タイプ9の囚われは「怠惰」。これだけ聞くと、何だかめんどくさがりで何もしたくない人みたいに見えますね。
その解釈は実は半分正解なんですが、残念ながら半分はハズレです。
タイプ9は「平和をもたらす人」と言いますが、これは「めんどくさがりで何もしないから平和」というわけではありません。
表面上の行動ではなく、もっと人格形成や人生の根幹部分で「めんどくせ」を発動しているので、当たり障りのない平和な人として君臨しているのです。
今回はそんなタイプ9の囚われについて、詳しく見ていきましょう。
自発的に生きるのもめんどくせ……
まずはタイプ9が何をめんどくさがっているのかを見ていきましょう。
タイプ9が根幹からめんどくさがっているのは、自発的に動くことです。
状況によってガチなめんどくさがりにもマスコットにもやる気満々のサラリーマンにも、パリピや地元でブイブイ言わせるヤンキーにすらなれるタイプ9ですが、その行動の多くは周囲の空気に流された結果。
どうなっても「流されるがままにそうなっただけ」というのが正しいところで、価値観や性格の変化もほとんどが自分の意思によるものではありません。
要するに、自分の気持ちが入っていない。
激情や自分の熱い思い、強い思い入れや信念から自発的に動くのが、タイプ9にとっては鬼門であり一番嫌なこと。
「自己主張は悪いことだ」
そういう答えを親から受け取ってしまったため、自己主張や自立行動は必然的に避けるべき事態になってしまっているわけですね。
場の空気や周囲の行動が最優先なので、場の空気を気にせず熱弁する人を見ると「よくやるよ」と呆れてしまうことも。
周りの人が大丈夫なら、きっと大丈夫。
これがタイプ9の囚われ「怠惰」の正体です。
まあ言葉通りの「怠惰」なら、たぶんタイプ5とかの方がよっぽどめんどくさがりな気がしますね。
私もあくせくするくらいなら、もっともっと寝ていたいです
自我なんて持ちたくない
タイプ9は、自分の意思で決断することを嫌う傾向があります。
というより、ぶっちゃけ自分では何も考えたくないと思ってる人たちです。
タイプ9にとって一番重要なのは、平穏無事。そのために波風が立つ事を何もせず怠惰でいることが最高の手段です。
望まないし、思わない。他の人ほど真剣に生きないし、自己主張もしない。
「平和でいるためには、自分の気持ちが邪魔になる」
ある意味、そんな事をどこかで考えているのがタイプ9。
不安や不満に心を動かされたくないが、自分の人生を生きていれば嫌でもネガティブな感情が発生する。
だったら、最初から自分の人生を生きなければ不安も不満も感じることはない。
「現状ある小さな幸せだけを噛みしめて、それだけを知って生きるのが一番平和でいい」
これがタイプ9の根幹です。
何なんでしょう。人生諦めてるんでしょうか?
「自然の摂理には抗えない」というか、「頑張って変えられる事なんてたかが知れてる」というか……そんな感じの思いが見え隠れしますね
タイプ9にとって自分の心の平穏は最終目標であり、同時に絶対に妥協できない最低ラインです。
タイプ9は、自分が平穏に生きていられるためには何でもします。
平和のための最適な手段が、「自我と自分の人生を捨てる」という行動になるのです。
最終手段「何もしない」
タイプ9は、自分の人生を他人に売り渡して、平穏な生活を買っているようなところがあります。
意思や欲求、本心、信念。とにかくいろんなものを放棄して人に合わせることで、快適で平和な人生を死守しようとするわけですね。
ですが、結局何をしても乱されるときは乱されます。
自分にいくら落ち度がなくても、予期せぬアクシデントや他の人の勝手な都合でいくらでも波乱や問題が発生してしまいます。
で、こういう「何もかもままならない」という状況に立たされたときにタイプ9がどうするのかというと……何もしません。
正確には、何もしなくてもいい理由を、何をしてでも作り出そうとします。
あえて言うなら、「命をかけてでも掲げる事なかれ主義」ですね。
正念場や逆境を前にして「これくらいよくあること」と無理矢理にでも楽観視したり、「疲れた」「いい加減ウンザリ」などとちょっと怒ったような態度で問題から逃げたりする人はよく見ますね……
タイプ9の「何もしなくてもいいだろう」は筋金入りです。
自分の本音、思想、信念、価値観と、人生に必要ないろいろなものを全部犠牲にして、自分という人間の感情を完全に麻痺させてまでようやく手に入れた平和なのです。
そんなものを簡単に手放してしまうのは、タイプ9自身の生き方を自分で否定するのと同じです。
「怠惰」の囚われに完全に支配されたタイプ9は、あれこれと理由をつけて自分の問題から目を背けます。
例えば何もかもを「大した問題じゃないな」と過小評価したり、あるいは自分にとって居心地の良い妄想世界を作り出してしまったり……。
もしそれでも無理に直視しなければならない問題が発生したら、ふてくされて反応すらしなくなることも多いです。
あるいは、心を殺すことで無視し続けた不満が爆発し、他タイプも真っ青な癇癪を起こすかもしれません。
「自分の意思で平和な環境を捨てて戦い身を投じるくらいなら、座したまま滅んでしまえばいい」
ここまでくると、ある意味「信念も思いも持たない」と言うある種の強力な信念を持っていると言ってもいいかもしれませんね。
人生の主役は「自分自身」
タイプ9は自分自身を捨てて完全な脇役に成り下がることで、最低限の居場所と平穏を得ます。
そして、その程度で満足してしまうことで可能な限り自分が乱されないようにしようと考えているところがあります。
ですが、何をどうやっても自分の人生は自分が主役です。主役をどれだけ降りようとしたところで、「人に人生を捧げる主役」が出来上がるだけです。
感情移入の価値もない脇役に降りたところで、都合よく自分の感情が全て消えるわけではありません。
あくまで感じにくいというだけで、確かにタイプ9の中に感情は存在します。
なので、まず必要なのは以下の2点ですね。
- 時間をかけてもいいから、自分の今の気持ちや欲しいものを自分で考えてみる
- 人にノーと言えるようになる
今、「やってもやらなくても大したことないことじゃん」とか思いましたか?
残念だったな。必要不可欠です
自分は不要ではない
タイプ9の特徴のひとつに、自分自身の過小評価があります。
単に自己評価が低いだけではなく、自分自身の中にあるニーズや思いも「どうでもいいもの」として処理してしまっている面があるのです。
ですが、それでは自分の心が抑圧される一方です。
どこかで一気にガタが出てしまいますし、そうでなくても、「大したことないちょっとしたこと」の積み重ねで状況が悪化していくこともあるでしょう。
最初は自分の気持ちもイエスもノーもわからないところがあるかもしれません。ですが、それは気づけないだけで答えは存在しています。
人間誰しも、選択の権利はあります。当然、それはあなたにも適用されて然るべき。
何かを要求する事をすべて拒否する人とは、どのみち平和な関係構築は望めません。
タイプ9が健全になるための道として「人とのつながり」ばかりがピックアップされていますが……まずは人ときちんとつながるために、自分の気持ちや立場を明白にすることが必要という事を覚えておいてください。
まとめ
というわけで、今回はタイプ9の囚われ「怠惰」に関してまとめました。
タイプ9は「受容性に富むタイプ」とされていますが、その受容性の正体は「自分からは動かない」「自分の意思を必要以上に主張しない」というある種の怠惰です。
これを取り払うのがまた厄介ではありますが……タイプ9は主張しないだけで自我をきちんと持っています。
それを必要に応じてしっかり主張できるようになるのが、タイプ9の理想系ですね。
といったところで、今回はここまでですね。他にも色々と記事を書いていますので、興味を持たれた方はいくつか漁ってくださると泣いて喜びます!
筆者:春眠ねむむ
X :@nemukedesiniso
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