タイプ7の囚われ、「貪欲」。
正直一目見ただけではわかりづらい囚われも多い中で、非常にシンプルでわかりやすい「そのまんま」な囚われです。
やれることは全部やりたい。とにかく詰め込む。そして中途半端でも全部やる。
アイスクリームを注文する時に「バニラですか?チョコですか?ストロベリーですか?」と訊かれるとまずトリプルを迷わず選ぶ、飛行機で「ビーフorチキン?」と定番の問いかけをされると目を輝かせて両方頼む。
総括すると、そんな感じの愉快な連中です。
今回はそんなタイプ7の囚われについて、深掘りしてみましょう。
ある意味究極の飢餓状態?
タイプ7の多くは、いつもどこでも楽しみに飢えまくっています。
どれだけ楽しみをつまみ食いしてもガッツリ食べまくっても、「まだ足りない」「もっと欲しい」と、どこまでも面白さと楽しさを欲しがります。
例えるなら、楽しみの空腹ゲージがバグっていて、空腹メーターはどれだけ燃料をいれてもempty(空っぽ)を指している状態でしょうか。
いくら楽しんでも楽しんでも満たされることはなく、24時間365日いつでも楽しみを探し回っている人たちです。
「あれも欲しい、これも欲しい、これやりたい、あれやりたい、もっともっとやりたいしいっぱい欲しい!」
何かのゲームをやっていたかと思えば突然ゲームのモデルとなった土地に旅行へ行き、何を血迷ったのか突如サバイバルゲームにどハマりしてそのまま本物の銃を使ってみたいと言い出し渡米、帰ってきたら今度は草野球を始めて何故かフットサルのクラブに入会……みたいな。
こういうことを突然し始めるタイプ7も案外いますね。
うわー節操ねぇ……
これ、本当に楽しめてるんですか?
タイプ7はいろんなことに手を出しては新しい遊びや面白いことを開拓しますが、反面やってることが長持ちしません。
健全度次第にはなりますが……アクティブに動いているタイプ7にとって楽しみとは何でもいいからいっぱい集めるもの。
節操なくやってることもコロコロ変えるのも「結局全部同じ“楽しみ”でしかない」というのが正直なところですね。
極端な話、腹に入れば全部おんなじ「楽しみ」です。それ以上の価値はありません。
満たされない気持ちは何?
飢餓状態で何でも口に入れちゃう系のタイプ7は、本当にいろんなことを楽しそうにやっています。
が、反面飽きも早く、ある程度楽しんだと思ったら、すぐに別のことを始めてしまいます。
タイプ7は「楽しみ」「興奮」という感情こそ楽しんでいますが、今やっていること自体は言うほど楽しめていません。
と言うか、下手をするとゲームや遊びそのものにまったく興味が無くて、ただ「楽しい」「熱中している」という実感だけを楽しんでいると言ってもいいのかもしれません。
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要するに、「何が楽しいのかはどうでもいい」って事です?
結局食べて胃に収まれば全部一緒だから、食べる物の味とか好き嫌いはどうでもいい、と?
当然、「盛り上がれれば何でもいい」「楽しいと思えるかどうかが全てで、あとはどうでもいい」というレベルの思考回路は極端な人しか持ち得ませんが……少なくともタイプ7がそのような傾向を持っているのは確かです。
「楽しい思いをいっぱいして、少しでも気持ちが満たされれば何をやるかはどうでもいい」
「楽しいことだけをいっぱいいっぱい詰め込んでいけば、それだけでいい」
タイプ7は時々、ブレーキが壊れたように限界を無視して予定を詰め込みまくります。
「とにかく少しでも多く楽しい事を詰め込んだ者勝ち」と、そんな思いに突き動かされて、タイプ7はひたすら楽しそうな出来事や経験を自分の中に取り入れていくわけですね。
飢餓状態の裏側は……
そんなわけで、何かに取り憑かれたようにひたすら楽しそうな事を詰め込みまくるタイプ7ですが……残念ながらその内心は穏やかではありません。
「自分に必要なものはわからないが、とにかく必要なものさえ手に入れば大丈夫だ」
と、これがタイプ7の無自覚ともいえる内面でしょうか。
自分が何者なのか、何を欲しがっているのか、そのためには何が必要なのかetc.
楽天的で何も考えていないように見えるタイプ7も、人生のどこかで自分に必要なものについて考えていた時期はあります。
タイプ7は決して馬鹿ではありません。むしろ、全体を通しても頭の良いタイプと言えるでしょう。
だからこそ、どこかでハッと気付いてしまうのでしょうね。「結局『必要なもの』なんて絶対的な答えは、この世には存在しない」と。
だからこそ暗い気持ちを無視して前向きに、少しでも必要そうなもの(=おそらく自分に必要そうなもの)をいつでも探し回っている。
あるいは不安な気持ちを少しでも紛らわすために、麻薬のような楽しみをずっと探しているのかもしれません。
タイプ7にとって楽しみや可能性は、すべてその時限定かもしれない、またとない機会なのです。
だからどうでもいいものでも楽しそうなら絶対に手に入れようとしますし、他の機会を見過ごす事がないようにひとつの可能性に深入りしたくないと考えています。
他に可能性があるかもしれないから、予定も考えないし物事に深入りしないわけですね。
でも深入りしないからこそ完全に楽しめていないし、結局新しい可能性(やりたい事)が見つからないと精神的に詰む……
何このドーパミンの自転車操業……
一般的なタイプ7には、しみじみとした時間や束縛、条件は一切必要ありません。
自由に好き勝手にいろいろな楽しい思い出を詰め込んでは自分の不安な気持ちを押し殺し、自由な立場で自分の救いになるかもしれないものを手当たり次第かき集めて回ります。
ですが、自分を満たす何かを節操なく集めれば集めるほど、タイプ7は心のどこかにある「満たされない」「これでは救われない」という気持ちが強くなっていくのです。
ゴールは外や未来にはない
「あんな経験をできれば楽しくてしょうがないだろうなあ……」
「いっぱい面白い事をしたい!それでめっちゃハッピーになりたい!」
と、そう思う事自体は実際間違っていません。実際、新しい刺激がなければ、人の精神は簡単に腐ってしまいます。
ですが、外から刺激を受けるだけでは、なかなか腹も満たされないものです。
タイプ7がより満たされ、より人生を楽しめるようになるために、チャンスや楽しい事以外にも必要なものがあります。
最も大きな課題は、自分自身の内面です。
タイプ7は楽しみやチャンスを無駄にしたくないあまり、自身の内面……特にネガティブな感情や漠然とした不安を避けてしまっています。
ですが、人の心は病気と同じ。原因を知らなければ、満たされることはまずありません。
「自分に足りないものは何か」よりも、「欲しいものは何か」「なぜそれがほしいのか」と連想して、自分の心を深掘りするのが必要って事ですね
とはいえ、いきなり自分に対して「何を焦っているの?」「どうしてそのチャンスを逃したくないの?」と問いかけて見ても、嫌なものが見えるか時間の無駄と感じてしまうのが関の山でしょう。
まずは手軽に、瞑想でも始めてみませんか?
頭を空っぽにして、脳内には雲かロウソクの炎でも思い浮かべ、それ以外の情報は全部いったん捨ててしまいましょう。
そうやってボーッとしていると、普段自分がどれだけ頭を酷使しているかわかるはずです。
ちなみに、瞑想を終える時も注意が必要です。
「もう無理!」と自然と切り上げてしまうのではなく、時間を決めて、静かに何も考えないまま、静かに「よし……」と終えるように心がけるようにしてください。
タイプ7に一番必要なことは、自分の本音や感情と向き合うための静かな時間です。
「そんな無駄な時間を使うよりも、楽しい事はいっぱいある!」と反論したくなる方もいらっしゃるでしょう。
ですが、満たされない気持ち、焦っているような感覚、あるいは飽き性で長続きしない性分も、根幹を探らなければ上手い付き合い方が見つからないと思います。
まずは静かに「本当はどうしたいのか」「本音ではどう思っているのか」を掘り下げていき、自身の心の奥底に触れてみてください。
自分の本音がわかる余裕と機会に振り回されない落ち着きをあわせ持ち、朝日や夕陽の綺麗さや何気ない景色を楽しめる人こそが、真に満たされた人と言えるでしょう。
その事を、今は頭の片隅にでも入れておいていただければ幸いです。
筆者:春眠ねむむ
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