今回お話しするのは、タイプ8の中でもちょっとテンプレからかけ離れた、大人しめの人についてです。
エニアグラムは根源的恐れや根源的欲求、そこから派生する囚われから、それぞれのタイプが型取りやすい人物像を述べています。
ですが、中には囚われや根源的恐れをそのままに、テンプレとは異なる人物像や人格を形成した人もいるかと思います。
今回は、そんな人が特に多そうなタイプ8について考えていきましょう。
とある8w9の人格

まずはっきりさせましょう。今回のお話、8w9の人の実例を見ていきます。8w7ではないので(あっちも大人しいというかクール系がいるけど)、ひとまずそちらはおいておきましょう。
で、その8w9の彼ですが、性格を素直に読み取ると、多分タイプ5かタイプ9に落ち着くような感じの人でした。
端的に言えば、人に優しくよく譲り、時として「大丈夫か?」というくらいにお人好しな面を見せるタイプの人ですね。
それこそベビーカーのタイヤが引っかかって動けない赤ちゃん連れを助けるとか、道を訪ねたおばあさんに懇切丁寧に応対とか、おおよそ彼の行動はタイプ8のやることではないです。
かと思えば性格は控えめで誰が見ても「大人しい」、と。あまり積極的に物を言う方ではなく、周囲から馬鹿にされることもしばしばだったようです。
そんな「誰がどう見てもタイプ8じゃないだろ」とツッコミを入れたくなる彼ですが、やはりタイプ8要素はしっかりと持ち合わせていました。
端的に言えば、妙なところで発動される自我の強さ、そしてナチュラルに発揮される乱世思考、さらに言えば怒りを文字通りコントロールすることができる点ですね。
以下、ちょっとタイプ8エピソードをまとめてみましょう。
彼のタイプ8エピソード
エピソード1:いきなり主張する自我の強さ
まず自我の強さから。彼は物欲が薄いのか争いに興味がないのかしょっちゅう人に順番やものを譲ってしまいますが、それでも他者に悪意があった場合は豹変するタイプでした。
端的に言えば、タイプ1も真っ青な悪を許さん人となり。弱者が貶められている場面や善性が軽んじられている場面では普段からは信じられないほど強固に自分の意見を主張し、頑として譲らないところが顔を出します。

普段ニコニコしてるくせに、裏では何人も悪人を葬ってきてますね、あれは。
どーせ手も結構血みどろなんだろうなぁ……
タイプ1ほど清廉潔白でもなければ怒りを前面に出すので性格は全然違う。
タイプ9らしさは完全に鳴りを潜め、アグレッシブに主張しまくる。
タイプ5にしてもやっぱり主張がうるさい。
そんな感じで、普段の温厚さや理知的な感じがウソのようにパワーファイターになってしまうところが彼にはありました。
やっぱり、8w9ってクマさんなんだなぁと、そう思い至った瞬間が何度かありました。
エピソード2:ナチュラルに乱世思考
彼とはなかなか仲良くしているし私は親友だと思うのですが、何なんでしょう。まだ腹の中に何か隠しているような、そんな印象をどうしても受けてしまうんですよね。
と、そこは憶測に過ぎないので放っておくとして……やはり腹に一物抱えたタイプなんですよね、彼。
人によく譲るくせに人のことを信用していないというか、常に保険をかけてるんですよね。
これはいつか「人を信じすぎじゃないか」と質問した時の返答ですが、「別に信じているとかそういうのではない」「これくらいなら裏切られても痛手ではない」「裏切られてもこう(いろいろ粛清や対処法をのべていた)すればいい」とのこと。
やっぱどれだけ優しくても脳内の回路は乱世なんですね。それを思い知った瞬間でした。
あれだけ譲ってあれだけ信じても、やはりまだまだ裏切りの可能性を考慮しているのでしょう。
エピソード3:必要とあればヤ◯ザにも
これはとある店で複数人から因縁を付けられた時のこと。確か、「気持ち悪い顔で立ち寄るのは迷惑行為だ!」とかそういうのだったか?とにかく大声でいろいろ喚かれたのは記憶にあります。
まあ迷惑行為をしているのは相手方なわけですが、周囲からすればどうでもいいわけです。
こういうの、基本的に部外者目線では「とにかく事態が収まればいい」という心理が働くので、集団の圧力は弱い方に向くわけです。
この時もその例に漏れず、「いいから出て行ってくれ」という目線を周囲から向けられており、我々一同、さっさと店から退避した方がいいのではという考えに支配されつつありました。ただ1人、彼を除いては。
「ただ買い物してただけじゃねぇか!悪いか!」
と、彼は唐突にキレ始めたのは、今でも印象的ですね。
無論、唐突すぎてこっちも相手側もキョトン。ですが彼は微妙な空気感にめげず、さらに「そんなにブサメンが買い物して悪いなら国に嘆願して法案通してから言えよ!」と、まあつらつらと淀みなく、普段からは考えられないマシンガントークで畳みかけてきました。
結果として彼がキレ始めたことで形勢が完全に逆転。「どっちもヤバい」と思った周囲が一目散に立ち去ろうとしたところで騒ぎを聞きつけた店員さんがやってきて、因縁をつけられた側のこちらにはお咎め無しどころか店側から謝罪があり、結局その後もショッピングを続けることができました。
そんな立役者の彼ですが、その騒ぎが終わった後はまたいつもの大人しそうな顔に戻っていたのが印象的ですね。逆に怖ぇよ。
今でもネタ半分でたまにその話を蒸し返しますが、彼は「ちょっと言い淀んだ」とか「上手い人ならもうちょっと言えた」と、何だかちょっとおかしな方に謙遜を始める始末。タイプ9なら本気でキレて、その後この話は忘れそうなものですが……。
結論:わかりにくい
タイプを見分けるには根源的恐れと欲求、囚われが不可欠です。今回の彼の件だってその辺を知らなければ、もしかしたらタイプ9の暴発と思われるかもしれませんし、タイプ5が限界を迎えてキレただけと判断されるかもしれません。
ですが、断言させてください。彼は間違いなくタイプ8です。それなりに健全かつ8w9だからわかりにくいだけで、しっかりとタイプ8しています。
今回言いたかったのは、「大人しいけど虎の尾を踏むと豹変するタイプ8もいるよ」ということですね。
このように、ちょっとテンプレタイプから外れたタイプも中には存在します。それらを判別するために、おそらくはウィングとかトライタイプといった理論が作られたのでしょう。
安易にタイプを判別してはならない。これもまた、彼から得られた教訓ですね。
だって本当に大人しいんだもの……。あんなタイプ8のテンプレではないです。イケイケでもオラオラでもないです。家でお茶しながらのんびり本でも読んでそうなタイプの人間です。
とりあえず今回はここまで。普通のタイプ8解説も以下でやってますので、よろしければそちらもご覧くださいませ。
筆者:しゅんみん
Twitter:@nemukedesiniso
参考書籍
エニアグラムタイプ一覧
エニアグラムの基礎知識
ウィング
トライタイプ
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