「決断力が高い人は、自分の決断に責任を負える責任感の強い人だ」。こんな記事をご覧の方ならば、どこかで聞いたことがあるワードのはずです。
ですが、決断力と責任感の関係性には疑問が残ります。
というわけで、今回は私の勝手な主観ながら、決断力と責任感の関係性について考えていきたいと思います。
決断力と責任感は比例しない
まず初めに言っておくと、責任感は決断力とは比例しないと言うのが個人的な意見です。
よくある理屈で「決断する者は自分の決定に責任を持てる」「自分に責任を持ちたく無いから決断をしない」という論法があるのですが、個人的には半分当たり、半分間違いのような気がしていますね。
決断力がある人が必ずしも責任感があるわけでは無いというのが正直なところです。
「決断力があって責任感がない」場合の実例を載せておきます。
詳しい業務とかを載せてないのはバレるのをチキってる証です。
うちの筆者、結構ビビリで臆病なんです。察してあげてください
責任感のない決断力の実例
私が仕事の中で出会った、即断即決で決断力がありながら責任感のなかった人の話です。
その人は仕事の上でも即断即決、自分の思う正解や自分がやりたいことを即座に選び、そして実行できる人物でした。
ですがある日、会社の命運を決めるような一大プロジェクトを任される日がやってきます。
彼はその場においても即断で了承し、そして重大な決断も特に考えもせず決定し、後々会社が傾きかねないほどの大きな失敗をしてしまいます。
その時にようやくその人の本性が表出化。同僚やチームメイトたちに責任を全て押し付け、「自分は悪くない」「こいつらが止めなかった」「自分は何も決めていない」と、嘘まで交えて徹底的に自己擁護に努めていました。
さて、ここで質問なのですが、彼は責任感が強いと言えるのでしょうか?
決断力とは、言ってしまえばリスクがあることも平気でやること。思慮を合わせもっている人ならばいいのですが、時として思慮の浅さと無責任さが決断力につながることも、忘れてはなりません。
責任感ゆえに無責任になることもある
こっちは実例はないのですが、思い当たる節はあります。
エニアグラムという心理学の、タイプ6に分類される人たちが、まさに「責任感が強すぎるからこそ決断力も責任感もない人になる」の典型のような気がしています。
タイプ6の人たちは、大体の書籍に「責任感が強く、人や指示に対して忠実な人たち」と書かれています。
ですが一方で「優柔不断」「他人の承認や支えがなければ物事を決められない」といったような記述も多くみられます。
要するに、決断力のなさと責任感の強さは同時に現れてもおかしくないということですね。
責任感があって決断力がない人の心理
ここでちょっと、彼らの心理について考えてみましょう。
まず前提として、彼らは責任感が非常に強いです。というか、以上に強いと言ってもいいです。
例えば「自分が決めたことは自分で責任を持たねば」と強く思っていますし、同時に不安も大きいので「この決断をしたらこういう問題が発生して、それを解決しようとしたら別の問題が……」とかなり複雑な思考をしていることも少なくありません。
そうやって問題や決断の責任を重く捉え、色々と堂々巡りの中で思考を続けた結果、最終的にある考えに行き着きます。
「もう責任を負いたくない!決断するのが怖い!」と。
タイプ6の人たちは責任感が強すぎるあまり逆に無責任な態度をとる時もありますし、思慮深すぎて嫌になった結果思考を放棄する時もあります。
その結果が決断力のなさという形で表出することがあるのです。
要はアレですね。「決断の責任が重すぎて自分では背負えない」と考えてしまう系の。
だから決断する時に萎縮し、逡巡し、最後に「もう知らん!」と放り投げる、と。
ある意味無責任の極みともとれますし、責任感が強すぎるとも言えます。
責任感強き故に責任を捨てた男……いや、何でもないです
決断力なしで責任感が強い場合が多い
タイプ6……というか日本人に多いパターンですね。決断力はないけど、任されたことや指示を受けたことに対して責任感が強い人。こういうパターンも結構あります。
例えば自分ではものを決められないけど、「やれ」と言われたことは絶対にやり通す。あるいは人が決めたことに対して律儀に責任を負い、自分で決めたわけでもない責務を全うしようとする人も多いです。
これらの人々に責任感がないと言えるでしょうか?私には、社会が規定した責任感をそのまま強く持っている人のように見えてしまいます。
責任感が強いからと言って、決断力があるわけではない。日本人の多くはその特徴に当てはまるのではないでしょうか。
結局責任感は決断力とあまり関係がない
というわけで、私の答えはこれです。
結局スパスパと物事を決断するからと言って責任感もあっていざという時に頼れる人とは限りませんし、決断力がないからと言ってその人に責任感がないわけでもありません。
今回はエニアグラムのタイプ6を引き合いに出しましたが、こういうタイプは、この記事を読んでくださっている方の中にも実例が結構いるのではないでしょうか?
一概に責任感と決断力を結びつけたり安易に一律化して定義せず、その人個人を見ていけるような人になっていきたいものですね。
コメント