダークサイドに堕ちた時の典型だと思うんですよね……
各段階のタイプ2
通常段階のタイプ2
囚われのプライドは、「自分の弱みや心の痛みを絶対に認めたくない」という確固たる思いが表出化したものです。
通常段階におけるタイプ2は、基本的に人助けや誰かを喜ばせること、善行にばかり目を向けるでしょう。
場合によっては必要以上に人の面倒を見たり、「余計なお世話」「お節介」と言われると急に怒りをあらわにすることもあるかもしれません。
また、「自分は何も求めない」「人助けは当たり前です!」みたいな顔をしながら、実際には感謝の言葉を強く求める姿もしばしば見られます。
タイプ2にも、他タイプと同様に思い込みが強く作用しています。
「お前は自分の身を削ってでも、人を助けなければならない」
要するに、通常段階のタイプ2にとって人助けとは自分に課せられた使命なのです。そしてその報酬が、感謝の言葉。もっと言えば恩義や貸し借りといった人間関係ですね。
タイプ2は物品や名声というわかりやすい報酬は望まないことがほとんどですが、つながりを作りためには貪欲です。
親身な顔をして相手の喜ぶことをして、不健全に傾きかけたときは長期的にはマイナスになっても「喜んでくれるから」と助けに入り、「つながり」という報酬を例えむしり取ってでも持ち帰ろうとするわけです。
不健全段階のタイプ2
退行:タイプ8
タイプ2は不健全になればなるほど、強権的で強引になっていきます。
特に強いストレスを覚えた時には、「タイプ8では?」と思うくらい力づくで人を服従させたり、罵倒したり相手の精神的支柱をぶっ壊したり、最悪刃傷沙汰を起こしてでもその人とのつながりを得ようとします。
当然、恨みや憎しみといったネガティブなつながりは絶対に嫌。脅してでも強請ってでも感謝や貸し借りという関係を相手に認めさせ、「自分はこの人に必要とされているんだ!」という確信を得ようとするのです。
自分がしてきた自己犠牲についても自覚があるので、それをネタに被害者意識を爆発させたり「こんなことまでしてあげたんだよ!」と強烈に訴えたり、その人とつながるためなら同情でも恐怖でも何でも利用します。
強硬手段に出ているタイプ2を突き動かしているのは、「裏切られた」という被害者意識。相手が自分の支配下に収まるまで、執拗に危害を加え続けることもあるでしょう。
驚くかもしれませんが、タイプ2は不健全な時に出てくる本性をある程度自覚しています。
だからこそ何が何でも支配欲を封印するわけで、最後には強く封印した反動でドカン……とね
健全段階のタイプ2
統合:タイプ4
ここまでタイプ2の傲慢さについて色々と述べてきましたが……当然、彼らの親切心は偽りではありません。
こと自分の傷や痛みをしっかりと認識している健全なタイプ2は、ごく自然体で人と関わることができ、媚びるでも迫るでもなく当たり前のこととして人のことを気遣うことができるでしょう。
「自分の弱みも人の弱みも、いずれもしっかりと理解して受け止める」
自分の痛みを放置し、人の痛みではなく欲しいものばかりを考える通常段階との違いは、ここでしょうか。
健全なタイプ2は、通常段階ほどあれこれ人助けばかりに精を出しません。どちらかというと、「寄り添う」というのが表現としては一番近いかもしれませんね。
「人を導く神様」でも「人の苦しみを身代わりとして引き受ける救世主」でもなく、「共に苦しみ共に喜ぶ仲間」のような、尊く近しい存在。健全なタイプ2を表すなら、そんな言葉が似合いそうです。
まずは自己暗示を解くのが先か
「お節介と優しさは別」とか「自分がまずは幸せに」とか、人助けに囚われた人へのアドバイスはいろいろありますが……私から言わせればそんなもん後回しです。
まずは人助けのために最適化された自分の性格を見つめ直すのが、何より最初でしょう。
とりあえず最初に手をつけるのは、自己暗示で生み出した「痛みに鈍感な自分」という幻覚の解除です。
当然、感情をあらわにするのはむしろ逆効果になり兼ねません。まずは自分が、感情に触れてみましょう。
特に日記を書いてみるのがいいかもしれませんね。
「Aさんを助けたのに無視された」
「Bさんが挨拶を返してくれなかった」
と、そんなしょーもないことで構いません。誰でもクソほどくだらないことで、案外グッサリ傷ついています。
しょーもないことで傷ついた自分を否定せず、「それも自分」と肯定して受け入れる。
これが結構難しいですが……自然とできるようになれば、心が段違いに軽くなりますよ。
筆者:春眠ねむむ
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