タイプ1は厳然としていて自分なりの「正しさ」を妥協無く追い求める人たちですが、ウィングによって「ストイックに正しさを追求する人」と「自分の正しさを外界に発信していく人」の2種類に大別されます。
タイプ1ウィング2は、その中の後者。自分の正しさを世界に発信し、世界がより良いものになるように行動していける人たちですね。
テキストにあるタイプ1の特徴をより多く持っているのは、1w9よりもこちらでしょう。
理想と思い
エネルギーは基本的に外向き。人に働きかけ主張が強いタイプ1になります。
基本的に周囲と共に生きるタイプで、ちょくちょく外向型の人も見受けられます。
ただし、深く付き合う人は選んでますね。
自分と理想を共有できる人、自分を高められる人、自分の正しさを認めてくれる人……人によって色々ですが、いずれにせよ、自分の考えや理想ありきで付き合う相手を決めている点は否めません。
とはいえ、これが選民思想に繋がるのかというと意外とそうでもありません。
あくまで「多くの人のため」「自分が掲げる大義のため」「理想的な世界の姿を追求するため」といった公共のため、周囲の人々のため、志のために行動する人たちで、極力良心的で自己利益を無視した判断を行おうとします。
例えば「迷える人々を本気で救いたい」とか「弱者を助けたい」とか、そういう途方もないことを言い出しやすいのは大抵この人たちですね。
あくまで自分の理想に少しでも近づくため、あるいは(ちょっと黒い部分を言えば)自分の理想を正当化するために付き合う相手を選んでいるに過ぎず、何人脱落しても構わないという考えは持ち合わせてはいないのです。
時に口うるさく、特にイライラした時には文句も八つ当たりもやる人たちですが、タイプ1らしい高潔さはしっかりと持ち合わせていると言えるでしょう。
1w2の視線
タイプ1らしく、自他の正しさや道徳性に目を向けますが、1w2は特に外向きの視線を持ちます。要するに、周囲や世界に対してタイプ1らしい目線を向けます。
「これをどうにかしたい」「あの点を改善したい」
そんな思いは間違いなく1w9より抱きやすく、特にイライラしていると些細なことでも周囲に突っかかったり否定的な発言をしてしまうこともあります。
まあ、文句を言っても絶対キレないようにはしますがね。
だって些細な好き嫌いですぐキレる奴とか、大半のタイプ1の価値観からすると終わってますし
ただ、タイプ1らしく基本は無私です。ちょっと感情的になったりキツい言い方をしてしまう人もいますが、それでも気に入らない相手を叩き潰そうという意志は基本的に持ちません。
あくまで自分の理想如何です。理想にどれだけ即しているかに全てが集約されています。
「人を救いたい」
このタイプの根幹は、「人を救いたい」「人を導きたい」という思いです。擁護者という別名がついていますが、それはこの願望のためと言ってもよいでしょう。
他人に口うるさくなったりするのも、裏を返せば(本人にとっては)当人のため。健全さを失ったりしない限り、悪気はほとんどありません。
実際、人と関わるときは他人のニーズや思いによく耳を傾けています。そうでなければ、どういう状況か読み取ろうとするでしょう。
もっとも、完全なギバーとなって無償で色々なものを与えまくるのは好きではありませんが……それでも、相手が必要なもの、ゆくゆく必要になってきそうなものは積極的に与えようとします。
まあ、この「必要なもの」という基準が人によってマチマチですが……よく怒る人もよく笑う人も、1w2である以上は焦点は自分でなく人に向くでしょう。
自己正当化という裏の顔
基本的に人のために動いたり人を思っての行動が目立ちやすいタイプですが、一方で裏の顔も持ち合わせています。
それが、「自分の考えは正しい」「正しくなければならない」という一種の思いあがり・強迫観念です。これは特に、本能のサブタイプにおけるソーシャル優位の人は顕著ですね。
自分は正しい行いをしなければならない。裏を返せば、正当でなければならない。
人を救いたい・助けたいという思いは本物ですが、それらの行動や思いは全て正しいものでなければならないのです。
そのため、自分の行動が「偽善」「余計なお世話」「全体を悪い方向に向かわせている」といった批判を受けることを恐れています。
これは1w9も同じですが、行動的で人に働きかける1w2の恐れはさらに大きなものになります。
そのため、自分の行動を常に正当化する必要が出てきます。
1w9のように「悪党や道理絵を解さないバカが何かを言っている」と澄ました顔でスルーすることができず、人に対して常に自分の正当性を喧伝する必要性に迫られるのです。
また、未熟(と考えている)周囲にもイライラを募らせます。
自分の正当性に不安を抱えているからこそ、意固地になって周囲に「正しいはずの自分の物差し」を押し当て、至らなさにイライラしている感じでしょうか。
清廉潔白は挑発に弱いという文言をどこかで見た気がしますが、こういうことを言うのかもしれませんね。
1w9との違い
どちらも「私はの理想は正しい!」「少しでも正しくありたい!」という思いをどこかに持っていますが、外から見て1番わかりやすいのは対人関係の積極性、その次に来るのが自分の正しさを表現する方法でしょうか。
1w9「他人は関係ない。自分は自分の正義を貫く」
1w2「正しさは主張するもの!人にもどんどん関わって、みんなで正しさを追求したい!」
どちらも自分の中で絶対とも言える正義や信念がありますが、1w9は他人をほとんど顧みないのに対して、1w2はガンガンに正しさを発信していこうとします。
正義感から異端審問とかやり始めるのが1w9、宣教師を嬉々としてやり始めるのが1w2。
要するに閉鎖的か、開放的かの違いってわけです
正直1w9は異端審問じみたことをやるより割とほっときそうですが……まあわかりやすい例ということで。
1w9は人に理想を語ることこそありますが、共感は求めません。自分に共感してくれる人の存在こそ求めますが、基本的に自分一人でも理想に突き進む求道者タイプです。
一方で1w2は、あくまで人に囲まれながら進んでいく、宗教グループの長のような感じでしょうか。
自分の理想を人に語り、理解を得たり批判を受けたりしながらも、自分の周りの人たちが少しでも昨日より進歩できるように、あるいは自分の理想を共に叶えられるように、時に厳しく時に優しく見守ろうとする。
そんな感じが1w2の人たちの特徴ですね。
余裕がなくなると教育ママを通り越して「そんな暇があるなら勉強しなさい」botになるのはご愛敬
2w1との違い
2w1との明確な違いは、「何を追い求めるか」の1点でしょう。
どちらも好んで人助けをするお人好し属性持ちですが、なんだかんだ言って1w2は理想主義者。人を助けて感謝されたいというよりも、「そうするのが当たり前な世界にしたいから」と人を助けます。
もっとも、これは深層心理の話。表層ではどちらも「人助けをするのが当たり前だ」と考えています。
では表層的には何が違うのか?一番わかりやすいのは、人への接し方でしょう。
2w1はタイプ2です。要するに人には迎合的で、色々な方法を使って非常に有効的な姿勢を示すでしょう。
では1w2はどうか?お人好し属性はありますが、それ以上に自分の信念や理想ありきです。友好的に接することが目的ではないため、人に好かれたそうな反応はあまり見られないでしょう。
また、2w1は自分のことをどこかで「自己中心的だ」「身勝手だ」と思いやすいのに対して、1w2はその辺りの葛藤はありません。
むしろ自己中心的な点を指摘されると、「マジで?」「間違ったことを言ってるかなぁ」とちょっとモヤります。
健全度ごとの1w2
健全な姿
利他と慈愛の精神を持った政治家・活動家タイプといったところでしょうか。情熱的で多くの人を惹きつけ、自分が掲げる理想を提示して、みんなで世界を変えようとする人たちです。
多少泥臭いことでも、他者をより良い方向に導くためには躊躇なく行います。
1w9と比べるとかなり活発で外向的。決して一つの理想だけに専心するわけではありませんが、いろんな人と関わりながら自分の知見や理想を研ぎ澄まし、多くの人のためになると確信できるようなものに形作っていきます。
通常の姿
極めて行動的、そしてエネルギーが外向きな人たち。ちょっとイライラしやすいですが、人のニーズをしっかりと聞き入れ、考慮に入れて自分の考えをまとめていく人です。
理想主義者というより文字通り「改革する人」というような感じのタイプで、主張が強く、自分の考える正しい姿や素晴らしい世界に向けて精力的に外部と関わります。
一方で自分の思い通りにならなければ納得しない一面が強く出やすく、操作的になったり説教を始めたりする一面もしばしば見られるのがこの人たちですね。
不健全な姿
イライラとフラストレーションが溜まりやすく、その発散として「自分は良くて人はダメ」という方向性で物事を考えることが多くなります。
不健全に落ちてしまえば、もはや唱える正しさも空虚なものになるでしょう。自分は時間を空費しながら、他人のなっていないところをキレ気味に、あるいは嘲笑気味に指摘することもあるかもしれません。
周囲を「わかってくれない」「正しくない」と見なし、侮辱したり喚き散らしたりしながら是正を訴える可能性も低くはないでしょう。
まとめ
というわけで、今回はタイプ1ウィング2について色々語ってみました。
1w9ほど清く澄んだ世界を求めるわけでもなく、かといって2w1ほど人に尽くしすぎることもない。
ある意味では、理想と他者目線の合いの子みたいなタイプですね。
ただし理想主義者で他者にも目線が向くため、そのぶん周囲の至らなさにはすぐに気づきます。要するに口うるさいタイプというわけです。
1w9ほどに理想にひたむきではありませんが、良き世界を目指している点は変わりません。そしてその世界はみんなのためのものです。
ある意味、1w2が一番世界のためを思っているといってもいい……のかも?
ちなみにウィングが2に傾けば傾くほど、このタイプは愛想よく柔和になるイメージがありますね。
逆にタイプ1の純正に近づけば、ストイックさや厳格さが強くなっていきます
筆者:春眠ねむむ
X :@nemukedesiniso
threads:@shunmin.nemui
エニアグラム新着記事
参考書籍
エニアグラム解説
タイプ一覧
コメント