はいどうも。喧嘩を売る題名から失礼します。春眠ねむむです。
「タイプ9は無気力」。これは、世間一般で言われる無気力とはちょっと意味が違います。
まあ無気力と言えば無気力なのかもしれませんが……ともあれ、読んでいただいた方が早いですね。
タイプ9の「怠惰」とやる気
タイプ9の囚われは「怠惰」です。ここがもう勘違いポイント。
怠惰の囚われを文字通りに受け取ってしまうと、「やる気がなくてグデっとしている」という解釈になります。
まあ不健全になればなるほど本当に無気力になる人も多いですが……そんなものは結果論。囚われである怠惰とは似て非なるものです。
タイプ9の中にもやる気がある人は結構います。自分なりのこだわりを見せたりちゃんと主張をする人も中にはいるでしょう(特にウィング8)。ですが、そんな人たちもある種の怠惰に囚われている。
この怠惰とはやる気がないことではなく、「自発的に動けない」ということを意味します。
要するに周りにやる気があるならつられてやる気になりますし、やる気がなくなればやる気があっても封印します。
結局のところ自我はあるしやりたいことはやりたいのですが、タイプ9はその気持ちを軽視して人に合わせ、人との同化を図るわけですね。
怠惰の正体はまさにこれ。決して「最初から無気力でやる気がない」というわけではないのです。
最近は怠惰≠やる気ゼロって考え方が主流になってきましたが、まだ唱えるバk……人もいるんですよね
タイプ9と無気力
さて、ではタイプ9の無気力とは何ぞやという点に迫っていきましょう。と言いつつ、もう答えは出てますが……。
タイプ9の無気力の正体は、自分の身も心も他人に明け渡すこと。自分の人生の主役を他人にそっくりそのまま譲ろうという魂胆ですね。
タイプ9は何でも受容するタイプとされています。その正体は、「自己主張は波風を立たせるから嫌だ」という強い思いです。
タイプ9と自己主張
ここで、タイプ9が親から受け取ったメッセージを見てみましょう。
自己主張するのは、よくない
新版エニアグラム基礎編 P59より
まさに、親からのメッセージで「自分があるのはよくないんだ」と受け取ってしまったわけですね。この気持ちが、「波風を立たせたくない」という願いにつながります。
タイプ9は「自分があってはならない」と学んだため、常に自分<場の空気という図式が出来上がっています。
要するに、場の空気を乱してまで自己主張することに価値を覚えていないわけですね。
この自己主張=悪という方程式が、タイプ9を怠惰の渦に放り込んでいるのです。
タイプ9の受容性の正体
タイプ9は受容性が高く人を受け入れるとされていますが、その高い受容性の正体は「自己主張に価値がない」という根強い思想に起因します。
タイプ9は「自己主張=ダメ」という考え方が染み付いているため、その考え方が「他の人を受容する」という結果につながっているわけですね。
「自分を主張して場を乱す資格はない」
「主張して空気を壊すくらいなら人と同化したい」
そんなことを考えながら人を受け入れ、人と気持ちを同じくして、罪悪である自己主張を避けています。
自己主張をしないということは、それだけ他者を受け入れるキャパが多いということ。
また自己主張をしないために、タイプ6とは違った意味で他者という指標を必要としている。
この辺りの事情や状況が重なって、タイプ9の並外れた受容性は生まれているのです。
怠惰ってそういう意味もあるんですよね。「自己主張したくない」っていうのもまた、自発的に動きたくない怠惰につながります。
……受容性というより受動性?
自分の意思は「見せないだけ」
当然タイプ9も人間です。自分の意思くらいはありますし、思うところも感じることもいろいろあります。
ただ、それを見せること自体を嫌がっているだけです。周囲に見せたくないだけで、きちんと人間をやっているのです。
「タイプ9は自分がない」「感情を麻痺させている」とは言いますが、やはりわからないだけで自分の思いは存在します。
「邪魔だから封印しよう」と無意識的に思っているだけで、人間である以上自分自身からは切り離せません。
タイプ9の怠惰は、そういう「自分を見せない」という点にもかかってきます。
めんどくさがりなのではなく、あくまで「周囲に合わせることで自分がないかのように振る舞う」というのがタイプ9の無気力の正体と言えるでしょう。
タイプ9の怠惰の本質
タイプ9の怠惰の本質は、決して無気力というわけではありません。無気力な人も比較的多いですが、それだけが怠惰の正体ではないです。
タイプ9の怠惰の本質とは、自力でなく他力で動くこと。外圧で生じたエネルギーにのっかかって、慣性だけで動くことです。
だからやる気があることにはやる気はありますし、人によっては必要に応じて自己主張はします。
ただ、「自己主張はよくない」ひいては「自分があるのはよくない」という認識が根底にあり、それが自力で動くことを阻害しているだけなのです。
これを「無気力」と呼ぶなら、タイプ9は全員無気力という判別で間違いないでしょう。
ですが個人的には、これは無気力とはちょっと違う気がします。
無気力=何事にも意欲がない
タイプ9=自力で変えることができない
タイプ9も「これは変えなきゃな」と思うところはあります。ですが「自己主張はダメ」という超自我が邪魔をして、「今のままでもいいところはあるよ」という思考に取って代わられ、いつしかそれを自我と認識するようになると。
このように、無気力と言っても、ただダラけているだけとはちょっと違います。
どこまでも「自己主張はよくない」という超自我が悪さをしているんですよね。
「自分が波風を立たせてどうする」
「自分を主張することが場を荒らし、平穏を乱すことになる」
タイプ9は、自己主張をすれば平穏が壊れることを学びました。その学びが「きっといいところもあるよ!」という頑ななまでの楽観姿勢を招き、頑ななまでの現状維持に結びついているのです。
気に入らない時の対処法
というわけで、タイプ9は決して世に言う無気力なタイプではありません。変化に対して無気力なだけです。
ですが、そんなタイプ9でも気に入らないものは気に入りません。イラっと来ることもあるでしょう。
そういう時の対処法としてよくあげられるのが、受動攻撃です。
タイプ9について調べると、しばしば受動攻撃の文字が見られます。これが、まさに「不動」を破られた時の緊急手段なわけですね。
タイプ9は表立って何かすることは少ないですが、意外と納得いかないことは行動で示します。例えばあえてやり忘れたり、従来のやり方にこだわったり等々……
とにかく、気に入らないものは蓋をする。知らん顔する。それがタイプ9なりの抗議なのです。
出た、一番めんどいやつ。
何考えてるかわかんないぶん、なかなか気づけないんですよね。で、あえての怠慢だとわかるのはだいぶ後……
自分の意見を押し通すのはダメ。でも嫌なものは嫌。その板挟みの中で生み出されたのが、受動攻撃という手段と言えるでしょう。
タイプ9は常に自分自身の内面が安定化していることを望み、その安定化を阻害するものを徹底的に嫌います。
基本的にはそういう障害に対して無視を決め込みますが、それだけですべてがうまくいくほど世界はうまくできていません。
やがて気に入らないものを直視しなければならない時が来るでしょう。そういう時にもなお、意固地になって何も見ないようにするのがタイプ9のやり方です。
見なければならないものに蓋をし、「直視しなければならない」という事実にゆるく抗う。逃げるのではなくその場から動かないことによって、都合の悪い現実や事実に反抗する。
こうやって見ると、やっぱり本能センターやってますね。思考センターの逃避とはちょっと毛並みが違います。
まとめ
というわけで、今回はタイプ9の怠惰について改めて見てみました。
無気力でだらんとしているだけがタイプ9ではありません。むしろ書籍には「タイプ9が一番タイプ9らしくない」みたいなことも書かれており、必ずしもぽけーっとしているだけがタイプ9の姿ではないのです。
ただ、やはり原動力は外圧ですね。外の空気にあてられて動きますし、一度動いたら基本的に止まりませんし、一度止まったら基本的に動きません。
こういうところを「無気力」と呼べば、確かにそうなのかもしれませんね。
とまあそんなところで、今回は締めたいと思います。他にもいろいろな記事を上げていますので、もし「興味が湧いた」という方がいらっしゃったらいろいろと見てやっていただけると喜びます!
筆者:春眠ねむむ
X :@nemukedesiniso
threads:@shunmin.nemui
エニアグラム新着記事
参考書籍
エニアグラム解説
タイプ一覧
コメント
春眠さんこんにちは。
先日気づいた事とそれによって悩んでいることがあるので、コメントを書き込ませて頂きます。
気付いた事というのは、母の口癖の事です。
私は弟とよく喧嘩しているのですが、その仲裁の際に母はよく
「他人は変えられないのだから自分を変えなさい。」
と言って私を宥めていました。
この発言よく考えると自分を無くして他者に合わせるタイプ9らしい発言だ、と思いまして親から受け取ったメッセージ
「自己主張はよくない」
につながるかもしれないと考えました。
ただ逆説的に、私は自己主張をめっちゃしているということになるので私は本当にタイプ9で合っているのだろうかと悩み始めました。
これに関してどのように捉えれば良いのか教えて頂けると幸いです。
日曜日の雨様
こんにちは。
なるほど……正直、タイプ9と言っても色々ですからね。条件次第では自己主張する人も中にはいて、そのあたりもタイプ判定をややこしくしているところがあります。
余談ですが、「自分を変えなさい」。よく言われますが、なかなかにきつい言葉ですよね。自分を変えられたら苦労しないと思ってます。
さて、話が逸れましたが……そのあたりも含めてタイプ判定できるサービスを展開できればなと思っていたところです。正直無料というか気軽に答えられる範囲を超えているので……よろしければサービスを開始したときにそちらをご検討いただければなと思います。