今回は俗に言うMBTIの心理機能:Si(内向感覚)についてですね。
よく記憶力、精密な作業遂行力と判別されている一方で、責任感の強さゆえの視野の狭さやタイプ6と合わせて思考停止する面ばかりが取り沙汰されていますが……本当にそれだけでしょうか?
ともあれ、今回はそんなSiとは何なのかを考えてみましょう。
Si(内向感覚)の特徴
公式書籍によれば……
- 五感から得られたことや、過去に体験したこと、いま体験していることを信頼する
- 完全に掌握できたと実感できるまで、五感を通じて体験する以外のことをベースになにかをすることは、居心地が悪く感じる
- 相手が、事実に注意を向けず、具体的な詳細などを軽視していると感じると、信用しなくなる
- 注意深く、秩序だったやり方で、事実や詳細に意識を向ける
- 最後まで誠意をもって責任を果たそうとする
- 伝統や由緒ある制度を大事にする
- 確実な論拠をもって状況を見据え、信頼できる印象を周囲に与える
- 効率や費用対効果を高めるために、既存の技術を完成させていこうとする
要するに……
- 大事なのは実際に体験していることや絶対的な論拠!
- 絶対的な事実以外を語る人は信用できないし気持ち悪い!
- 絶対的な論拠や実際にあるもの(伝統、責任、ルール)を大事にする!
- 穿ったものや革新的なのは好きじゃない!
Si(内向感覚)が高いタイプ
主機能
補助機能
個人的な見解
記憶力抜群だったり、やたらと細かいところまで精密に仕事ができたり……そういう面がクローズアップされがちですね。
実際その通りの人も多いのですが、せっかくなのでここでは「なぜSi持ちにはそんな人たちが多いのか」を考えていきましょう。
まずSiにとっての情報とは、絶対に覆らない普遍の真理です。極端な話、「絶対的にそうだ」と言いきれるもの以外は邪魔なノイズになります。
絶対的なものといえば、例えば実体験や過去に発生した出来事だったり、根付いている伝統や文化だったり、「1+1=2」といった証明されきった数式や理論、あるいはこういった類型論でも公式の見解がそれに当たりますね。
暴論言えば、「あの人(公式とか発信者とか常識とか)の言うことに反するものは全部嘘だ!」と言ってる人とか、自分の目で見ていないものを頑なに信じない人はSiが強いとも言えます。それ以前に健全とは言い難い人たちですけども……
ある種、実際に目の前にあるものは物事を判断する時の教科書であり、価値基準のバイブルになるわけです。
実際にあることや実体験だけを抽出して物事を語るために説得力があるし、ルールや手順という絶対的な教科書に忠実に従うからこそ精密に仕事をこなせるし、事実しか記憶に入れないから多くの事柄を記憶できる。
そのため思考もシャープでソリッド。無駄な知識や憶測のないスパッとした人たちです。
何となく几帳面なイメージがあるのも、記憶をいつでも掘り返せるように綺麗に整理しているからかもしれませんね。
Se(外向感覚)との違い
どちらも余計な憶測に容量を割かないために、判断機能と連動して無駄のない動きや思考が可能なタイプです。そういう意味では、似通った人たちですね。
ですが、実際には結構な違いが出ることも多いのがこの2機能。
Siにとって、ルールや原則はとても重要なもの。ノイズだらけの世界の中で、数少ない絶対的に信用できるものです。
ですがSeにとっては、ルールはむしろ邪魔。準拠するものや頼るべき存在なんぞより、その場その場をアドリブや機転で潜り抜ける方が遥かに重要です。
きっちりした秩序のSi。
何でもありの混沌のSe。
善/悪、秩序/混沌のアライメントで表すと、だいたいこんな感じに落ち着くのではないでしょうか?
Si(内向感覚)の欠点
Siは実行部隊としては非常に優れた長所を持った心理機能ですが、同時に欠点も持ち合わせています。
この機能が強い人たち、憶測や仮説の類をものすごく嫌うんですよね。
もっと極端なことを言うと、誰かが過去に実証したことや現実に定着していること、自分が体験したこと以外は全て嘘であり、空論であり、一考に値しないノイズと言ってしまっても良いかもしれません。
これらの中に正解があろうがなかろうが、完全に実証されない限りは決してポジティブな気持ちを向けないでしょう。
この辺、面白そうと思ったら脳内で妄想を膨らませるNiやNe(特にNi)とは対照的ですね。
彼らはなかなか現実を見ようとしませんが、Siは現実以外を頑なに見たがりません。
信頼できるソースを求めるために「誰が言ったか」も重視しており、この結果として「あの人の言うことだから正しい」とか「あいつが言ったのならそれは嘘だ」と一方的に決めつけてしまうところも……
Si(内向感覚)劣位の人たち
第3機能
劣等機能
Siが下位、特に劣等機能の人たちは、以下のような形でSiを発露します。
- 外向力の低下
- 事実や詳細にこだわりすぎる
- 自分の健康状態を非常に気にする
どれも元気なときにはあまり見えないような状態ですね。ごくたまに発露しますが、基本は無意識化にSiがしまわれています。
ですが強いストレスにさらされてまともに自分の強みが活かせなくなったときは、この傾向がより強く現れます。
やる気が起きなくなって日々を無為に過ごしてしまったり、急にがんじがらめになって身動きが取れない感覚を味わってしまうとか……
あるいは暴走してちょっとした言い違いを「事実とは違う!」「嘘をつくな!」と怒ったり、正解のうちのひとつを「もうこれしかない」と追いかけたり……。
ちょっとした具合の悪さを重大な病気のように感じてしまい、気が気でなくなってしまうような状況もありえます。
どっちにしろ、事実と自分の感覚を大事にするSiが悪い意味で発露した典型と言えるかもしれませんね。
筆者:春眠ねむむ
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