今回はユング心理学より、外向的感情について軽くまとめてみようと思います。
ガチ記事と異なり、こちらは比較的さっくりを目標にやっていければと考えています。
私なりのガチ考察が見たいという方は以下のページをご覧ください。
外向的感情型のあり方
感情という名前がついているだけあって、彼らは感情に生きています。
ですがこれは思慮が浅いというわけではありません。外向的感情を指標する人たちは思慮深く、状況に合わせて的確な判断をし、うまくその状況に順応します。
例えば周りの人たちと仲良くしたり相手と円満な関係を築くのはもちろん、周囲の気持ちをうまく操って自分のお願いを自発的に聞きれるように仕向けることも可能です。
要するに人ありきの心理機能ということですね。能力も性質も他者との関わりに特化していると言っても過言ではありません。
ではこのタイプの人たちが見せる感情や望むものがどこからくるものなのか?
それは、社会や周囲の感情由来のもの。つまり外向的感情にとって、自分の感情とは外部(客体)から取り入れたものと言っても間違いではありません。
ある意味では、仕組みや考えを外部から輸入している外向的思考とは対をなしていますね。こちらは感情を外部から輸入しています
では彼らの示す感情は偽りなのかというと、そうではありません。これらは一種の順応行為であり、この「自分の感情と周囲の思いや社会の欲求をリンクさせる」という性質があるからこそ周囲と良い関係を築けるのです。
例えば誰かが風邪で寝込んだ場合、差し入れの栄養ドリンクを持っていのいちばんに駆けつけてくるのはこのタイプです。何なら頼めば家事すら当然の顔をしてやってくれるでしょう。
一方でユングはこの外向的感情を「美しいとか良いと思うからでなく、美しいとか良いと言う方がふさわしい」と代弁しています。
長短はまさに裏表、ということですね。
「客体」的感情?
当然、人間である以上外向的感情にも自我は存在しています。ですがそれらは多くが外部の空気や雰囲気と混ざり合っており、その場にふさわしいものやその場で望まれるものに収まりがちです。
例えば誰かと会ったときには「あなたと会えて大変嬉しいです!」と本心から言ったり、果ては社会的に「素晴らしい」と言われるものに心を打たれたり……。
これらは決して嘘っぱちではなく、紛れもない本心です。
要するに、ただただ無意識に周囲と自分の感情をリンクさせているだけです。
そんな性格ゆえか、結構形式通りだったり教科書通りのことを言っている時が多いのも特徴です。
例えばユング心理学に凝ってる外向的感情がいたとして、その人が言う言葉の多くはユングの受け売りだったり教科書に書かれている内容の反復だったり……こういうことが往々にしてあります。
ユングは「客観的状況や普遍妥当な価値と一致している」とも語っており、外向的感情はそういう意味で客体ーー周囲と結びついています。
この客体と結びつくというのが結構面白くて、たとえば美術品の鑑賞から副業選び、果ては恋人や配偶者を選ぶ時でさえ、客体すなわち一般的に良しとされているものを選びます。
要するに流行を追いかけるタイプというわけですね。周囲がいいと言えばいい、悪いと言えば悪いと感じるタイプです。
一見すると風見鶏ですが、むしろそういう性質があるからこそ優れた調整役になったり、みんなに好かれる人になったりできるわけですね。
客体的な感情(みんなと共通の感情)を持つことによって絶大な権力を手にしたり多くのファンや信者に囲まれるのも、このタイプの強みであり恐ろしいところと言えるかもしれませんね。
もしたまに見せる本音が自分への敵視だった時、背筋が凍りますね。いろんな意味で。
ちなみにユングは「気取り、気まぐれ、信用できないという印象を、よりひどい場合にはヒステリーという印象を与えてしまう」と言っていますね。外向的感情嫌いかよ。私もですが
外向的感情の隠された本音
さて、では彼らの隠された本音(外部に影響しない紛れもない本音)はどこにあるのかという話ですが……これは後述しますが裏の内向的思考にあります。
これはユングとは別の人の言ですが、曰く批判が過ぎる思考判断力」「氷の塊で頭にガツンと一撃を食らったかのよう」とのこと。
要するに完全なる不意打ち、意外な方面から意外な人に一撃食らわされる感じですね。
これまで仲良くしており、外向的感情の人と仲良くなってきて、ちょっと調子に乗り始めた時、唐突に否定的な発言が飛び出してくる……これは、割とよくある外向的感情からの「氷塊の一撃」パターンのようです。
元々人間関係重視のタイプだけあって、付き合っている相手の長所と短所をしっかりと把握しやすい人たち。それだけに、短所の指摘が的確なんですよね。的確だからこそ、刺さりやすい。
ある意味、本音は隣人や近しい人たちへの否定的な発言にあると言ってもいいのかもしれません。
劣等機能:内向的思考
外向的感情の裏にあるものは、内向的思考です。
彼らに眠る内向的思考とは何なのかと言えば、ユングが言うには「感情の奴隷」です。
曰く、「思考の持つ厳格な理論が感情にそぐわない結論を押し付けてくるときにだけ抑制される。しかし感情の召使としてなら、より的確に言うと奴隷としてなら、許される」とのこと。
要するに色々と考えはするものの、あくまで自分の客体としての感情、つまり場の空気を正当化するための後付けの理屈でしかないということですね。
やはり劣等だけあって、その思考はどこか原始的でガサツというか、テキトーというか……とにかく、解像度がどこか低いです。
そもそも小難しい理論を形成するところに長所はないタイプ。小難しい理論を理解するまではできても、自ら体系立てて新理論を形成するには相当な労力を要する人たちと言えるでしょう。
それこそ、色々と考えて小難しい理論を組み立てるよりはプレゼント選びとか人助けに頭を働かせるタイプですね。人が絡むと頭がフル稼働する反面、物事を深く考えることにはあまり頭が働かない傾向があります。
一方で否定的な様相を帯びており、これは先述の通り氷塊で頭をぶん殴られるような衝撃を相手に与えがちな一言として現出します。
なんだかんだ好きになりつつある相手に突然全否定されたら面食らいませんか?あれに近いことをやらかすのがこのタイプです。無意識に
思考機能抑圧の末
先述の通り、とにかく否定的な面がたまに出る外向的感情。当然当人たちはそういった感情を覚えていないわけですが……それでも、無意識にこういったネガティブ感情を封印しようと抑圧しているところがあります(エニアグラムのタイプ2に多く見られるタイプ)。
そして抑圧すればするほど、物事に対する否定的な一面が目立つようになっていきます。
何度も言いますが氷塊の一撃ですね。突然否定的なことを言い、パッと忘れます。
人々の前で明るく振る舞い実際に明るい性格をしている彼らですが、無意識下にあるのは否定。つまり暗い感情です。
このくらい感情こそが内向的思考。自分の見知らぬほど内側のところで、この内向的思考は冷笑的、否定的に物事を捉え、それらが抑圧されればされるほど漏れ出ていってしまうのです。
それらが爆発すると、最後にはついに物事の全てを否定し始めます。
簡単に言えば、哲学的なニヒリズムですね。「所詮○○にすぎない」という完全否定なスタイルの思考が出来上がり、否定否定の繰り返しで物事を暗く見るようになっていきます。
「この世は価値のない物で溢れている」とか「私は所詮けし粒のような存在にすぎず、結局どこまでいっても価値などない」とか言い出す危ない人の出来上がりですね
所感・個人的に思う外向的感情型
周囲の感情に従い、自分自身の軸をこれといって持たない。こう考えるとなんだかつまらない人で短所のように聞こえますが、決してそういうことはありません。
むしろみんなが自己主張ばかりしていては、世の中は混沌としたものに成り果ててしまいます。ある意味、秩序を守るのにもっとも重要な役回りを担う人たちと言っても過言ではないでしょう。
調整役というやつですね。このタイプはまさに人々を集め、そして間を取り持つキーパーソン、ハブのような役割を担うことが多いタイプなのです。
そんな性格ゆえか、政治はかなり得意そうですね。
多くの人と繋がってマンパワーと賛成票を集め、最後には大人数という数の暴力であらゆることを成し遂げ、あらゆる外敵を打ち破っていく。とんでもない恐ろしさを持った人たちです。
もしもこのタイプに嫌われたり持ち合わせた内向思考の発露先(つまり標的)に選ばれた場合、相応のダメージを覚悟する必要があるといえるでしょう。
そんな恐ろしい外向的感情を持った人たちですが、基本的にはいわゆる「いい人」が多いです。というのも、世間がよしとする道徳規範や人道というものにも自分をリンクさせているからです。
そのため風邪を引いて寝込んだときに栄養ドリンク片手に真っ先に駆けつけてくるのはこの人たちですし、孤児や困窮者のための養護施設を善意で作り上げるのもこの人たちです。
その慈悲は決して偽りではなく、紛れもない本心からくるものと言っても差し支えありません。
一方でシニカルで否定的な一面があるのは、何とも面白い話でもあります。
むしろこっちが自我と言ってもよさそうですね。私はこちらを、彼らの紛うことなき本音と見ます。
世の中を否定的に見るからこそよりよくしようと思えるし、人生を無駄と思うからこそ自我よりも他者を優先する。そういう人たちです。
まとめ
というわけで、今回は外向的感情型の人についてまとめてみました。
あかつきちゃんは「自分がないのが自分」と評していましたが、実際は「無意識レベルで自我よりも周囲を優先している」というのが正解なのでしょう。
煮え切らないのはちょっと気になるポイントですが……調整役として、こういう人たちも重宝していきたいですね。
今後も適度に各心理機能の解説をしていきたいところ。よろしければお付き合いいただけますと幸いです。
コメント