囚われ | ためこみ |
統合 | タイプ8 |
退行 | タイプ7 |
知的という評価と暗いオタクという評価の2つがあるタイプ5。
類型を知っている人の中では頭がいい人という印象が強く、中には自分が「賢い」と思った人をみんなタイプ5だとしたがる人もいますが、あれはいったい何なのでしょうか……。やっぱ勉強家の側面故?
ともあれ、何かと「頭がいい」とネットで持ち上げられがちなタイプ5ですが……内面のダークサイドはなかなかに強烈です。
というのも、このタイプ5は吝嗇家、つまりドケチでまあまあセコいところが見られるのです。
誰かと関わる時間を渋り、助け合いの労力を渋り、必要経費を渋り……まあ、何でも渋って基本的に自分の殻に引きこもってます。
タイプ5をそうさせるのは、裏にいる臆病な自分自身……
健全度ごとのタイプ5
健全度に関しては以下の記事をご覧ください。
レベル1 | 積極性を身につけた姿。「世界から切り離された観察者」という立ち位置を捨てて、現世に自ら、自信を持って関わっていく。有能でありたいという欲求を満たすことで余裕ができ、思考が冴え、人への思いやりも深まる。 |
レベル2 | 自己イメージ「頭が良く、好奇心旺盛で、自立している」。 自信があり、心の余裕が視野と思考を冴え渡らせている。逃げたり誰かを見捨てて自分を守る癖はほとんど見せないだろう。 |
レベル3 | 自分の能力を伸ばしてくれるものに意識を集中して、成長により自己イメージを確立していく。人を当て馬や踏み台にするのはよしとせず、それよりも既存の体系や状況に新たな一石を投じることを好む。探求者、創造者。 |
レベル4 | 入念な慎重派。「今の自分では世間に飛び出すには不十分なのでは……」と不安を覚える。挑戦や行動よりも、安全圏である自分の頭の中の概念世界に現実逃避することを好むようになってくる。 せめてもの生き残りをかけて、使えるものは何でも集める。知識もノウハウも技術も、手に入るものは何でも手に入れて、自分の身を強大な世界から守ろうとする。 |
レベル5 | 傍観者。人からの要求や人付き合いのせいで、色々邪魔されているように感じる状態。誰も寄せ付けず、とにかく1人でいたがる。神経質な秘密主義者。 「自分も多くを望まないから、せめて邪魔だけはするな」 思考過多で、IFの世界線や抽象化された妄想の概念世界を頭の中に作り出しそこに引きこもりたがる。 |
レベル6 | 極端な思考と攻撃的な姿勢が特徴的。「ここまで作り上げた自分の城を、みんな踏み荒らすつもりでいるんだ!そうに違いない!」 他人の安定した精神がムカつく。どうせ見せかけに違いない。だから人の支えを壊す。そんな楽しみを覚えて悪い意味で外界に繰り出すことも多くなる。荒れてる掲示板とかに多いタイプ。 極端で特異な妄想的な思考をしているが、自分はそれを正しいと思っているので、理解できない奴は間違った馬鹿だと感じ軽蔑する。偏狭な妄想家。 |
レベル7 | 「自分の居場所なんて、この世界のどこにもない。ならばせめて、少しでも身の安全を守りたい」。その結果やることといえば、ありとあらゆる関係を断ち切ること。世界から完全に隔絶された思考の世界しか、自分には残されていない。 衣食住の最低限のニーズ以外の全部を拒絶して現実世界から遠ざかるが、それでも不安や恐れは尽きない。元来最も恐れていた「空虚」「何も持たない丸腰の自分」に、自分自身から近づいていく。破滅への序章。 |
レベル8 | 自分に降りかかる事象の全ては、自分を消すための世界の意思。それに抗う力はなく、いずれ確実に来る破滅と終わりを怯えて待つだけのちっぽけな存在。全部が怖い。全てが悪意を向けているように見える。 人を怖がり、相手の助けと善意を全て払い除ける。どんな助け舟に対しても敵視を向ける、怯えた小動物。 ダークな雑念だらけの思考は加熱し、不吉な妄想と夢を見続ける。寝ている時も悪夢ばかりを見てしまい、不眠症に陥ることも少なくない。 |
レベル9 | 自己破壊、忘却の末。この世の苦痛、つらい経験、絶え間なく襲ってくる不安や恐怖から自分を守る術はない。現実逃避ばかりを試みるが、すでにまともな精神状態にない。現実から一刻も早く逃れたい。すでに何らかの精神障害を患っている状態。 徹底的な引きこもりによる餓死か、あるいは自殺か……いずれにしても、周囲の助けがなければそのまま人生を終えることになるだろう。 |
ダークサイド:臆病
正直ヘッドセンターは全員どこかしら臆病で小心なところがあるものですが……それが一番わかりやすく出てしまうのがタイプ5のダークサイドと言えるでしょうね。
ケチで人とのつながりを求めないのも、実は頭の中でグルグル考えてしまうせいと言えます。
タイプ5の自己評価は「弱くて、無力で、現実という激流の中で我が身すら守れず消えていくだけのちっぽけな存在」です。他人なんかに割いてやるほどリソースに余裕はないし、下手すると人に攻撃されただけで全て終わる可能性すら考えてしまいます。
囚われのためこみにしても自分の無力感を補うための武装強化といった意味合いが強いですし、「現実世界から少しでも自分の居場所を守らなければ!」と常にタワーディフェンスやってるのでもう必死です。世界はリソースの奪い合いです。
怖いから引きこもる。怖いからケチる。怖いから怖がってなさそうな人を僻む。怖さに負けて変な妄想に取り憑かれる。
タイプ5の行動の裏には、大抵怯えや自分なりの現実への抵抗、主に能力面での自信の無さがあります。
本当は人並みの欲があります。人に認められたいし、楽しい暮らしはしたいし、好きなように生きていたい。でも自分にはどうしようもないものなので全部封印した。封印することで、自分の守備範囲を、自分でも守れそうな範囲まで小さく削った。
諦めの裏側にある諦めない人への僻みとか、あるいは拗らせた承認欲求とか、「自分は間違っていない」というプライドとか、色々なものが混ざり合って、タイプ5のダークサイドを形成しているのです。

自分にできそうなこととか無理なこととか、あとはもともと持ち合わせた天性の才能とか向いてないこととか……考えれば考えるだけ何もできない気がしてきますよね。
それがタイプ5という性格を作ってます。最悪不健全を極めて行きすぎると、統合失調症のような症状が出るとか何とか……
段階ごとのタイプ5
通常段階のタイプ5
恐怖心と囚われの「ためこみ」によって、冷静で思慮深い達観した性格を形成しやすい傾向にあります。が。同時に頭でっかちでなんでも「頭やロジックで理解する」という傾向も多く見られます。
オタク気質と言われるだけあって収集癖も強いですが、タイプ5が集めたがるものにはある程度の方向性があります。
- 自分を成長させてくれそうなものや人生に役立ちそうなもの
- 「これについては網羅している」と自信を持って言えるもの
健全になればなるほどこの2つのどちらも満たすものを集めたがりますが、不健全に向かうにつれて2つ目の条件ばかりに執着するでしょう。
タイプ5は「熟達した専門家」とも言われますが、同時に「無用の専門家」という不名誉な名前でも呼ばれます。
これは不安や囚われが強まれば強まるほど、自分を安易に安心させてくれるものに飛びつく人の特性を揶揄して言われているものですね。
タイプ5は特に、特異分野やよく知ったものに安心感を覚える傾向があります。これが悪い方向に向かうと、明らかに不適切なところでも自分の得意分野に執着するという悪癖にもつながるわけです。
例えばタイプ5の昆虫博士が「あの人の力になってほしい」と頼まれたとして、正直、昆虫の知識なんて人助けの役に立ちませんよね。
ここで囚われが強く出たタイプ5は、「ところ構わず昆虫のウンチクを語る」と「自分の専門外なので無視を決め込んで人を見捨てる」という二択で応対しがちです。それしか頭に浮かびません。

プライドが高いタイプ5は、第3の選択肢として「知ったかぶって適当に話を合わせる」という行動に出ますが、まあよろしくないですね。
どっちにしても根本解決を諦めてます
そうして周囲から煙たがられたり自分の能力を認められない事態になれば、今度は最終手段として他人の心の安心や専門知識を否定して台無しにすることで、自分の身を守ろうとすることもあります(鉛の法則)。
不健全段階のタイプ5
退行:タイプ7
タイプ5はもともと不安が強く、何かと物事を深く考えすぎる傾向があるタイプです。
それだけに、不健全段階で不安が強くなると思考がショートしたり、あるいは奇妙な妄想やエラーを吐き出すことがあります。
ストレスが多くかかって脳内世界すら脅かされるようになると、タイプ5は今度は外に繰り出して自分の不安をどうにか和らげようとするようになります。端的に言えば、逃げ回るようになるわけですね。
あれもこれもと不安を和らげてくれるものに安易に飛びついては、活動の拠点をコロコロ変えます。
最悪な場合変な思想や宗教を盲信したり、ドラッグや性的な逸脱へと向かっていくこともあるかもしれません。
退行状態にあるタイプ5は、とにかく藁をも掴みたい気持ち。飛び付けるものがあれば何でも飛びつき、それを否定する人は何であれ敵と見なすことすらあります。
健全さを取り戻せずにズルズルと落ちて行けば、いよいよ被害妄想的な性格になっていくでしょう。
「私は世界から離れているのではない。世界に拒絶されているんだ」
こんなことを考え始め、「神様が殺そうとしている」「みんな自分には死んでほしいのかもしれない」などと極端な被害妄想に陥り、人からの助け舟や接触も罠であると確信するように……。
そして最後には居場所も逃げ場もなくし、自分の人生を強制終了してでも不安から逃れようとしするでしょう。
健全段階のタイプ5
統合:タイプ8
一方の健全段階にあるタイプ5は、まるでタイプ8のようなどっしりとした存在感を発揮できることでしょう。
自分に自信を持ち、問題や課題に対して「自分の知識を使えないか」と考え、当事者意識が強まります。
特に頭でっかちになりがちなタイプ5ですが、健全段階にあれば心身ともに連動して物事に当たることもできるでしょう。
そんな健全なタイプ5を象徴する言葉が、「頭の静けさ」。言葉を変えれば明鏡止水です。
頭でいろいろなことを考えるだけでなく、静かに落ち着いて、より明確な答えを出す。
無我の境地や悟りといった言葉に近しい存在であり、脳に負担を強いるでもなく進む道を明白にできる。これが、タイプ5のたどり着く最終終着点と言っていいのかもしれませんね。
体を使うのも手ですね

タイプ5の健全化に向けての行動は、主に3つあります。
- 人と対等な関係を築く
- 完全でなくてもアウトプット
- 体をしっかりと使う
まず、人との関わりはタイプ5にとっても鬼門。正直、健全になったとしても不必要にベタベタするのは苦手でしょう。
ですが、人間関係を戦いの場や煩わしいものとするのでは苦しみや不安は増すばかりです。
特にタイプ5に必要なのは、無いものにしてしまった自分の気持ちや封印してきた暗い感情の開放。そのための立会人となる人は不可欠です。
また、自分の考えを過程の段階でも形にするのは大事ですね。
正直、思ったより驚かれたり感心されることも多いですよ。世の中、自分の考えを理解してくれないバカばかりではありません。
最後に……枯渇しがちな身体エネルギーの回復ですね。
タイプ5は特に身体エネルギーに不信感を持っています。「体なんぞより頭を動かしたほうが効率的」と考えてしまうところがあるのは否めないでしょう。
ですが、体を動かすと意外と頭が冴えることも少なくありません。煮詰まった時は、散歩くらいはしてみてもいいかもしれませんね。
筆者:春眠ねむむ
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