成功者タイプとして、おそらく昨今では最もなりたいタイプの1、2を争うであろうタイプ3。圧倒的なパフォーマンスの高さの裏には強い虚栄心が見え隠れしますが……むしろそれがタイプ3を成功者たらしめている要因でもあります。
そんなタイプ3の退行トリガーとなるものは、虚栄心の裏側にある無価値感。自分を価値のない存在と見なしてしまうことから虚栄心や承認欲求を高めていきますが、着飾った自分が全く評価されないと、目に見えて落ちていく人たちでもあります。
※退行は本来ならば分裂の方が書籍等でよく使われる正式な記載になりますが、本サイトではネット上でより浸透しているであろう「退行」で統一させていただきます。
タイプ3の退行
退行:タイプ9
退行については、以下の記事をご参照ください。
退行までの道
タイプ3にとって、人生はある意味単純です。みんなから認められるものは価値がある。認められないものは価値がない。それだけです。
タイプ3にとって、特に自分自身や本音といった要素は、人生によって無価値なもの。だから自分の本当の気持ちを殺して、周囲からの受けがいい自分や称賛される自分だけを「自分のあるべき姿だ」と思い込み、それ以外の要素を疎ましくすら思っているところがあります。
承認欲求が膨らんでいった結果、自分や他人に嘘をついてでも認められたり、誰かをわざわざディスってマウントを取ってまで自分の優位性や有能さをアピールしようとする姿も見られますね。
ここまでが通常段階のタイプ3ですが……承認欲求や自己顕示欲が物足りなくなると、さらに偉大な能力や実績(当然嘘や欺瞞も可)で自分を塗り固め、周囲に誇示しようとします。
ですが、そんなハリボテみたいなやり方は長く続きません。
認めて欲しい一心で心身の無理がたたったり、あるいは自慢のためについた嘘や犯した罪がバレて失脚、あるいはそもそも何をやっても周囲に認められないことで、タイプ3は「自分は価値のない存在なのだ」と落胆し、大きなストレスとダメージを受けることもあるでしょう。
周囲から全く認められず挫折を味わったタイプ3は、次第に退行が進んでニヒリズムへと到達するのです。
認められるイカした自分が本当の自分だ!
これがタイプ3を成功者たらしめる要因ですが、同時に落とし穴にもなります。
どれだけ周囲の望んだ通りに振る舞っても無駄だからと、結局全部が嫌になるわけです
退行状態のタイプ3
退行状態にあるタイプ3はやはり「目立ちたい」「頭ひとつ抜けていたい」という考えこそ強いものの、それを周囲に出せずにいます。
はじめはちょっとした休憩や休暇から始まり、次第に周囲や目標達成に無関心になっていきます。
いわゆる、「もういい、俺は知らん」状態ですね。もはや心が折れてやる気ゼロ。モチベーション最低の状態です。
「どうせ何をしても認められないんだ」と諦めて、これまで詰めに詰め込んでいた仕事スケジュールが一転。無駄な時間をだらだらと過ごしたり、目標を掲げる気もなくブー垂れたり、動作も反応も非常に鈍くなります。
哲学書に出てくるニヒリズムを地で行く無気力人間になる人も、決して少なくありません。
あるいは「自分には何の価値もない」と落胆し、世界に絶望して鬱々と過ごす人もいるかもしれません。
特に自意識が高いタイプ3だと、「人に顔を合わせたくない」と引きこもってしまう人もいるとかで……
タイプ3の統合
統合:タイプ6
統合については以下の記事にまとめておりますので、そちらをご参照ください。
単なるタイプ6に非ず
タイプ3の統合先はタイプ6とは言いましたが、普通のタイプ6を真似ただけでは意味がありません。
正直グループ内でただただ馴れ合ったところで「こいつらよりは上にいたい」と競争心が芽生えるだけだし、それこそ6w5のように専門知識を所属集団にコミットしたところで、自慢するための評価と実績の肥やしになるだけでしょう。
というか、タイプ3にも人情がないわけではありません。きちんと大事な仲間は大事に扱いますし、集団のこともある程度は考える人も少なくありません。
ぶっちゃけ、ただ馴れ合うだけでは実績主義と連動して気持ちが動いてしまう。肝心なのは、そこではありません。
タイプ3がタイプ6から得るものは無私の貢献であり、仲間への献身です。
統合状態のタイプ3
だいたいは自分の評価や人に誇れる実績を気にしているタイプ3ですが、統合が進むにつれて「実績や名声よりも、もっと大事なものがある」と考えるようになっていきます。
例えば大事な仲間とか、本当に社会のためになることとか、あるいは自分以上の大物を育てる喜びかもしれません。
健全になったタイプ3は、自分よりも大きなものを育てる喜びを知り、自分以外に得もないのに優しくする意味を知り、自分自身の価値が称賛や喝采だけでは測れないことを知ります。
これまで「自分が認められたい」と思っていたタイプ3が、健全化が進むにつれてもっと大きなもののために動こうと思えるようになっていくのです。
ある意味憑き物が落ちたというか、心に余裕が生まれた状態ですね。
人からの称賛に限らず自分の価値を認め、急き立てられるような思いがなくなったタイプ3です
仲間の信頼にステータスは関係ない
ステータスではなく、別のもの(相性とか心とか)で仲間内の信頼関係は築かれる。これはタイプ3が仲間を見つける時にもそうなのですが、特に自分自身に対して言い聞かせて欲しい言葉ですね。
今は綺麗事に聞こえるかもしれませんが……実際そういうものです。信頼関係とは、なかなか単純化できない、計り知れないものなのです。
世の中いろんな人がいるもので、何をしても嫌う人は嫌うように、どうやっても好いてくれる人は案外います。
当然、実績がものをいう場所ではそうも言っていられないのですが……仲間や友人くらいは、ステータスや実績でなく中身や本音で付き合ってみませんか?
本音を話すと急に離れていく人は、客としてはともかく友人としては付き合うに値しない人物でしょう。それらを捨て置いても、きっと残ってくれる人はいます。
タイプ3に必要なのは信者でもライバルでもなく、等身大の自分を見てくれ、心を許せる仲間です。
ご安心ください。きっとあなたには、ありのままでも価値を認めてくれる人がいます。
筆者:春眠ねむむ
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参考書籍
エニアグラム解説
タイプ一覧
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