今回はタイプ9に関してちょっと考察。
彼らは「怒ると怖い」とは言われますが、一体何を恐れ、何に対して怒りを覚えるのか?そこのところを考えていきたいと思います。
あくまで私なりの意見なので、その辺はご承知おきください。
タイプ9の根源的恐れと欲求
まずタイプ9が恐ることについて語る上で、忘れてはならない要素が2つあります。
それが、根源的恐れと根源的欲求。
まあ小難しい話はまた別のページを見ていただくとして……とりあえずタイプ9の根源的恐れ、根源的欲求は以下の通り。
根源的恐れ | つながりの喪失、分裂を恐れる |
根源的欲求 | 平和でありたい |
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一見すると、なんのつながりもありません。「なんのこっちゃ?」「つながりが欲しいのに平和でいたい?え?」みたいな感じですね。実際、初めてこのあたりを見た私もそうでした。
というのもこれ、別に人間関係みたいな外部とのつながりだけの話ではないのです。自分自身、内面、ひいては宇宙とかスピリチュアルな話にもつながってきます。
要は、あらゆるものからの分離を恐れる。だからなんでも受け入れる。これがタイプ9の肝となる部分です。
よく「怒ると大変なことになるから怒りたくない」というタイプ9がいますが、その理由もここにあるのです。
でも受け入れられないものはある
基本的になんでもYESと答えてしまいがちなタイプ9ですが、それでもノーサンキューなものは存在しています。
それが、自分の平和とつながりを壊しかねない存在。
例えばそれは自分の怒りの感情だったり、欲求だったり、あるいは外部の争いやそれらを引き起こす人だったり……。
これらに対しては、タイプ9は存在を認めない方向で対処します。要するに、「なかったことにする」というわけですね。
文字通り自分の世界観からそれらの存在を消すことで、タイプ9は平和な世界とのつながりを保とうとするのです。
なかったことにして、存在そのものを消す。これをされてしまうと、もはや話を聞いてもらうどころか完全に無視されてしまうこともあるかもしれません。
平和な世界は守りたい
タイプ9は他人や自分とのつながりを失うのを恐る一方で、「平和でありたい」という強い根源的欲求も持ち合わせています。
これらを要約すると、以下のような本音が浮き彫りになってきます。
・平和で穏やかな関係をいつまでも保ちたい
・不穏な関係は平和を壊しかねない(だからいらない)
基本的にはどんなつながりでもオールオッケー。自分からつながりを作りにはいかないけど、出来たつながりは基本的に自分からは断ち切りません。
ただし先述のとおり、自分の平和を壊しかねない存在に対しては、その存在がいかに正しいことを言っていてもシャットアウトするわけです。
「自分や周囲の平穏を乱す存在は断固として許さない」と言えば聞こえはいいですが、その実やっていることは都合が悪い存在の排除……なんてこともありえない話ではありません。
自分が正しいかどうかは関係ありません。とにかく不穏なことを言う奴は除外対象です。
除外する範囲は決して広くはないですが、除外された相手が戻ってくることはまずないでしょうね
結局タイプ9は何を恐れるのか
情報がある程度で揃ったところで、本題です。結局タイプ9は何を恐れているのか。
個人的な意見ですが、タイプ9が一番恐れているのは「自分のつながりを内外の波乱によって乱されること」。これなのではないでしょうか。
タイプ9は非常に混沌や波乱、激しい変化を嫌う人たちです。
それはなぜかというと、やはり変化や波乱によって自分のつながりが消されることを恐れているから。
これまでタイプ9の人たちとそれなりに関わってきましたが、ほぼ全員気さくでいい人、ですが自分から波乱を起こすようなタイプでは間違いなくありませんでした。
どこかで自分のやってはいけないことを取り決めて、その線だけは超えないようにしているような、そんな印象を受けました。
これらのことを考えると、やはりタイプ9にとって根源的恐れとなるのはつながりの喪失。そのつながりを守るために波乱を嫌い、平和を求める性格を形成するのでしょう。
タイプ9が不健全に向かえば向かうほど波乱や混乱を「なかったことにする」のも、楽観的思考にしがみついているのも、すべてはつながりの喪失を恐れるからなのではないでしょうか?
タイプ9の怒りの矛先
タイプ9が何を恐れるのかは、上記に示したとおり、平穏無事を壊されることによるつながりの消失です。
では続けて、彼らは何に対して怒りを覚えるのか、そしてぶつけていくのかを考えていきましょう。
まず怒りを向ける先として考えられるのは、自分の平穏を見出すもの。つまり周囲の波紋を広げようとする人や暴発して周囲を混乱させる人、そして自分の中の平穏をかき乱す存在です。
ですが、タイプ9はこれら波乱の源に対しては基本的に怒りを向けることはありません。というより、全てのものに対して怒りをぶつけることが稀ですね。
ならばどうなるのか。基本的には困惑するだけ。そしてどうにかなりそうもなければ受動攻撃に移るか世界から切り離し、そこまでやっても全く効果がなかった時にのみ怒りを生じさせます。
タイプ9の怒り方
こんな題名をしていますが、正直怒り方に関しては未知数です。何をしでかすかわかりません。だって実際に怒った事例がないんだもの。
とはいえ、「キレるとヤバい」というのは大体想像できます。
というのも、このタイプは本能センターのど真ん中。そして本能センターの潜在的感情は怒り。これはタイプ1が自他の至らなさにイライラし、タイプ8が怒りを駆使して他者を追い詰めることからも伺えます。
何が言いたいかというと、タイプ9にもこの力は確かに眠っています。ただ解放していないだけなのです。
眠れる獅子ってやつですね。
下手に叩き起こすと大火傷じゃ済まないです
本能センターは基本的にエネルギーが膨大で、常に激情を秘めた人たちです。
タイプ9を本気で怒らせるというのは、タイプ1やタイプ8よりもさらにヤバい力を開放するようなもの。
その怒りに触れることは、周囲を焼け野原にすることに等しい……のかもしれません。
健全度が下がると怒りも爆発しやすくなる
なお、注意すべきなのが見出しにある通りのことですね。
タイプ9と言えども、健全度が下がれば自分の感情をコントロールできなくなります。特に退行(分裂)下にあるタイプ9はヒステリーを起こしやすく、非常にメンタルが不安定です。
そのぶん爆発することも増えるので、ある意味では注意が必要と言えるでしょう。
もっとも、そんな状態でも一線は超えないようセーブできることが多いようですが……何にせよ、爆発しやすくなっているのは間違いありません。
タイプ9もつながりは保ちたい
エニアグラム基礎編には、こんな記述もあります。
皮肉なことに、タイプ9が唯一似ていないのは、タイプ9そのものです。
曰く、アイデンティティを持ち合わせていないからとか。つまり自分自身の人生を生きていないということですね。
ですが、タイプ9がそこまでするのには理由があります。
それが、平和な形でつながりを保ちたいから。これが今回のファイナルアンサーです。
結局、タイプ9が欲しいのは自他と安全に繋がることなんですよね。だから危険な他者とは関わりたくないし、自分の危険な部分とも縁を切りたい。
結果として自分のエゴやニーズを切り離し、アイデンティティを欠いた周囲に同化する人が出来上がっていくというメカニズムです。
そんなこんなでちょっと小難しい話をしたところで、今回はここまで。
普通のタイプ9解説もやってますので、よろしければそちらもご覧いただけますと幸いです。
筆者:春眠ねむむ
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参考書籍
エニアグラム解説
タイプ一覧
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