自らの弱みやできることを理解し、気持ちとロマンスに生きるのタイプ4。やや陶酔的な面は否めませんが……本当の幸せを目指すなら、このタイプから学ぶものは多いはずです。
さて、そんなタイプ4の退行のトリガーになりがちなのは、「誰もわかってくれない」「誰もついてくれない」という孤独。
孤高の存在を目指すタイプ4ですが、当人たちが唱える個性とは、人に認められた上に成り立つものがほとんどなのです。
タイプ4の退行
退行:タイプ2
退行については、以下の記事にまとめてあります。ご参照ください。
退行までの道
タイプ4にとって、普通に生きる自分とは並の人より遥かに劣った何かです。よって、普通に生きるという選択肢はほぼありません。
そもそも、タイプ4から見た普通の人は嫉妬と羨望の対象です。口ではどれだけ普通の人を馬鹿にしてても、やはり「自分には無理な生き方だ」と劣等感を覚えており、それがタイプ4を個性的な人へと駆り立てていきます。
ですが、いくら変わった自分を「これこそが自分だ!」と認めたところで、他の人が認めてくれるとは限りません。
「いいから黙って普通に生きろよ」と全否定されたり、馬鹿にされることだってあるかもしれません。
タイプ4の人たちはなまじ変わり者で中二病を決め込みやすいぶん、孤立しやすく理解されづらいのです。
この孤独と周囲からの風当たりが、タイプ4にとって強いストレスになります。
自己陶酔してる自分と、それを冷ややかに見つめる周囲の人々。このギャップに長い間浸され続けることでタイプ4はストレスを溜め、退行、あるいは不健全化が進んでいくことになります。
感情センターの合言葉は「私を認めて」です。
タイプ4も孤独耐性は高めですが、一生誰にも認められない状況をよしとするほど耐久力は高くありません
退行状態のタイプ4
さて、では退行したタイプ4がどうなるのかというと……一言で言えば、人との関係や繋がりに執着するようになります。
もっと言えば、構ってちゃんのメンヘラ気質ですね。
誰かとベタベタして見せかけ上でも親密になることを意識したり、あるいは拗ねたりキレたりして周囲のご機嫌取りに期待したり、「私たち親友だよね!」と何度も確認したり……
実際に、対して親しくない人とわざわざ2人きりの場所を作って、望んだ通りの言葉を期待する人も見たことがあります。
基本的に自分にウットリして勝手に盛り上がるタイプなので、周囲はなかなかついていけません。退行状態のタイプ4はそんな周囲の反応を機敏に察知して、無理矢理にでも自分との交友関係に周囲を縫い止めようとしてきます。
自分の支援者や味方を増やすために、どんな手でも使って人の関心を自分に向けさせることもあります。
「私はあなたの人生にはなくてはならない人なんだ!」と過剰に訴えては、何としてでも他人との繋がりを守ろうとします。
気に入った人に対してとんでもない所有欲や嫉妬心をあらわにすることもあるでしょう。
健全度の底が見えてくると、仕事中でも構わず電話したり、恋人に対してはどんな理由であれ(例え仕事上でも)会話することを許さない人もいるかもしれません。
健全度別のタイプ4については、以下にまとめていますのでご参照ください。
タイプ4の統合
統合:タイプ1
統合については、以下に詳しくまとめています。
単なるタイプ1に非ず
タイプ4だって人間です。いつでもどこでもやりたい放題やって放縦放蕩を極めているわけではありません。内面では自己非難の塊のような人物。己の目標や自己実現のためにストイックになる姿はたびたび見られます。
むしろ「特別な自分にならなければ」なんて気負う必要のない場面では、意外と厳格だったりします(セキュリティ・ポイント)。
正直、普通のタイプ1の自分への厳しさをタイプ4が身につけたところで元来の十分に自罰的な性格が加速して、余計に歪む結果となるでしょう。あるいは、精神が耐えきれず限界を迎えるのが先かもしれません。
タイプ4が取り入れるべきはタイプ1の特徴というより、本能センターのありのままを見据える目です。
統合状態のタイプ4
「自分は特別な存在なんだ!そうでないと、他人の足元にも及ばない出来損ないだ!」という強迫観念がなくなり、自分らしさに真正面からこだわることが少なくなります。
通常段階のタイプ4はどうやっても自分らしいものややり方をいつも意識していますし、時には今自分が置かれている状況や自分の気持ちを「特別なものだ!」と思ってウットリすることもあります。
ですが統合段階にあって健全なタイプ4は、自分の感じている気持ちにウットリして自分らしさを実感することが自己実現ではないと理解しています。
「自分が何者かわかっている。自分を示すためには、特別なことは必要ない」
と、そこまで思い至れたのなら、タイプ4はかなり健全になったと言って間違いありません。
現実を「自分には不利なものだ」と拒絶するでも卑屈になって迎合するでもなく、受け入れ、咀嚼するのが健全なタイプ4です。
事実と自分の憶測や気持ちの境界線がしっかりとわかっており、自分の気持ちに飲み込まれるでも、個性的な自分というキャラクターを演じてウットリするでもない。
ありのままをありのままとして受け入れ、冷めた目で実質的な世界を眺める傍観者でなく、その中で何かを残したい1人の生きた人間として世界とともにあり続けるのが、目覚めたタイプ4の行き着く先なのです。
自分の感情と事実を分ける難しさ
「気持ちと事実は違う」。正直、言うのは簡単でも実際は難しいことの一つだと思います。
ですが、タイプ4にとってもっともネックになっているのは、「自分の主観と客観的事実を混同しやすい」という点です。
主観を事実と勘違いすることによって特別な気分に浸れるのは事実ですが、タイプ4の浸る特別な気持ちは必ずしもポジティブなものとは限りません。
むしろネガティブな感傷のようなものにウットリすることもあるのです。
ですが、それでは長期的にはボロボロになってしまい、余計に感傷のウットリ感から抜け出すことができずジレンマに陥ってしまいます。
ありのままをわかってくれる人はどこかにいるはずです。
夢のような理想の人を探すのでも、わかってくれない自分に酔うのではなく、現実世界の、自分を正当にその存在を肯定し、正当によくない点を否定してくる人を大事にしていきましょう。
筆者:春眠ねむむ
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参考書籍
エニアグラム解説
タイプ一覧
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