というわけで考察回です。タイプ1の改善意識は一体どこから出てくるのか。そこについて考えていきたいと思います。
タイプ1といえば道徳の人・高潔な人のイメージがありますが、同時に改善・改革の人のイメージも強いですよね。
今回は、その中でも改善・改革についてです。彼らは何を思って、いつも改革を急いでいるのでしょうか?
タイプ1の基本的な性格
いろいろ語っていく前に、まずはタイプ1の性格についておさらいしておきましょう。
彼らの性格を端的に表すなら、「何事も正しく、最善でなければ気が済まない人」。
例えば人道的にもそうですし、仕事の仕方も、姿勢も、ひどい時は食事のバランスや新聞紙の折り方ですら完璧でなければ許さない。そんな感じの人ですね。
現実に不満を抱いて高潔な理想主義者になり、全てをより良くすることが自分の義務であると感じる。
ー中略ー
自己にも他者にもきわめて批判的である。口やかましく、善悪で判断しがちで、完璧主義的である。あらゆることについて、自分の意見に非常に固執する。人々の誤りを正し、しつこく「正しいことをする」ようにーそれも自分が正しいと考えるようにー迫る。我慢しようとせず、どんなことでも自分が指示した通りに行われなければ、決して満足しない。人に道を説き、小言を言い、相手をいらいらさせ、紛然として怒る。
性格のタイプ P489〜490
要するに、非常に小言が多いタイプ。そして「自分の言ってることが正しい」と信じて疑わない人たちという感じでしょうか。
タイプ1はうまくいけば非常に優れた改革者になりえますが、うまくいかなかった時や不健全な時は大抵独善的な厄介者として君臨します。
非常に強い改善意識を持っており、それが今回の命題につながっていくわけですね。
タイプ1の改革意識の出所
といったところで、今回の本題。「タイプ1の改革・改善意識は一体どこから出てくるのか?」。
改革する人の異名通り、タイプ1は改善や改革が大好き……というか、そうせざるをえない人たちです。
その出所ですが、やはり一番は「自分は正しいことを言っている」「自分は集団の中で一番マシだ」という自負から生じるのかなと思われます。
正しいと思うからこそ
「もっと正しい方法があると思うからこそ改善する」。これがタイプ1の改善意識の出所です。
もっといえば、「自分はもっと正しい方法を知っている」、ですね。
タイプ1にとっても誰にとっても、自分が考えた最善が絶対の方法です。それを超える素晴らしい考え方はありません。
で、タイプ1は特にその「絶対の方法」を強く持っている。だからこそ人にそのやり方を強く勧めるわけですし、場合によっては強制する。なぜなら、自分の中ではその方法が一番正しいから。
タイプ1は完璧主義者です。絶対的に正しい方法でなければ物事がうまく回ることはないと考えていますし、回ってはならないとも考えています。
その強迫観念にも似た感情がタイプ1を改革へと突き動かし、並外れた改善意識へと駆り立てるわけです。
「正しい改善を!」
本能センターだけあって、タイプ1は知能如何にかかわらず思想は意外と単純明快です。「正しい人が正しいことをすれば世界はよくなる」。これだけ。
ですが、困ったことに正しい人はこの世に存在しません。まあその理由はタイプ1の「正しい人」のハードルが極端に高い&主観的すぎるのが理由なのですが……タイプ1自身がそれに気付くのはある程度健全になってから。基本はわからないままです。
で、そんな「正しい人」が不在の中で何を思うのかというと、これまた簡単。「せめて正しさをよく知っている自分が、周囲を導かなければならない」と。
結果、始めるのは(主観的に見て)堕落して欠落してダメなところだらけの現場の改善です。
勘違いしないでいただきたいのですが、タイプ1がキレ散らかしているのはただの善意であり、高潔な理想あってのものです。そこに悪意はありません。
ただその理想が主観的な物であり、それを全体に押し付けている。それだけの話なのです。
人は主観の生き物
ちょっと脱線。突然ですが、人は主観の生き物です。どれだけ客観的に物を見ようとしても、結局のところ主観からは逃げられません。どうやってもその人の主観が入ってきます。
で、タイプ1は結構主観と客観が曖昧になりやすいタイプだと思うのです。
「客観的に見ればこれが正しい」「自分は客観的視点から正しさを追求してるんだ」と、タイプ1の多くがそんなことを思っていることでしょう。
ですが、実際はどうしてもその正しさは主観の中から生み出されます。
主観であって客観ではない。人には人の主観がある。だからこそ人は自分なりの正しさに向けて動きますし、必ずしもタイプ1が言っていることが正しいとも限らないわけです。
ですが、タイプ1にとってはとにかく自分の意見こそが正しい。それこそ客観であると信じている。
ここが改革意識の闇の部分であり、タイプ1自身の歪みになるのかなと考えています。
タイプ1の改革は善意と正義感から!
ざっくりまとめれば、要するにこういうことですね。
タイプ1の改善意識は、決して悪い物ではありません。問題があるとすれば、行きすぎるところと万物に当てはまると思っているところくらいか。
まあ、通常段階の人たちは少なからずどのタイプも同じようなところがあります。
今回の記事でタイプ1へのヘイトがちょっと高まった気もしないでもないですが……どうか悪く思わず、少なくとも「正義の人なんだな」という目で見るようにしてください。
といったところで、今回はここまでですね。
普通のタイプ1解説もやってますので、そちらもよろしければご覧くださいませ。
筆者:春眠ねむむ
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threads:@shunmin.nemui
参考書籍
エニアグラム解説
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