タイプ2は「人から必要とされたい」「感謝されることでしか自分の存在を肯定できない」という心の闇を抱えており、そのために「人には優しくしなければならない」という自分ルールを課すことがあります。
タイプ2の中でもウィングが1に傾くと、「人に優しく」という使命感が強くなっていきます。
というわけで、今回はタイプ2の中でもウィング1の人たちに焦点を当てていきましょう。
文字通り「尽くす人」
2w1の人たちは「尽くす人」と言われていますが、はっきり言って文字通りです。
面倒見の良さは全タイプ中でもトップクラス。
2w1の人たちのみならず、どこかに2w1の要素を持つ人は、たとえ人付き合い最悪のタイプ5や案外周りを顧みない7w8の人たちであっても、不思議とお人好し属性が付与されるほどです。
自分の損得や都合は基本的に無視。弱い人、ハンデを背負っている人、本当に困っている人がいれば、自分を顧みずについつい手助けしてしまうような、絵に描いたような善人が多いです。
ラブリースィートメロメロご奉仕スペシャル自己犠牲ふわふわヤベー奴ぶくぶく……(失神寸前)
性格から行動に至るまで、タイプ2の「人から必要とされたい」という願望とタイプ1の「高潔でありたい」という願望の合わせ技のようなものですね。
自分のニーズはほとんど無視。文字通り尽くす人として周囲に接します。
弱い者に寄り添う人
タイプ2の根源的欲求は、「愛されたい」というものです。要するに、愛してくれそうな人に、愛される行動をとるのが一般的ですね。
そこにタイプ1の「高潔でなければならない」という強迫観念が合わさると、弱者を守る慈善家としての側面が現れるようになります。
2w1の人たちは無私の精神をもって、弱者と関わります。
これには「弱い者を守るのは人として当然」という思いの他、「弱い者に肩入れすれば弱者からの支持(愛)を得られる」という欲求の側面があるのです。
通常、この組み合わせの人たちは慈善活動に取り組むのが苦ではありません。そこで得た絆(愛)が自身の糧になるからです。
無論、当人たちはこのことを否定します。「愛されたい」という欲求は自己中心的なものであると考えるからです。
また、弱い者を守りたい・救いたいという気持ちも本物でしょう。
だからこそ、「自分は無私の精神で奉仕している」という表層意識に囚われやすかったりもします。
自己犠牲はもはや癖
このタイプの人たちは「好かれる価値のある人でなければならない」という強迫観念が強く、そのためにはあらゆる努力をする一面が見受けられます。
そのうちの一つが、自己犠牲ですね。
このタイプにとって、自分自身のニーズはあってはならないもの、あるいはあったとしても表に出してはならないものです。なぜなら、それらは人にいい思いをさせないと感じているからです。
つねに自分の利己心と戦い、克服しようとする人たちなので、そのぶん自分を犠牲にする振る舞いは健全さを損なうごとに過激化していきます。
あれをやってはダメ、これをやってはダメ、あれやこれを欲しがるのもダメ……。
自分の中に眠るあらゆるニーズを「ただのわがままだ」否定し、葬り去ろうとし、そんなことより人に尽くすことでより人に好かれる自分になろうとします。
内向的な人も多く、好かれる相手は意外と選ぶ人もいますが……いずれにしても「人に好かれる自分でいたい」という思いは変わりません。
タイプ2ウィング3との違い
どちらも人に好かれたい欲求を持った者同士。ですが、どうやって愛されようとするかが全く違う人たちですね。
2w3は、他者から見て非常に魅力的な人に映ることが多いです。社交的で人をひきつけ、時にオーバーなリアクションなども織り交ぜながら好きな相手と深く関わっていきます。
対して2w1は比較的不器用というか、要領よく好意を勝ち取っていく方ではありません。そのために奉仕活動に専念するわけですね。
また、2w1がボランティア活動やチャリティー関係の事業を好むのに対し、2w3は完全なボランティアや多くの人を助けるための自己犠牲を嫌いますね。
ある意味、2w1は自分の魅力一本で勝負できないからこそ、優しさや奉仕を土俵に選ぶのかもしれません。
また、2w3と比べて見ると、2w1は非常に真面目に見えます。決して2w3が不真面目で適当というわけではありませんが、さすがに2w1と並べると真面目さに欠けますね。
2w1の方がかなり真面目に話を聞いてくれ増すし、一方で2w3と比べてやや内向的なところが見受けられます。
ぶっちゃけ、付き合う人間の選び方が2w3より下手ですよね。
恩を仇でしか返さない人でなしからも、頼まれたらついつい力を貸すことがあります
タイプ1ウィング2との違い
1w2との違いは、文字に書き表すだけならば簡単です。
自分のポリシー故に人を助けるのか、人助けのためにポリシーが形作られるのか。
何やら禅問答のようになってしまいましたね。もう少し詳しく見てみましょう。
1w2の軸足は、あくまで「こういう世界がいい」「こうありたい」という自分の理想や信念です。
一方で2w1の軸足はあくまで「人を助けたい」「人と絆を結びたい」。理想や信念は、人と関係を結ぶ上で好ましそうな要素を選んだ結果のものに過ぎないのです。
これだけだとちょっとわかりづらいので、行動面で考えてみましょう。
1w2は、人に好かれたり調和的な関係を結ぶよりも、まず自分の信念や「こうあるべき」という世界観を大事にするでしょう。
対して2w1は人間関係重視。何よりも人と仲良くなったり優しくすることが優先。楽観的なところも見られ、1w2と比べると柔和で接しやすいところがあります。
2w1の方が全体的にわかりやすく「いい人」ですね。メインタイプが2だけあって、接しやすいのも2w1の方です。
健全度ごとのタイプ2ウィング1
健全な姿
書籍に曰く「よきサマリア人」。報われない上に泥臭くて誰もやりたがらないことでも、人の苦しみや痛みを少しでも和らげることができるなら進んで引き受けることでしょう。
どことなく2w3と比べると外向性や社交性は劣りますが、そのぶん圧倒的に真面目で面倒見がいい人たちです。
心温かく道徳心の強い人たち。心が優しく人助けを好むので、近くにいてくれると非常にありがたいタイプの一つですね。
また、弱者の味方という一面も持ち合わせているタイプです。社会的に不利な立場にいる人たちを救うために我が身を投じることもあるでしょう。
通常の姿
自分の中に飼っているニーズを「利己的」「自分勝手」と考え、封印しようと日々奮闘する人たちです。
社会に従順で道徳心に満ち、まさに自分に厳しく人に優しいを地で行くタイプと言えるでしょう。
また、目立つことを嫌い、裏方として働くことを好む人たちでもありますね。自分なんかが出張っていいとは思えないところがあるのでしょう。
常に道徳心や戒律を守ろうとするため、自身の自分勝手な部分とは非常に相性が悪いです。そのため自己批判的なところが目立ち、セルフケアをほとんど行わないようになるかもしれません。
不健全な姿
どれだけ頑張っても愛情らしい愛情を得られなかった成れの果て。自分を道徳的な存在だと言ってはばからず、そんな自己イメージを揺るがすあらゆる可能性を全否定して回るでしょう。
また強引さが目立つようになり、人に一方的に恩を売っては好意的な反応を強要するかもしれません。
雰囲気がピリついており、明らかに「近づいてはいけない」オーラを放つこともあるでしょう。
また、どうしようもなくなると、極端な自己犠牲を働いて殉教者的な立ち位置を目指すようになります。好かれるいい人でいるためには手段を選ばなくなるのです。
まとめ
私利私欲が無いように見せかけるのが上手い人は世の中には結構いますが、本当に無私無欲で善行を行える人は限られています。
2w1は、何だかんだそういう高潔な“本物の善人”としての素質をしっかりと持っている希有なタイプです。
あとは、自分自身の欲求を否定しないで、自分の気持ちともしっかり向き合って生きていってほしいところです。
囚われが強いということは、統合に向けた自分なりの動きがより必要になりやすいということです。
自分の欲望は決して敵ではありません。向き合わなければ、いつかは自分がすり減ってしまいます。
自分の欲望もちゃっかり叶えながら、しっかり人の助けになれる。
2w1は、そういう聖人の片鱗を持ち合わせているタイプと言えるでしょう。
筆者:春眠ねむむ
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参考書籍
エニアグラム解説
タイプ一覧
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