【エニアグラム】各タイプの親との関係を考えてみる

エニアグラム
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エニアグラムでは、親との関係も重要視されている節があります。

実際、親は自分が生まれて最初に深く関わる他人。性格の形成や人間関係を結ぶ上での1番の手本になっていてもおかしくありませんし、心理学上でもそう唱えられています。

というわけで、今回は各タイプの親との関係性や親への思いについて、いくらか考察していければと思います。

親からの言葉

子供は、親を1番に見て育つものです。嫌でも自分の性格や一生涯の生き方に大きな影響を及ぼす存在でもあります。

そんなわけで、エニアグラム【基礎編】および【実践編】より、親との関係性を示唆するものを表にして抜粋し、まとめてみました。

タイプ子供時代に受けたメッセージもらえなかった言葉家族内での立場
間違えるのはよくないあなたはあるがままでいい父親的存在と離れている。独立した大人
自分のニーズがあってはよくないあなたは愛されている母親的立場を担う。世話人
自分らしさがあってはよくないありのままで十分愛されている母親的存在と深いつながり。母の望む姿を求める
うまくいったり幸せすぎるのはよくないありのままのあなたをわかっている両親と離れている。親からの関心を得られなかったように感じる
心地よく生きるのはよくないあなたのニーズがあっても構わない親からのプレッシャーを覚える。親から離れて自分の居場所を探そうとする
自分を信じるのはよくないあなたは十分に安全だ父親的存在と深いつながり。父性に導きを求めがち
いかなることでも人を頼るのはよくないあなたは大事にされている母親的存在と離れている。大事にされないから自分が自分を大事にするしかない
弱みがあったり、人を信用するのはよくないあなたは裏切られない親から離れ独立を望む。寛大さや優しさを弱みと感じやすい
自己主張するのはよくないあなたは大事にされている両親ともに肯定的。迷惑をかけない、手のかからない子

なんとなーく、特性が見えてきそうな気がしますね。

例えばタイプ3は母親を喜ばせようと母親の価値観に迎合し、それが「世間で認められないものは無価値」という価値観につながる。

タイプ9は親に負担をかけないように、不自然なまでに手のかからない「いい子」になろうとする。

他にもだいたい予測はできます。というか、実際に語っている書籍も多いです。

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父親的存在?母親的存在?

とりあえず補足。父親的存在と母親的存在が何なのかについても、少し言及してみましょう。

父親的存在:導いてくれる人、守護してくれる人(保護者)

母親的存在:養護してくれる人、ケアしてくれる人(養護者)

つまり文字通りの父親と母親というよりは、子供が「この人なら自分を導いてくれそう」と感じた相手(父親的存在)や「この人なら自分の自分を養って守ってくれそう」と感じた相手(母親的存在)が該当します。

あかつき
あかつき

女の人が父親的な存在を担ったり、男の人が母親的存在を担うこともありますってことです。

あと、血縁者ではなく「子供の時の自分がそうと認めた人」というのがミソ。家庭外だと、学校の先生やご近所さんも親的な存在になる可能性はありますね

というわけで、父親的存在と縁が薄いタイプ1は「自分を導いてくれる人が見つからなかった(頼りなかった)」、母親と縁が薄いタイプ7は「自分を見守ってくれる人が見つからなかった(みんな冷たく思えた)」と解釈できますね。

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各タイプと親の関係

さて、それでは、以下、それぞれのタイプがどういった幼少期を過ごしてきたのか……書籍を参考に、少し見ていきましょう。

タイプ1:父親との距離

タイプ1は、父親的存在と距離が離れていたことが多いです。というのも、周囲の大人が守護者、導き手として頼りないと感じていたようで、「それならば自分がどうにか守護者として生きるしかない」と思った方が多いようで……

タイプ1が物事や手順にうるさいのは、基本的にそのためですね。

周囲がしっかりしておらず頼りにならないぶん「自分が父親にならなければ」「自分がしっかりしなければ」とどこかで感じており、幼い頃から「母親的な存在と自分が両輪になって周囲を導かなければ」と感じていたようです。

「間違えるのはよくない」というメッセージも、案外額面通りではなく、「親が間違ってばかりだから、自分だけは間違えないようにしなければ」と感じてしまい受け取ったものなのかもしれません。

「父親がしっかりしていないのだから、自分こそがしっかりしないと」と。

そういうタイプ1の気負いが「いい悪い」でしか物事を判断できない目線と、「みんなしっかりしないと!」という怒りにつながってくわけですね。

タイプ2:父親からの保護

このタイプは、母親的な役割を果たすことが多い人たちです。そうやって親を助けることで、見返りとして父親的な存在に守ってもらおうと考えたからです。

実際にその戦略が成功するかどうかは人によりますが……どっちにしても、タイプ2はこう考えてしまうことが多いでしょう。

「もっと人を大事にしないと、自分はきっと愛されない」

母親的存在になることが成功体験になっても失敗体験になっても、タイプ2は「自分が人を愛さなければ人は自分を愛してくれない」「そうしなければ対人関係はうまくいかない」と学びます。

この時に母親役になることが失敗してしまえば、「もっと人を愛さなければ」と自分の心に蓋をすることもあるかもしれません。
その結果が、プライドという囚われになって現れます。

この父親的存在から注目されるための愛情作戦は、大人になってからも展開されていきます。そしてプライドの囚われや愛情への渇望が強くなればなるほど、彼ら彼女らの愛情表現は自分も大事な部分も捨てた過激なものになっていくことでしょう。

タイプ3:母親からの愛情

タイプ3が親から得られる愛情は、基本的に条件付きのものです。例えば「手伝いをしてくれるいい子でいないと許さない」とか、あるいは「テストの点数が悪い子はうちにはいらない」とか。

もっとも、そこまで極端な条件なのかは家庭によりますが……それでもだいたい方向性は似たり寄ったりでしょう。

タイプ3は人が自分に向ける期待に敏感で、できるだけ完璧に応えようとする傾向があります。

これは、母親的存在から向けられた条件付きの愛情の結果とも言えますね。

特にタイプ3にとって母親的な人物は大きな影響力を持つようで、大人になってからも母親が望む人物像を目指して目標を設定したり努力することも少なくありません。

それこそ、母親が女優になりたいという夢を諦めた人なら「テレビ出演が夢!」と語ったり、親が学歴コンプレックスを抱えていたら有名大学を志したり……。

親からの「お前は自慢の子供だ!生まれてきてくれてよかった!」という言葉がほしくて努力して、いつしかそれが欺きという囚われを持つに至ります。

囚われが強くなればなるほど、世間(母親)からの失望を恐れるあまり、嘘やごまかしで自分の経歴を飾って見捨てられないようにしていくわけです。

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タイプ4:両親からの乖離

タイプ4は、往々にしてこういう疑問を持つことがあります。

「自分は本当にこの人の子供なのか?」

大概、この疑問は否定的な意味を含みます。「親は自分をわかっていない」とか、「自分は親に愛されていないのではないか?」とか。だいたいそんな感じですね。

そういう気持ちから、タイプ4は決まって現実にいる親の代わりとなる存在を妄想します。「こんな親だったらなあ」みたいなものかもしれませんし、あるいは親に変わる白馬の王子様かもしれません。

ともかく現実よりよっぽどマシな自分の親代わりを妄想し、求め、これが大人になってからの「誰かに救ってもらいたい」という願望へとつながっていきます。

当然、本当に家族から愛されなかったとは限りませんし、タイプ4本人も受けた愛情をなかったことにする不義理な人ではありません。ただ、どこかに軋轢があったり、ちょっと不幸感を覚えてしまったりしているだけです。

親に代わり「自分をわかってくれる人」「自分を救ってくれそうな人」「自分を守り導いてくれそうな人」に、タイプ4は特に興味を持ちやすいです。ですがそのぶん理想化もしやすく、子供の頃の空虚感が危うさとなって表出化します。

タイプ5:両親からの独立

あかつき
あかつき

親はいかんですね。ダメだ。居場所なんてないんですよ。

だから自分で自分の居場所を探します。邪魔だけはしないでね

↑だいたいこんな感じです。

タイプ5は何かに没頭したり自分の世界を持つことで、小さい時から自分の居場所を作ろうとします。

原因はいろいろありますが(大半は過保護かネグレクト)、両親との間に自分の居場所を見つけられなかったことが原因になります。要するに、「家族と一緒にいることに安心感を覚えない」のです。

基本的に相手に気を許さず、親から見ても「何を考えてるかわからない子」と思われることも多いですね。

親とは基本的に他人としての関わりを求めており、「自分も甘えたり要求したりしないから、代わりに干渉してくるな」という姿勢を一貫して示す傾向にあります。

自分の居場所を自分1人で守るために脳内に住居を持ちたがり、危険を察知するための監視役として周囲を一望できる場所から傍観に徹することも多いタイプ。
その姿勢が高じることで、ため込みの囚われとして状況を悪化させることもあります。

タイプ6:肯定と否定の二律背反

ぶっちゃけタイプ9に次いで性格がバラバラなタイプですが……親に求めるものは一貫しています。

「導き、支え、頼もしさ」です。

タイプ6は大概、父親的な存在からの言葉には従順です。例えば会社や上司、権威者のような存在に従いやすいとされてるのはこのためですね。

力ある存在に認められて安全を手に入れたい。これは、「父親に守ってもらいたい」という子供心が大人に成長して出てくるものです。

ですが、親も人間。愛情や守護が条件付きのものであることも少なくありません。

そのためタイプ6はタイプ3同様、自分を抑圧して親からの愛情……ここでは父親からの支えや導きを引き出そうとします。

ですがタイプ3と違い、抑圧に対してストレスを覚えやすいタイプでもあります。タイプ6の多くは親からのしつけの理不尽な部分や間違い、抑圧された経験を覚えており、このことが「導き手に対する不安不満」「独立欲求」という2つの気持ちを生み出すに至ります。

「導いてほしいし守ってほしい。でも従うだけだと不安だから独立もしたい」

こんな複雑なタイプ6心を生み出すのは、親の教育から生じたものなのです。

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タイプ7:母親的愛情への期待無し

タイプ7は大なり小なり、母親的な存在から切り離されていた感覚を覚えています。

その際たる例がネグレクトですね。当然、「赤ちゃん時代に親が忙しくてオムツをなかなか替えてくれなかった」みたいな理由がいつまでもトラウマとなることもありますが……

ともあれ、タイプ7の親との関係を語る上での1番のテーマは、「母親的な愛情の放棄、母からの独立」です。

「自分のことは自分でやる」と、こういう気持ちを幼い頃から持っていた可能性が高いです。


親は自分が欲しいと思ったことをしてくれないし、望んだものをくれる存在でもありません。それらは全部、自分でしなければならないこと。

こういう気持ちが、タイプ7を楽しいことへの渇望へと誘います。

「他人に失望なんてしないし、期待もしない。自分が欲しいものをひたすら見つけて集めるだけ」

こういう気持ちが強まるほどタイプ7は貪欲の囚われを増していき、周囲を置き去りにすることが増えていきます。

タイプ8:裏切りからの反抗

タイプ8の中にあるのは、「自分は大人として周囲と戦っていかなければならない」という気持ちです。

家族を守るため、あるいは自分の身を守るために、強く苛烈な存在として君臨しようとすることが多いですね。

タイプ8がタイプ8になる道筋は、主に2通りあります。

  • 父として家族を守る見返りに、母親的存在からのケアを求める
  • 拒絶や裏切りに対して、「それがどうした」と毅然と構えて弱みを隠す

どちらか一つだけということはありません。基本的に、両方が複雑に絡み合って、タイプ8という人間性が出来上がります。

なんだかんだ、愛されたいわけです。でも愛情は弱さでもあるから一部の限られた人からしか向けられたくないし、基本的にはつっぱねる。

タイプ8の脳内は基本的に弱肉強食。誰が悪いかは別として、被害者が弱いことが暴力や加害の一因と割り切っています。

こういう考えの裏には「かつて親から裏切られて愛情を受け取れなかった自分への複雑な思い」とか、あるいは「弱いのは悪いことだから、俺が守って戦力を底上げしてやる」というぶっきらぼうな優しさがあるのかもしれませんね。

タイプ9:全部受け入れればみんなハッピー

タイプ9にとって、自分はどうでもいい存在です。嫌なことは忘れればいいだけだし、諍いも問題も自分が自我を捨てれば基本起きない。そういう感じの人たちです。

家族の中でも、「手のかからない子でいれば自分が攻撃の対象にならないし、親も兄弟も自由にいられる」とナチュラルな自己犠牲精神を抱えています。

自分が家族の感情や願いに干渉することはないし、受け入れる。自分も欲しいものは特にない。幼少期のタイプ9にとっては、これこそが平和だったのかもしれません。

ですが、自分のニーズを持たなくても問題が向こうからやってくることは当たり前にあります。

こういう時のためにタイプ9が取っている方針は、「だいたいがどうでもいいこと」です。不安もトラブルも諍いもどうでもいいので、そういう気持ちを捨てればいい。自分が心を無にすれば、大体のことは過ぎ去ってくれる。

それがタイプ9の幼少期の教訓であり、怠惰の囚われの要因です。

家族のための行動を優先するあまり、自分の気持ちが分からなくなるタイプ9も少なくないのです。

筆者:春眠ねむむ
X :@nemukedesiniso
threads:@shunmin.nemui

 

 

参考書籍

 

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