知的な印象、そしてオタクで内向的な性格が、タイプ5の大きな特徴です。臆病でやれることしかしたがらない面はありますが、一歩引いた視点から物事を見ることができるのは大きな強みです。
さて、そんなタイプ5ですが、実はタイプ6に引けを取らないレベルのビビリ属性。
無力感を覚えることを心のどこかで拒絶しており、無力感に真正面から向き合う羽目になったときに退行が進んでしまう人物でもあるのです。
タイプ5の退行
囚われ:ためこみ
退行:タイプ7
退行については、以下の記事にまとめてあります。ご参照ください。
退行までの道
タイプ5は、自分が無力感を覚える状況を特に恐れています。
そのため自分の縄張りから出ようとせず、無能や無様を晒さないように延々と準備を繰り返したり、挑戦そのものを拒絶することで自己有能感をなんとか保とうとします。
あるいは俗世や人との関わりそのものを断つ事で、自ら孤独を選んで人と関わるプレッシャーから逃れようとすることもあります。
ですがこの世の中、ずっと引きこもって過ごせるほど平穏にできてはいません。時として知らない分野に手を出したり、未完成の技術や知識を披露しなければならない場面が訪れます。
タイプ5は準備不足の段階で戦うことをひどく恐れており、その恐れが現実味を帯びることに強いストレスを覚えます。
普段は自分の感情を麻痺させたり自分のフィールドに引きこもることでストレスに対応しますが、それがうまくいかなくなってくると人が変わったように何かを強く恐れたり、手当り次第何にでも飛びつくこともあります。
これが、タイプ5にありがちな退行ルートですね。
退行状態のタイプ5
救いがない。自分が磨いた技術も知識も意味がない。そんな状況に耐えかねたタイプ5は、いつもの臆病さゆえの慎重さを失い、どんなものにも飛び込む危うさを見せるようになります。
「なんでもいい。形も状況も問わないから、とにかく今救いがほしい」
追い詰められて困窮した人は、まともな判断力を失います。普通ならばわかるようなリスクにも気付かず、短絡的に救いを求めてしまうものです。
タイプ5の退行を簡潔に表すなら、まさにこの「困窮しきって正常な判断力を失った状態」ですね。
酒、性的逸脱、違法ドラッグ、怪しげな新興宗教と、なりふり構わず自分を助けてくれそうなもの、支えてくれそうなものに飛びつきます。
楽しいかどうか、本当にためになるかもどうでもいい。とにかく苦痛を少しでもなくしてくれるなら、どんなものにも救いを求める。
どんなものでもいいから気を紛らわし、絶望から目を背ける。
なまじ色々と考えてしまう傾向にあるタイプ5は、普段からは想像もつかない短慮な姿を晒すことも少なくないのです。

「馴れ合いは絶対悪」と言って交友を否定しながら、誰かを神格化して信奉するタイプ5とかもいますねぇ、たまにですが。
健全度が下がると、特に言うこととやることが違う人も少なくないですねぇ……
健全度別のタイプ5については、以下にまとめていますのでご参照ください。
タイプ5の統合
統合:タイプ8
統合に関しては以下に詳しくまとめています。よろしければご参照ください。
単なるタイプ8に非ず
タイプ5だって、自信があったり崩壊や報復を気にせず自分を出せる人間関係に恵まれることはあります。
とことん知っていることに関しては自信もつきますし、場合によっては知識を使って誰かを攻撃したり否定する連中もいます。そもそも、案外タイプ5脳内は乱世寄りです。
正直、タイプ8が持ち得る「奪うか奪われるか」の乱世思考から学ぶところは、ほとんどないと言ってもいいでしょう。
逆にこれ以上人間社会の非常さを実感したところで、余計に動けなくなったりアンチ人間関係寄りの思考を凝り固まらせる結果に終わるでしょう。
あくまでタイプ8から学ぶべきは文字通りの自信と、意思を貫こうとする精神力です。

タイプ5というより思考センターの悪い癖ですが、たまに力と自信の意味を履き違えて自分より弱そうな人間をド突きにいくのはご愛敬……
統合段階のタイプ5
何を持つでもどんな武装をするでもなく、ただその場にいるだけの自分を肯定して、絶対的な自信とまではいかないものの高い自己肯定感を持って物事に取り組みます。
責任の回避や世界との接点を減らして引きこもることよりも、自分の力を振るい、現実の世界とともに生き、自分なりに問題解決や途方もない挑戦に真摯に取り組みます。
「自分には、きっと力がある」
得意分野に引きこもったり他人を引き合いにした偽りではなくただ本気でそう思うことで、タイプ5はより自信を持ち、心に余裕が生まれ、より力を発揮していくのです。
思考だけでなく、心と体がバランスよく連動する。これだけでも、使えるエネルギーはかなりのものになるはずです。
もともとタイプ5には、殻に引きこもって人一倍磨いた知識と技術があります。これらは、決して無駄ではありません。
能力はただ漠然と積み重ねるのではなく使うものだと、統合しつつあるタイプ5は理解するのです。
自信をつけるのが何より先か

タイプ5にとって最も鬼門になるのが、最後の最後にある本番。すなわち、考えて計画した末に行動を起こすことです。
タイプ5の中では、行動とは完璧に準備してから起こすもの。常に準備不足感が否めず、結局「まだ早い」「もうちょっと準備してから」と行動を先延ばしにした結果、最後には「無理だな」と諦めてしまうまでがよくある流れです。
その場では「もうどうでもいい」と割り切っても、惜しむ気持ちや機会を逸した喪失感は心のどこかに必ずあります。
それが歪みとなって、最後には焦りや偽りの優越感を生み、それでもダメなら退行が始まるのです。
タイプ5にとって最も必要なのは、自信です。そしてそれは、得た知識をどこかで軽く披露するだけでも十分に得られるはずです。
自信をつけ、もっといろんなことを人に披露し、さらに周囲に認められ……タイプ3ではありませんが、人から認められることはいい結果を生むはずですよ。
そうやって自信をつければ、あとは凍らせて封印した自分の気持ちやニーズを解き放つフェイズになります。
あなたには、欲しいものや成し遂げたいことがあっても構いません。むしろそれを尊重しない人とは、進んで縁を切るべきとも言えるでしょう。
良い人に囲まれ、良い経験をすることで、タイプ5の逃げ癖はおさまるはずです。
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