タイプ3。正直、他タイプからするとちょっと羨ましいですよね。
成功者の名を欲しいままにすることも多く、特に昨今のような「成果主義」「自己PR至上主義」みたいな世の中にはドンピシャと言ってもいいくらいの適性があります。
が、そんな「自慢できる成功体験がない奴はゴミ」みたいな思想に染まりすぎると、いろいろと不便も生じてきます。
タイプ3の囚われである「欺き」は、まさに成果主義の不便をそのまま表したようなものと言えるでしょう。
評価されない奴はゴミ同然!

タイプ3は基本的に自信満々で時に大胆なハッタリをかます事もありますが、その内心は決して穏やかなものではありません。
「人から認められるような力を持っていない奴はゴミだ!生きる価値のない奴なんだ!」
と、このような強烈なネガティブ感情が心のどこかに強く残っています。
だから、自分も人も認められなければ価値がない。
自慢できる実績や能力の1つもない奴は、例え自分自身であっても生きていてはならない。
誇張抜きに、これくらい思っていてもおかしくない人も普通にゴロゴロいますね。
そんなだから、タイプ3が目指すのは大抵目立つ花形ばかり。
選ばれた人間として誰にでもわかるような功績を打ち立てて、それをネタにいろんな人から認めてもらう。これがタイプ3の生存戦略であり、文字通り認められることに命をかけているわけです。
だから評価されない仕事はどんなに重要でもノーサンキュー。
結果として大して役に立たなくても「よくやった!偉い!」と言われるためなら、多少無理をしてでも最優先でその仕事をやる。
場合によっては、誇張や嘘っぱちも考える……。
しかもみんなそうすると思ってるし、普通はそうしない奴に存在価値を感じられないのがタイプ3というわけです。

仕事もプライベートも、人からの評価が全て。
縁の下の力持ちを見ても、「ぶっちゃけコイツいない方がよくね?」とか見下し始めるのがタイプ3クオリティです
評価されれば後のことはどうでもいい
健全な精神を持っていれば話は別ですが……それ以外のタイプ3は「評価されるかどうかが一番大事」とどこかで考えている節があります。
そして不健全になればなるほど、この「評価さえされればいい」という考えはより強くなっていきます。
不健全なタイプ3は、最後には「自分が評価されれば、何をしてもそれこそ正義」のような考えに行き着く事すらあるかもしれません。
寝食を惜しんでの努力はもちろんのこと、過大アピール、ライバルの誹謗中傷、謀略、自己正当化のための差別発言……どんな事をしても社会的評価を得て、人から称賛されようとします。
評価されてない人間は存在価値がないので完全無視。
利用できそうな人がいれば取り入って利用し、場合によっては使い捨ててでも自分が上に立とうとする事もあるかもしれません。
当人たちには別段悪意がない事も少なくありませんが……無意識に人を巻き込むのでまあまあタチが悪いです。
当然、自覚はないので基本的に見返りは期待できない。あったとしても、人気取りの可能性が高いでしょう。
完全に成功に囚われたタイプ3にとって、人生はあくまで自分が成功するためのステージ。自分も人も、所詮は成功や周囲の羨望を得るための舞台装置でしかないのです。

自分の価値が相対的に少しでも上がるなら、誰かの権利も命も踏みにじる。なんなら嘘っぱちの誹謗中傷をぶちまけてもケロっとしてる。
私もそんなタイプ3を何人か見たことがありますが、きっと死ぬほど不健全だったんだろうなぁ……
いちばん騙してるのは自分自身
実績が残れば何でもよし。
そのためには欺瞞も手柄の横取りも辞さないところがあるタイプ3ですが……それもこれも、すべて「騙してでも成功しないと存在価値がない」という強迫観念があるせいです。
誰かを罠に嵌めたり人の功績を勝手に横取りして手柄を水増しするのは、言ってしまえば「そうでもしないと自分の実力のなさを悟ってしまうから」であり、「そこまでして評価されないと生きる価値がないから」です。
タイプ3は実力以上に振る舞って周囲の人も欺きますが、何より一番騙しているのは自分自身です。
「自分は完璧だ!そうじゃなきゃ死ぬしかない!」
「お前は天才だ!できる!できなきゃお前はゴミ以下だ!」
とまあ、タイプ3の心中を言葉にするとこんな感じでしょうか。
自分を激励しているだけではなく脅してもいる。ここがタイプ3を語る上で一番重要なポイントです。
ぶっちゃけ、自分の本音なんて知ったことではない。自分の体調も願望も、成功した後のことも考えない。
「成功しない奴はダメだ」
「人に評価される存在でなければ生きる権利なし」
自分を徹底的に追い詰めて成功以外の生き甲斐を全否定し、まず自分をマスコットや商材としてふさわしい姿に徹底的に作り直す。
そうやって自分を改造して「人から褒められるのに特化した自分」を作り出すことで人に認められようとしますが、その過程でどんどん「自分が本当に欲しかったもの」がわからなくなっていきます。
そしてある程度の成功を収めた後に我に帰っても、自分の欲しいものもわからない。何かしらの違和感を感じてしまう。なぜなら本当に欲しいものは、「いらないもの」として全部どこかに捨ててしまったから。
自分を改造して認められれば認められるほど、本当の自分がわからなくなる。これも、タイプ3の宿命のひとつなのかもしれません。

ネットビジネスで成功したタイプ3なんかには結構多い印象ですね。
その結果、「努力すればなんでもできる」系の成功秘話を上から目線で人に語り、「全部を捨てて努力してきた自分を正当化する」、と。
こういう人が裸の王様になるんだろうなぁ……
いらない自分は存在しない
タイプ3は「思い込みがモチベーションを与えてくれる」という言葉を心の底から理解していますが……それだけに、思い込みから生まれた成功者としての自分を「これが本当の自分だ!」と思い込んでしまう節があります。
本当の自分は成功のためには「いらない」から、どこかに捨てていってしまうわけですね。
ですが、どこまでも「いらない自分」はついて回ります。その都度その都度自分のいらない部分を捨てていくのですが、それでもなおいくらでもいらない自分は出てきてしまいます。
ただ、これらの「いらない自分」もまた自分を構成する大事な要素であり、自分というアイデンティティや本当の自分を形成する上で欠かせない部分です。
等身大の自分がなければ真に自分に価値があるとは言えませんし、自他を騙して理想像を作り上げたところで、評価されるのは「自分の理想像というキャラクター」にすぎません。
まずは「成功するために作られた自分」と「等身大の自分」を分けて考えるところからスタートする必要があるでしょう。
人間関係は価値だけでない
さしあたって大事なのは、自分の本音を知るところ、そして思ったことを話せる人を作ることでしょうか。
健全気味なタイプ3の多くは「学歴や利用価値で人を選んでます」と言いつつも、結局明らかにそれ以外の基準で選ばれた人がそばにいるものです。
心置きなく本音を話し、それでも受け入れてくれる人の存在は、タイプ3の成長にはほぼ必要不可欠です。
まあそんな人間を捕まえるのは努力よりも運が大事そうな話ですが……とりあえず直感で「こいつなら大丈夫」と思った無害そうな奴でも捕まえてください。
どれだけ使えなくても、仲間ではなく「友達」として接していくことで、何か見えてくるものもあるかもしれませんよ。
当然、相手に愚痴や不安をぶつける勝負の日までに、「成功」も「名声」も関係ない自分の本音を探してみてください。
それこそ近くの銭湯にあるサウナとかでも構いません。

お風呂はいいですよ……
一糸まとわぬ裸の姿でただただ瞑想。これだけでも、なんか色々見えてきます……
あ、見栄張って天然温泉付きのスパとかは無理に行かなくていいですよ。服を脱げば、どこの誰とかそんなん知ったこっちゃありません
瞑想し、捨ててきた自分の本音と向き合う。
無駄な時間のようにも感じますが、タイプ3に必要なのは、そんな「本当の自分に気づくための無駄な時間」なのです。
まとめ
というわけで、今回はタイプ3の囚われ「欺き」に関していろいろと考えていきました。
何よりもまず自分を欺く。そうしているうちに本当の自分がわからなくなるorどうでもよくなる。これがタイプ3の囚われの黄金(?)パターンです。
囚われに気づき、克服に向かうことは容易ではありません。これは、タイプ3であっても同じことです。
まずは等身大の自分自身を否定し捨て去っているという事実を理解し、認めることから始めるといいかもしれません。等身大の自分を探すのはその後です。
欺きに気づき、価値のない自分を認め、許すことで、タイプ3は健全に向かいます。
健全とかどうでもいいならそれもまた一つの道ですが……がんじがらめから解放されるためには、等身大の自分の発見は必要不可欠。
自分を知り、認めることで、逆に気持ちが軽くなることもあるのです。
筆者:春眠ねむむ
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