大抵どこに行っても大なり小なりありますよね、いじめとかいうロクでもない文化が。
世の中では「無くそう!」「撲滅!」と大きいことを言っていますが、これといって効果は無し。
どこかの学校や職場では、今日も誰かがいじめの被害に遭っていることでしょう。
で、結局人をいじめる奴って、何を考えてやっているのでしょう?
今回は、そんな疑問について考えていこうと思います。
とりあえず理由は「ない」と思え!
「いじめられる側にも原因がある」とはよく言いますが……実際のところ、いじめる理由なんて大抵ロクでもないか、あるいは単なる後付けです。
はっきり言ってしまえば、理由なんて存在しない。
例えば「デブだから」という理由でいじめられて仮にダイエットに大成功しても、今度は「顔つきが不快」とか「なんか生意気」とか、後からいろいろ理由を付け足されて結局ずっといじめられ続けるケースも少なくありません。
それどころか、いじめられる理由をなくせばなくすほど、どんどん直しようのない欠点ばかり指摘されるようになる事もザラです。
そんな有様なので、大まじめにいじめっ子の言う事に耳を傾けても時間の無駄です。
いじめる理由を直したところで、多くの場合は別の理由を付け足されるか、ターゲットが別の人間に移るだけでしょう。
当然いじめられる側に過失があってやられるケースもたまにはありますが……そんなもの本当に少数のレアケース。例外として取り扱ってもいいくらいです。
結局「いじめられる側が悪い」ってのも、なぜ悪いかなんて知ったこっちゃないわけですよ。
ネットでイキリ散らしたいだけの連中が強がるためにやってるしょーもないプロパガンダです。
そんなわけで、「いじめに大した理由なんてない」というのを、まず知っておいてください。
特にいじめられてる側は「自分が悪いのか?」とか考えるだけ時間の無駄です。
じゃあどうしていじめるの?
いじめに大した理由がないのに、いじめはおそらく永遠に無くなりません。
どうしてなのか?
と言うわけで、ここからが本題です。
いじめが発生する原因の多くは、だいたいいじめる側の心の問題です。
いじめを心理学的に結びつけた論文をいくつかかじってみましたが……その中でいじめの原因とされるものは、大きく分けて4つ。
- 仲間の一体感を強めたい(仲間に入れてほしい)
- 嫉妬や被害者意識
- 嫌いな相手だから
- 何となく
結局、些細な理由でいじめに発展する事も少なくないわけですね。
参考文書
https://www.kyoiku-kensyu.metro.tokyo.lg.jp/09seika/reports/files/kenkyujo/h09_ijime/h09_ijime_1.pdf
仲間同士の不安を解消する最強の手段「生贄」
人間は不安になってくると、ついつい自分より下の人間を作りたくなるものです。
特に「自分が仲間として認められているかわからない」「せっかくの仲間といつ仲違いするかわからない」という不安は、特に日本では多いのではないかと思います。
エニアグラムという心理学でいうタイプ6なんかは、特に不安に敏感です。
「共通の敵を作る」というやり方は、国単位でも戦時のプロパガンダとして使われる事もある、めちゃくちゃ便利な手段です。
最近はアメリカと中国がバチバチに睨み合ってますが、あれも両国とも「アメリカが悪い」「中国が悪い」とお互いを悪者にする事で、国の一体感を強めていっています。
当然日本でも昔はやっていましたし、仮に今後戦争が起こればどこかの国を当然のように悪者にするでしょう。
国だけでなく友達同士、職場、学校のクラス……とにかく集団であるならば、いろんなところでこの生贄システムは機能します。
「それもこれも、もとを辿れば全部あいつのせいだ」
「あいつさえいなければ、私たちはもっとうまくやれたはずだ」
とりあえず敵さえ作ればお題目は何でもいいです。
あとはみんなでいじめているうちに「あいつは悪いやつだ」という意識が共有されて、「あいつを倒すんだ」という目標のもとにみんなで力を合わせて一丸になれる。そういう寸法です。
どんな荒唐無稽な理屈でも、念仏のように毎日唱えれば嫌でも正しく思えてきます。
こうなればあとは簡単。
みんなで「何が悪いのかわかんないけどとりあえず悪い奴」を倒して、勝利の余韻に浸ったら、また次の悪い奴を探しにいく。
こうやって特に理由のないいじめは繰り返され、被害者はずっと増え続けるわけですね。
とりあえず強いグループの仲間に入れてほしいって人は、しょっちゅうこういういじめに加わりますね。
一緒になって悪い奴を懲らしめて、「ね?私も仲間でしょ?」とやるわけですよ
被害者意識は暴走しやすい
当然、いじめられる側にもいくらか原因がある場合も中にはあります。
その中でも特に多いのは、
- 相手に嫉妬していて引きずり下ろしたい
- 逆恨みから被害者意識を持っている
と、この2つでしょうか。
どちらもいじめる上での大義名分は立派なもの。
味方する人が多そうなお題目で仲間を集めて、まるで「自分たちこそが正義だ」という顔でいじめる、ある意味人間の醜さを凝縮したような理由です。
まあこれには「いじめられる側にも非があるケース」も多いですが、どっちにしてもみんなで囲んで棒で叩くようなやり方はどうかと思います
このタイプのいじめは自分のことをむしろ「被害者だ」とか「正しいことをしている」と勘違いしているケースも多く、結構な確率でとんでもない大問題になります。
悪いことをしているつもりもないので、事実をねじ曲げたりとか先生や権力者も巻き込んだりとか、とにかく暴走しやすいのがこのタイプのいじめです。
仮にこんないじめを受けてしまった時は、原因を直す以前にまずは逃げた方が間違い無いでしょう。
一番シンプルな理由「嫌いだから」
「嫌いだから」
正直一番わかりやすく、一番思いつきやすい理由だと思います。
論文によれば暴力のような直接手段は少なく、嫌がらせや無視といった間接的ないじめが多いようですね。
早い話が、村八分です。
集団から実質的に「いないもの」ないし「いてはいけないもの」として扱って、自分から出ていくように仕向ける感じでしょうか。
生理的嫌悪もこの中に含まれるので、正直自分ではどうしようもない原因の一つですね。
ターゲットがずっと同じ人になりやすいのも、嫌いな相手に対するいじめです。
どれだけしょーもない理由でも、一度嫌われたら仲間として扱われるのは簡単ではありません。嫌いな相手を簡単にいじめる器の小さい相手ならなおの事です。
あきらめて距離を置くか、対抗するか選んだ方がいいでしょう。関わるだけ害になる事の方が多いです。
「何となく」は一過性の嵐と思った方がいい
何となくいじめられるという事も多い……というか、これが一番多いのではないかと個人的に思ってしまいます。
そもそもいじめには、
- 攻撃欲求
- 支配欲求
- 快楽欲求
と、この3つの欲求が関係していると言われています。
「他人を攻撃して自分の強さを周りに誇示したい」
「誰かを負かしたり支配するとみんなが自分を認めてくれる」
「なんでも命令できる相手がいると自分が楽できる」
「誰かを傷つけたり支配する事が楽しくて仕方がない」
「そもそもいじめって楽しいじゃん?」
とまあ、いろいろ思惑がありますが……いずれにも言えることは「リスクが少なそうな相手を選んでいじめている」「とりあえずいじめてもしっぺ返しがなさそうなら誰でもいい」みたいなところがあることでしょうか。
要するに、弱ければ誰でもいいということです。
「じゃあ強くなればいいじゃん」って言う声が聞こえてきそうですが……実はそう甘くはないんですよねぇ。
反抗すると逆ギレして仲間を連れてくる事もありますから、こういう連中は……
飽きれば対象から外れるのがまだ救いですが、物理的な被害は案外馬鹿になりません。
例えばパシリにされたりお金をカツアゲされたり、あるいは直接ぶん殴られるとか遊び半分に自殺を強要されるとか……
はっきり言って一過性の嵐のようなものですが、嵐の後で生き残っている保証はありません。
で、どうすりゃええの?
じゃあどうすればいじめを回避できるのかと言うと、いじめられっ子の取れる手段は2つだけです。
- 対抗する
- 逃げる
対抗といっても、強くなるとか自分で言い返すだけが全てではありません。
協力してくれそうな人を巻き込むとか、あるいは法的な措置に出るとか……こういうのも立派な対抗手段です。
とにかくどんな手を使ってでも、まずは自分がターゲットから外れるように仕向けましょう。
それが無理なら、もうやれることは1つです。逃げる。
とにかく集団から距離を置いてください。物理的にだけでなく、心理的にも交友関係的にも、とにかく全部です。
相手の手に届かないところにい逃げてしまえば、同じ相手からいじめられる事もなくなるはずです。
「自分が悪い」とは思っちゃダメ
戦うにしても逃げるにしても、結局被害者が自分から行動しなければならない。いじめというものは、どこまでも理不尽なものです。
そんな理不尽だからこそ、いじめられる側になってしまった人に言いたいことがあります。
例え事実でも、「自分が悪い」と思っちゃダメ。反省会は、無事に乗り切った後です。
もしいじめられた原因が自分にもあるのなら、安全地帯に逃げ切った後で直しましょう。
無いならば、もう何も気にしなくていいです。
現在進行形でいじめられているのなら、もう何が悪いとか考えるのは後回しにしてください。
今は自分が生き残れるために、やれることを片っ端から考えていくこと。
もし誰かがいじめられて心配になっているのなら、逃げる算段を一緒に整えましょう。
当然、自分も一緒に逃げるのが一番ですよ。いじめのターゲットがいなくなったことで誰かが逆恨みされるなら、ほぼ間違いなく逃げる原因を作った張本人です。
もし自分が昔誰かをいじめていたのなら、くれぐれもターゲットには近づかないことです。
反省の意があるなら、わざわざ顔を見せて相手の傷を抉らないでください。
それにこれは、ご自身の身を守るためでもあります。いじめは一生恨まれる行いです。昔こっぴどくいじめていた相手に会ったところで、水に流してくれる確率は高くありません。
何にしても、いじめはそれだけ業の深いものです。
ついつい手を染めたくなるのは人間の心理ですが、やってしまったが最後。足を洗うのも水に流すのも難しいものなのです。
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