今回はエニアグラムの雑談回。タイプ9の人間関係について、独断と偏見で見ていきたいと思います。
タイプ9の人間関係……なんだか平和でおっとりしてそうですよね。
実際にはそれだけがすべてではありませんが、だいたいの人が「何事もないいつもの世界」を望んでいるところはあります。
※あくまで今回は通常段階以下の典型的なタイプ9に限った話です。
タイプ9の人間関係
通常段階以下のタイプ9であれば大抵の人は本音や本当に欲しいものを無意識に封印して、自分を出すことを避けている状態にあります。そのためどれだけ危ないグループに属していても、滅多に自己主張することはないでしょう。
通常段階のタイプ9が陥りやすい思い込みの1つが、「周囲の人たちに問題がないなら自分も大丈夫」。
自分のことを何かと軽視して「どうでもいい奴だ」と思い込み、本来自分に割くはずのリソースを周囲の平和の維持や人の問題に使ってしまう傾向があります。
たまにエニアグラムに結構詳しいメサコン気質の人がタイプ9を自認していますが、それはこの傾向を見て「自分だ!」と確信に近いものを持った結果なのでしょうね
基本的には、人といるタイプ9は無害で毒にも薬にもならない人。見慣れた人とのんびり平和に何事もなく暮らしたいと考えており、よほどのことでなければ他人との関係を積極的に壊すことはないでしょう。
「いつも何のトラブルもなく過ごしていきたい」という思いから自分の意見は言わないですし、周囲の諍いやゴタゴタの仲裁をしようとする人も多いですね。
一方で関わっている人たちを「自分の平和を構成する要素の1つ」と思っており、自分のリソースを他人に割こうとする傾向も「平和要素を壊したくない」という思いからくるものだったり……
でもたまには暴走……
さて、こんなわけで周囲のための自己犠牲も平気なタイプ9ですが、不健全化が進むと次第に自分の心を平常に保つのに精一杯になっていきます。
その結果、自己犠牲に陥ってでも守ろうとしていた人たちへの興味を失い、何だか友達のことも所属集団のこともどうでもよくなってしまうことがあります。
ぶっちゃけましょう。タイプ9にとっては、自分の心が乱されずずーっと平常心でいることが大事。平常心でいるためならば、実は自分だけでなく周囲も割とどうでもよかったりします。
あくまで周囲に優しくするのも他人に自分の平和を踏みにじられないための自己防衛手段ですし、自己犠牲も「そうすることでみんながいつも通りの生活に戻る(下手な変化が起こらない)からそうしている」というだけ。
健全度が下がれば「周囲が平和維持に必要なわけではない」と何となく悟ってしまいますし、何なら自分の心を乱す要素になってしまうこともあります。
そんな時にタイプ9が取る手段は主に2つ。
- 他の人が顔面蒼白になるくらいマジギレする
- そっと離れて距離を置く
どっちにしろ、怒りや無関心を向けた対象を完全に見捨てた瞬間こうなると言ってもいいでしょうね。
タイプ9が自分を出さず、他人のために生きるのは、あくまで「その方が波風立たないから」に他ならないのです。
タイプ9が望む人物像
タイプ9にとって、これといって望んだ人物像はありません。正直、好む人物像は千差万別。どのタイプもそうですが、特にタイプ9に関しては「これ!」と断言ができません。
そんな中で一応強引に「タイプ9の大半が望んでいる人」を導き出すなら、「好んで波乱を呼ばない人」。これに限るでしょう。
やっぱり中身は平和主義
ぶっちゃけ好き嫌いなんてタイプ9本人にはほとんどないような微々たるものであることも珍しくありませんが……ともあれ、「波乱を生まない人が好みのタイプ」という答えも、当たらずとも遠からずと言えるかもしれません。
というのも、タイプ9の中身はやはり平和主義。「今日も1日みんな楽しく、大した問題もなく平和に乗り切れる!」という確証が欲しいのです。
そのため、揉め事を起こす人はめんどくさいから存在を大いに受容しますが、「何だかなぁ」と複雑な気持ちを抱くことも多いでしょう。
一方で、波乱とは揉め事や喧嘩だけを指すものではありません。あえて別の言い方をするなら、変化です。変化を全体的に嫌います。
例えば好きな人がいても「距離が縮まれば関係が変わるから……」と中途半端な関係をずっと維持しようとしたり、自分との距離を一気に詰めてきた相手をなぜか避けるようになったり、あるいは急に相手を理想化して自分の脳内にその人(のようなもの)を作り出し、相手本人よりも自分の妄想内のその人と交流しようとしたりなど……
とにかく頑なに無害、無毒、無変化にこだわるところがあります。
タイプ9にとって、理想の世界とはストレスフリーな環境。
変化によって生じるストレスも、通常段階以下のタイプ9にとっては忌避すべき毒になり得るのです。
たまに人間関係がままならなすぎて、匙を投げて人との関わりそのものから身を引く人もいますね。
自分の頭を乱されるくらいなら、人間関係なんてない方がいい。これがタイプ9がどこかで抱えている思いのひとつです。
タイプ9の恋愛
タイプ9は恋愛においても、基本的には攻めの姿勢は見せづらいです。ロマンチックで燃える恋を……というタイプの人は探せばいますが、まずタイプ9の中にはいないと思っていいでしょう。
大半の人は、相手との関係に多くを望みません。ただのんびり過ごしたり、美味しいものを食べて、あったかいお風呂に一緒に入って、ふかふかの布団で寝る。これだけでも、タイプ9的には満足いく生活と言えるでしょう。
というのもこのタイプ、自分の本音がわからないという弱点を抱えがちなのです。
なので、愛する人どどうしたいかもわからないし、実際に自分が今付き合っている人が本当に好きな人なのかもわからない。
そのために相手目線では全く本音が読めず、しかも本人も本音なんてよくわからないという状況によく陥るのです。
一方で聞き上手な人が多く、良くも悪くも無頓着なところがあります。無頓着さがいい方向に働けば、問題に頓着せず自分にもそこまで執着せず、相手のことをどこまでも受容してくれる理想の恋人となる……かも?
基本的にまったりゆっくり、面白さよりも安らぎや穏やかさを求める人とは相性がいいですが、基本的には強烈な刺激にはあまり期待できないかもしれません。
また、問題を「どうでもいい」と先延ばしにしてしまう癖もあります。特にタイプ9と深く関わるなら、この点とどう向き合うかが大事なポイントになってくるでしょう。
タイプ9と相性がいい人、悪い人
相性◎の人
- 適度な距離感を保てる人
- 主体的で優しくリードできる人
- 相手の返事をしっかり待てる人
まず、タイプ9は主体的ではありませんし、本音の部分ではあまり人間関係に興味がない人たちです。タイプ9自身が積極的に距離を詰めて仲良くなっていくケースは、あまり期待しないほうがいいでしょう。
かと言って距離が近すぎたり干渉が激しくなると、タイプ9の隠された本音を刺激してしまいます。仮に不快感を覚えた場合、無視や約束の不履行などの受動攻撃の的にされることにもなりかねないでしょう。
程よく当人の望んだ範囲の距離感を見極める目は、タイプ9とより深い関係を築く上では必要なものになるでしょう。
また、タイプ9にとってのネックは主体性。特に不健全気味のタイプ9が決断を迫られた時には「どうにかなるさ」と問題を放置したり、現実逃避的な言葉も多くなります。
そのため、タイプ9をしっかりと良い方向に導けるリーダーシップや主体性、指導力がある方も相性が良いと言えるでしょう。
あとは、タイプ9が隠した本音をしっかりと引き出すため、問題提起をした上で回答を気長に待てる人も好相性。タイプ9は本音を自分で気づかないよう封印しているだけで、心の内に秘めた思いはあります。
それを時間をかけてゆっくり引っ張り出す人は、特にタイプ9の成長を促してくれる良い相棒役になるでしょう。
とりわけ健全気味のタイプ6およびタイプ3は、指導力にも優れていると言えるでしょう。
相性×な人
- 人と距離を置きたがる人
- 自分で物事を決めたくない人
- 人の要求をまるで聞かない人
まず、自分から距離を詰めない人はそもそも相性以前のところでコケることが多いでしょう。
基本的にタイプ9は自分からは距離を詰めない人が多いので、深い関係になることが稀です。
あとは、決断力がない……というより、決断そのものを避けたい人も、もしも大きな選択を迫られる場面が来るとお互い身動きが取れなくなるでしょうね。
タイプ6とは基本的に好相性ですが、ここぞという時にお互い不健全気味だと大抵まずいことになります。
あとは、タイプ9に意見を求めない人、意見を求めてもタイプ9が悩んでいるうちにイライラしてくる人は、相性というよりタイプ9当人の成長性という意味でよろしい相手ではないと言えるかもしれませんね。
強引だったり使い捨てにするようならもちろん、タイプ9が「楽でいいや」と決定を委ねてしまう場合でも、そもそもタイプ9の本音を掘り出すことはできません。
うまくいっても、タイプ9は結局自分も気づかないまま我慢しているまま。下手をすると、どこかで不満が蓄積してしまうかもしれません。
本音を出してみるのは有効
さて、繰り返しになりますが……今回は通常〜不健全にかけての、根源的欲求も囚われも働いているタイプ9に限ったお話。当然健全になれば相性の良い相手も増えますし、相性の悪い相手も減ります。
さて、タイプ9が健全になるためのステップのひとつに、「自分の本音を見つける」「それを人に出してみる」というものがあります。
これは、対人関係においてのタイプ9の成長にも役立ちます。
やはり通常段階以下のタイプ9は本音がよく見えないか、見えたとしても自分の中にある人生哲学を当てはめただけのものである可能性が高いです。
それらに気付いて「こうするべきだから」とか「こうしたほうがそれっぽいから」ではなく、タイプ9自身が感じている生の感情を掘り起こしてくれる人が、長期的に見るともっとも相性がいいと言えます。
当然、タイプ9自身も時に自分の本音や思いを(時間がかかっても、たどたどしくても)話してみる必要があるでしょう。
そうやって自分の心や主観的な感想に触れることで、タイプ9は本当の意味で人と関わることができるようになっていきます。
筆者:春眠ねむむ
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参考書籍
エニアグラム解説
タイプ一覧
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