囚われ | 嫉妬 |
統合 | タイプ1 |
退行 | タイプ2 |
芸術家、貴族、ボヘミアン、と……何となく社会から浮いた感じのあるのがタイプ4。社会に完全適合する無個性集団とは一線を画すためか、好き嫌いが分かれる印象があるタイプです。
そのためか、サジェストでもよく「嫌い」とか出ていますね。当ブログの「各タイプの嫌われる理由」でも9タイプ中2番目にアクセスを集めています。
というのも、タイプ4は芸術的というか、「世界の仕組みの中で前線に立つ」というよりは「世界に綺麗な花を飾る」というのが主な役割。
特に「目に見える結果が全て」の日本では芸術や美術は生きる価値がない人の最後の砦みたいに扱われますが、タイプ4のもたらす斬新さや一風変わったものがなければ、野生生物みたいに「食うために働いて、食って、寝る」だけの単調すぎるものになってしまうでしょう。
ところで、芸術家に必要な素質としてよく言われるのが、「個性」と「世界への不満や欠落感」なのだそうで。
タイプ4のダークサイドは、そんな欠落感を満たし、同時に個性を身に付けるために手に入れた「思い込み」の力です。
健全度別のタイプ4
健全度に関しては以下の記事をご覧ください。
レベル1 | 人生まるごと受け入れ態勢。自分の中にある欠落感を手放し、自己陶酔とサヨナラした姿。 自らの存在をそのまま受け入れる事でわかりやすい個性に頼らない自分だけのアイデンティティを獲得し、独創性そのままに心の安定感と洗練された人となりを手にした。 |
レベル2 | 自己イメージ、「繊細で、個性的で、自分らしさがある」。 ネガティブな感情ではなく、「好き」や「面白い」といったポジティブな感情に目を向けることが多い。自分だけでなく人にも興味を向けて、外向性も高まり、自然体で、「ちょっと変わってるけどめっちゃいい人」みたいなポジションになりやすい。 |
レベル3 | 創造性高騰中。創造活動や自分の理想を形にしていく事で、「独創的、繊細」という自己イメージを強化する。 人にもしっかりと意識を向けており、共感的で人の個性を受容する。「人は人、自分は自分」。 |
レベル4 | 移り気でどこか理想主義的。気まぐれな個性派。「気持ちの移り変わりが、独自性が削がれている」などと哲学的な悩みを抱え始める段階。 自分の見る情景をどこか美化し、ウットリすることで自己完結的になることが多い。でも話は聞いてほしい。自分の個性を認めて欲しい。助けてほしい。自分の個性を強めるためにいろんな生活スタイルや創作スタイルを取り入れるが、同時に苦しみから解き放ってくれる白馬の王子様を夢見る。 |
レベル5 | 気まぐれで自己陶酔的。「誰も私の個性なんて認めてくれないの?」と心配するし、何なら落ち込む。 自分の存在価値にも疑問が生じ始め、試し行為として気のないフリをしたり、あえて気に入った相手を冷たく突き放す。 自意識が高く、物憂げなダウナー系なナルシスト。周囲と打ち解けず、自分のためだけの救世主を求め、それ以外の関係を拒絶することも多い。これ以降、自分しか見えていない状態になっていってしまう。 |
レベル6 | 退廃的かつ放縦的。「みんなに邪魔されるせいで夢が叶わない」という設定の悲劇のヒロイン。心の奥では「自分は誰にも特別扱いされない」と理解しており、それが「自分に救いは決して訪れない」という絶望を与えている。 特別扱いを当然のように周囲に求めるが、人にはそれを許さない。自分だけの特例大好き。 「自分はこんなになってるのに、他の奴らはみんなズルい」という嫉妬心が奥底で渦巻いており、特例を求めるのも「それくらいしないと他の人と対等になれない」という思い込みのせいとも言える。 |
レベル7 | 嫉妬がついに世界への逆恨みに変わり始める。「自分らしさを手に入れるどころか、人生を無駄にしかしてこなかった」という絶望感に打ちひしがれる。 ここまで落ちれば、あとは破れかぶれ。この世に存在するものは、「自分に甘いごく少数の味方」と「その他大勢の敵」だけ。こんなになるまで放っておいた味方を恨み、認めてくれない敵を恨み、全てを受け入れられない。絶望感と嫉妬と恨みが渦巻いており、暗く卑屈な性格になっていく。 |
レベル8 | 外部を恨むだけでは何も解決しない。当然である。となれば、もはや怒りの向く先は自分自身をおいて他にない。 理想化した素晴らしい自分にしがみつくことでしか生きることができない。そのため理想にそぐわない自分のあらゆる面を否定し、そんな自分を恨む。溜め込んだ膨大な負の感情を、自己否定で発散していく。 でもやっぱり、救ってくれない周りも憎い。救いの手を自分の手で潰したくなる。というより払い退ける。今更になって助けようとする周囲が憎い。自力脱出を果たすには、感情を殺すしかない状態。結局こうなる運命だった。 |
レベル9 | 絶望の底。人生の全否定。「人生全部無駄ですね」「結局私の人生は、始めから全部壊れて全てが終わるようにできていたんです」。最初から一縷の救いもない完全なバッドエンドが約束された、人生という駄作の終着点。 感情を殺すという自力脱出方法をある意味完成させた姿。救いは欲しいがそんなもの存在しない。あったとしても気づくことはない。自分の足で無感情に破滅へと向かう。 |
ダークサイド:思い込み
タイプ4のダークサイドは、何よりもまず「自分は大事な何かが欠落していて、普通の人には太刀打ちできない」という思い込みに端を発します。
普通より劣った存在だから、自分は生きていけない。みんなにも受け入れられない。無視されている。
普通にやっていても無理なので、オリジナリティや自分だけの強みを探し、それに執着し、他者に個性を認めさせることで何とかこの世で生きていこうとします。
ですが、そのうち思い込みはどんどん強くなっていく。最後にはオリジナリティを求める心は「自分は特別な人間なんだ」という優越感へ、欠落感は「そんな自分だからこそ得られる経験がある」という一種の自己肯定と普通に生きられる周囲への嫉妬や自己憐憫、「こんな自分を救ってください」という願望へと姿を変えていきます。
要するに、タイプ4は思い込みや自己暗示の連鎖によって、複雑な性格へと変貌していくわけですね。
健全方向へと向かえないタイプ4は次第に、特別性への優越感か周囲への嫉妬心、自己憐憫へと傾倒することで自分を正当化していきます。
優越感が強く出れば、自分というキャラクターを理想の姿に仕立て上げる。
嫉妬が強まると周囲からの否定的な意見を想像し、決めつけてしまう。
自己憐憫を肥大化させてしまえば、詩的でわかりづらい婉曲な表現の中に自分の本心を隠し、そんな自分にちょっとうっとり。
「どうせ誰もわかってくれない」
「どうせ鬱陶しいと思ってるんでしょ」
「きっとこの空も、私と同じ気持ちを抱いている」
とまあ、こんな感じに、アンニュイな態度の裏にはいろんな思い込みがあるわけです。
存在を認めてほしい。自分を仲間に入れてほしい。でも無理。きっと拒絶されてしまう。
正直いろんな顔のタイプ4がいますが……典型的な不健全なタイプ4はメンヘラですね。オタサーの姫やってサークルクラッシュとか
段階別のタイプ4
通常段階のタイプ4
囚われである嫉妬に始まり、自分への自信のなさから内面卑屈になっていることが多いです。もっとも、それを表に出すことは基本的にありませんが……
基本的に、自分の暗い部分を知ってもらいたいフェイズと、周囲を気にして気持ちを抑圧するフェイズを繰り返しています。
気持ちを表現する時も、直接表現はあまり好きではありません。何かしら暗喩や婉曲表現、あるいは間接的な方法を用いるかもしれません。
例えばどれだけ好きな恋人でも「愛してる」とは絶対言わなかったり、普通に言えばいいことでも交換日記で伝えたり……
当人は見せたがりませんが承認欲求と自意識が強く、「認めてほしい」「もっと好きになってほしい」という気持ちを持つ一方で、「誰にも愛されない」という絶望感を誰に対してもうっすら持っています。
絶望感が強くなりすぎると「どうせ内心私を好きじゃないんでしょ」「これでも好きなの?」とあえて傲慢になってみせたり、それで人が離れていくと「やっぱり誰にもわかってもらえないんだ」と絶望し、そんな自分にウットリすることで自己正当化……なんてこともあります。
「誰か私をわかって!/わかってくれない私は特別なんだ!」という二律背反に陥ることも多く、適度な距離感を人に求める一方で、理解してくれる人や特別視してくれる人には急速になつくこともあります。
この時も試す意味合いや「理解者なら受け止めて当然でしょ」という思いから膨大な感情を相手に吐き出すことも多く、気に入った人を自分というドラマの登場人物に組み込んで理想化することもあります。
不健全段階のタイプ4
退行:タイプ2
「どうせ誰にも愛されない」「わかってもらえない」という絶望感が強まるにつれて、タイプ4の健全度はどんどん落ちていきます。
普段は人から離れて孤立しても、自己憐憫に浸るばかり。ですが、あまりにも誰も見向きもしてくれないと、それが強いストレスとなって退行を引き起こします。
そんなタイプ4の退行先は、タイプ2。
人から関心を得るために、文字通り何でもするようになるでしょう。例え自分らしさを捨てることになったとしても……
ですが、媚びへつらって得た人間関係は、到底タイプ4の望むものではありません。
思うような反応を得られないタイプ4は、さらに感情的に騒ぎ立て、自分のやったことや相手への良い影響を異常なレベルで誇示するかもしれません。
オタクくん、私ノド乾いちゃったな〜(猫なで声)
どうして言わなきゃ気づいてくれないの?私のこと嫌いなの?馬鹿なの?(ドスの利いた声)
退行を繰り返したタイプ4も最後の最後は、自分も他人も全部が憎いに行き着きます。
自分をいつまでも望む形で助けてくれないみんなが憎い。
それよりも、自分らしさを得られなかった自分自身が何より憎い。
こんなことになった世界が、運命が何より憎い。
やがてタイプ4は、自分を含む世界の全てを拒絶するようになるでしょう。
健全段階のタイプ4
統合:タイプ1
タイプ4は、もともと現実に対するレジスタンス。自分が致命的な欠落者であることを知らしめてくる反逆し、否定しないと生きていけないと、心のどこかで思っています。
そのためにありのままを受け入れることはせず、自分で作り出した理想や都合のいいムードに引きこもり、事実を拒絶するのです。
ですが健全なタイプ4は、しっかりと事実をありのまま受け止め、現実を敵ではなく「自分もその中で生きる大きな存在」として受け入れ、改めて自分の理想を現実世界で実現していくようになります。
拒絶しなくても自分の心は壊されないことを知っていますし、自分らしさは現実の前に消し飛ぶチリでは決してありません。
不動のアイデンティティを持つ健全なタイプ4にとって、もはや夢はうっとりと見続けるだけのものではないのです。
自己感情との向き合い方がカギか
タイプ4がダークサイドに落ちる時は、決まって「自分の思い込みの世界に引きこもり、感情や主観に固執する」という共通点があります。
したがって、タイプ4の健全化は「自分の感情とどう向き合うのか」が最重要項目です。
とりわけ、感情的に見た主観と客観的な事実は別物であるという認識はかなり重要なファクターです。客観的視点を持つだけでも、気持ちの軽さが倍くらい違うのではないでしょうか?
自分らしさは、わざわざ演出しなくても勝手についてくるものです。うっとり恍惚と何かを味わうのは、外界と繋がるのとは意味合いが違います。むしろ自分の感情に閉じこもり、外界の他の情報を遮断している状態と言ってもいいでしょう。
また、他人の気持ちを洞察しすぎないのも大事なことです。
人は、自分が思っている以上に肯定的に親しい存在を見ています。わざわざ時間を使って自身に関わってる時点で、ある程度以上肯定的に見てくれていますし大事に思ってくれています。
「どうせ嫌われた」と諦めるのではなく、実際に本人の口から「嫌いだ」「2度と関わりたくない」と言われるまでは自分を認めてくれているものだと思っておきましょう。
正直、現実は自分が考えている以上に案外救いがある……かもしれません。あなたの感情表現についていけない人がいても、「感情表現が苦手なのかもしれない」と楽観的な選択肢を残すようにしておきましょう。
自分の想像上と事実を比べて見るだけでも、随分と違いがあって、また救いも多いことに気づいていけると思いますよ。
筆者:春眠ねむむ
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参考書籍
エニアグラム解説
タイプ一覧
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