エニアグラムにおいて、タイプ8と「怖い」はある意味切っても切り離せないものとなっています。というか、実際怖い。
そんなわけで、今回はタイプ8がなぜ怖いのかを色々と見ていきましょう。
そもそもタイプ8とは
タイプ8を端的に語ると、リーダータイプですね。それも、「俺について来い!」系のリーダーです。
どういうことかというと、牽引力が非常に強いわけですね。グイグイと周囲を引っ張ってどこまでも前に進んでいくので、いつの間にか大きなことを成し遂げていることも珍しくない……そんなタイプです。
一方で、かなりの負けず嫌い。負けることと服従することが最大級の地雷であり、日夜そうならないように何かと戦っています。
詳しくは以下にまとめてありますので、よろしければそちらもご覧くださいませ。
タイプ8が怖い理由
さて、今回の題材はタイプ8の特徴ではありません。彼らがなぜ恐れられ、わざわざ「怖い」なんて予測検索までされるほどになってしまったのか。
といっても、なんとなく察しはつきそうなものですが……ともあれ、恐れられる理由を見ていくことにしましょう。
理由1:有無を言わせない
タイプ8が好むものは、基本的に自分をトップに据えたトップダウン式の組織体系です。そのため、周囲に対しては大抵が命令口調。おとなしめの8w9でさえ、油断していると他人相手に「あれやっといて」とか言い始めます。
そんな性格なので、とにかく周囲は戦々恐々。
日本人は基本的に周囲に合わせることをよしとする民族であり、何となく同調の空気を受けながら和やかに合議することを好む人が多いです。
ですが、ビビッドなタイプ8はそんな生ぬるいことは求めていないわけですね。「YESか承知、好きな方を選べ」と、こういうやり方の方が好みです。
根回しとか同調圧力とかではなく、正面から「言うこと聞け」という態度で人と接します。
この辺りの感覚は日本人にはなかなか持ち得ないものであり、その齟齬から恐れられているのは一因と言えるでしょう。
理由2:本音でぶつからないとキレる
基本的に反対意見は全てしりぞけ、粉砕し、踏み潰して堂々進むタイプ8。ですが周囲がうやうやしく頭を垂れるばかりで満足するかというと、そうでもない。むしろ、本音でぶつかってくることを望みます。
この「御託はいいから本音でぶつかってこい」という感覚も、典型的な日本人からすると意味がわからないものになります。
基本的に忖度、譲歩、迎合が求められるのが日本式のコミュニケーションマナー。ですが、タイプ8的にはそういうのはまどろっこしくてどうにも好きになれないわけですね。
ではどうするのかというと、破壊するか無視します。反対意見でも何でもいいから、とにかく部下や傘下の人たちには本音を話すことを求めます。
もっとも、それらを論破したり踏み潰すことが多いのが彼らなのですが……それはそれとして、人には仮面を取っ払った裸の付き合いを求めているのは間違いないでしょう。

彼らが求めているのはですね、なんだろう、正面からの主張のぶつかり合い、魂の削り合い?それに勝つことでより「強い」という自己イメージを強めるわけです。
想像したら吐き気がしてきました……こわい……
理由3:結構キレるし容赦ない
タイプ8にとって、周囲はすぐに裏切る敵のようなものです。どれだけ蹂躙し、メンタルをズタボロに惨殺しても、それが世の理。裏切られるくらいなら叩き潰したほうが気持ち的に楽なのです。
そんな性格もあってか、結構キレます。そして、キレると容赦がありません。
タイプ8にとって、キレるということはすなわち敵対することか、そうでなければ容赦なく粛清することを意味します。
タイプ8の陥るひとつの形に、「絶えざる闘い」というものがあります。これは実際、エニアグラム基礎編でも書かれている内容です。
要するに、タイプ8にとって生きることとは闘いなのです。
そして闘いを制するためには、力と勢いは不可欠です。それをわかっているタイプ8は、敵や裏切り者を容赦なく叩きのめそうと本気で攻撃します。
その姿は、まさに鬼神か修羅。当然恐れられるわけです。
そして、そんな鬼神モードを割と高い頻度で見ることになる。ますます怖いです。
理由4:不義はぶっコロす
意外かもしれませんが、タイプ8は正義感の強い人が多いです。タイプ1よろしく、「自分がトップになってより良い世界を作る」なんて思っている人も中にはいます。
これだけ聞くとただの美徳ですが、ここで問題になってくるのは、不浄、不義、非道……いわゆる悪に対する姿勢です。
タイプ1は、悪を正そうとします。不義の定義は非常に広いですが、そのぶん更生の道を残そうとします。
ですが、タイプ8は違う。例えばタイプ5タイプ6あたりが水を得た魚の如き顔で悪人をぶっ叩いて溜飲を下げている中に、本気で怒って乱入してきます。
多分、この場合は両成敗でしょうね。悪どいことを働くのは当然悪ですが、だからといって人権侵害も立派な悪です。
さて、ではどんな方法で悪を裁くのか。もっぱら、用いるのは粛清です。
「罪を憎んで人を憎まず」派の人もいますが、どんな人であれ一度叩き潰してから更生の道を一緒に考えることでしょう。どこまで行っても武威を示すのが何より大事。ちゃっかりしています。
ともあれ、悪人を叩きのめす姿は徹底的。当然です。自分の沽券がかかっているのですから。悪を許すことは自分への裏切り行為を許すことにもつながるのです。
基本的に二枚舌や嘘をつくのが嫌いなタイプ8。だからこそ嘘と不正にまみれた悪を嫌い、粛清という形で対応するのでしょう。
ただやり方が過激なため、周囲は非常に怖がるわけです。
理由5:キレてなくても怒鳴る
さて、そんなわけでキレると容赦ないタイプ8ですが、今度は普段の行いについても考えてみましょう。
タイプ8のやっかいなところに、「別にキレてなくても相手を怒鳴るし威圧する」というところがあります。要するに高圧的なわけですね。
この特徴は特に味方内で多く見られることでしょう。
タイプ8ほど怒りという感情の演出に長けたタイプもおらず、とにかく怒ってなくても怒りを表すことで相手を威圧したり言う事を聞かせるのが上手いです。
叱り方は下手くそでも「怒り方」が上手く、相手に非を認めさせるのではなく相手をねじ伏せることが得意な人たちですね。

「戦略的に怒る」って何かのサイトで見た気がします。もう何なんだこいつら……
例えば誰かに難癖つけて味方内を引き締め、同時に誰がトップなのかを周囲にわからせる。これなんかはまさにタイプ8の十八番です。
別にキレてないです。内心は冷静です。
ですが日常的に怒っているので、結局怖いんですよね。これらはタイプ8なりの心理テクニックですが、それを見せられた周囲は気が気ではありません。
理由6:声がデカい
全体的に声が大きめな人、あるいは大きくなくてもどことなく威圧感を感じさせます。
この声の大きさも、周囲を威嚇してばを席巻するためのタイプ8の心理テクニック。意識的か無意識かは人によりますが、声を大きく張り上げるような人が多いのは事実です。
声が大きな人がいたら、大抵の人は一歩引いてしまいますよね。それをタイプ8は感覚でわかっています。
そんな一歩引いたところに、タイプ8特有のガツガツした肉食オーラ。このコンボでタイプ8を駄目になる人も多いはず。
理由7:目力
とにかく場を席巻したがるタイプ8は、結構目がギラついていることも多いです。当人たちが威圧するつもりはなくても、その目力だけで威圧されたと感じる人も多いでしょう。
実際、私の知り合いのタイプ8も、大人しいのですが目力だけは強く、ちょっと圧倒される感じがありましたね。
口や態度で圧倒するのが本能的に身についているタイプ8ですが、その威圧や席巻は、目で見た時点ですでに始まっているのです。
理由8:口調がキツい
目力、態度、声ときて最後にこれです。口調がキツい。
一番最初の「有無を言わせない」でも書きましたが、結構命令口調が多いんですよね。というか、ヤバい人は下手をすると大体全部命令口調です。
「これやっといて」とぶっきらぼうに言うのは当たり前、下手すると「これやれ」やら「やっとけ」やら、気を抜くとついつい人に命令してしまうところがあるようです。
実際、不健全になればなるだけ自分の最強具合を人に見せつけようとするタイプです。そのため、口調にも「場を仕切ってんのは俺だ!」とか「お前らごときが口出しするんじゃねえ!」みたいな感情が出やすくなります。
そうじゃなくても、結構ひどめですね。
まず、彼らは直言の士です。どういうことかというと、悪いことは悪い、ダメな事はダメと、目上やめんどくさい人相手でも迷わず言います。
この特性、間近で見てると思うのですが、結構怖いんですよね。自分のいつどこで何を言われるかわかりません。
プライベートでもブラックジョーク大好き。いじりも大好き。ドツキ合いも好き。
もはや役満と言っていいほど、遠慮しがちな人の逆を行っていますね。
基本的に遠慮を美徳とする日本において言いたい事を言い、ちょっとブラックなネタやぶっちゃけトークが大好き。そんなわけなので、口調でもタイプ8は結構怖がられます。
タイプ8は怖いだけではない
当然タイプ8にもいいところはあります。その辺りに関して擁護しておきましょう。
まず、タイプ8は見てわかる通りめちゃくちゃ勇敢です。どんな困難であっても果敢に挑み、「この人に越えられない壁はない」と思わせてくれます。
実際、タイプ8の勇敢な行動や「挑戦する人」の異名通りのチャレンジ精神に勇気づけられた人も少なくはないでしょう。
その勇気の源は、圧倒的自信と強さへの渇望。
自分が侵略されないように強くなりたいと願う性格から、自然と自信を鍛えることに目が向きます。
それは単純に体を鍛えることかもしれませんし、仕事において自信の能力・技術をより高めることかもしれません。
あるいは趣味の分野でトップを狙うことかもしれません。お金を多く稼ぐことだってあり得ます。
努力家のタイプとしてはタイプ3がよく挙げられますが、タイプ8も相当な努力家です。自身のレベルを上げて難敵に打ち勝つため、日々努力と研鑽を続けています。
また、案外仲間思いなところがあるのもタイプ8の長所のひとつですね。
もっともこれは縄張りの巡回に近い習性ですが……自分の部下や影響下の人が傷ついたり困っていたりすると、案外手を差し伸べたり助け舟を出したりしてくれます。

ちなみにセキュリティポイントはタイプ2。つまりリラックスしていると普通にいい人と化します。
……似合わねぇ
決して怖いだけ、他人に対して威圧的なだけでは収まらないのがタイプ8です。「ただ怖いだけだ」と思っている方は、一度長所を見直されてはいかがでしょう。意外といいところが見つかる……かも?
まとめ
というわけで、今回はタイプ8の怖さについて色々と考えてみました。
実際、怖いです。そして迫力があります。
たまにタイプ8自認の人を見かけますが、その人たちが誤認してないかどうかすぐに見分けがついてしまうのではないかと思えるくらいにはわかりやすく迫力があります。
ですが、迫力だけで終わらないのもまたタイプ8の素顔の一つ。
とにかく負けん気が強く何かと問題児の多いタイプではありますが、その勇敢さ、自己研鑽能力は本物です。
接する際も「怖いから」と毛嫌いせず、長所も見据えて総合的に判断していきたいところですね。
といったところで、今回はここまでです。タイプ8だけでなくエニアグラムについて色々と述べているので、よろしければあと2〜3記事くらい見ていっていただければと思います。
筆者:春眠ねむむ
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