エニアグラムにはセンターという概念があり、それぞれ本能(ガッツ)、感情(ハート/フィーリング)、思考(ヘッド)の3つのセンターが存在しています。
今回はその中でも、感情センター(ハート/フィーリングセンター)について取り上げていこうと思います。
センター全体の説明は以下にまとめていますので、「センター自体よくわからないよ」という方はまずそちらをご覧いただけますと幸いです。
こちらもどうぞ
本能、感情、思考?3つのセンター
概要
構成タイプ
タイプ2、タイプ3、タイプ4
まずはざっくりと内容を確認してみましょう。
エニアグラム書籍としてしばしば活用されているエニアグラム基礎編には、このような記述がありますね。
タイプ2、3、4は、自己イメージ(偽り、あるいは思い込みの自己への執着)にかかわっている。
自分自身について信じているストーリーや資質が、素の自分であると信じている。
自我の防衛の下に、かなりの「恥」の感情を抱えている。
簡単にまとめると、以下の通りです。
- 自己イメージに執着
- イメージする自分=本来の自分という思い込み
- 恥の感情がキーワード
簡単に言えば、セルフイメージの人ですね。自分の理想の姿を特に強く思い描く人たちであり、常にセルフイメージと隣り合わせに生きている人たちです。
感情に根差す
感情に根差す……と言えばかなりの激情家のようなイメージを抱くかもしれませんが、ここで言う感情はそういう意味ではありません。
引用元からもわかる通り、感情センターは恥の感情と強く結びついています。
簡単に言えば、「こうありたい」という自分と実際の自分とのギャップを感じる心ですね。
無意識下で本当の自分と理想化された自分の違いに悩み、それを恥ずかしいと感じると。これが感情センターのキーワード「恥」の正体です。
感情センターの行動は、その多くが恥の感情に根差しています。
理想の自分
感情センターには、形は違えど、「こうでありたい」という理想の自分が存在します。
例えばタイプ2だと優しい人、タイプ3だと有能な人、といった具合ですね。

タイプ4は……何というか主人公ですね。うん、主人公主人公
その「こうであってほしい」という自分こそが、感情センターを形作る核となる部分です。
感情センターは常に「こういう自分として見てほしい」という理想像を演出し、理想通りの形で人々の目を引こうとします。
感情センターは、形は違えどどのタイプも「周りを認めさせることで人の輪に入り、自己を確立させる」という戦略を採用しているところがあるのです。
関心と恥の感情
感情センターにはそれぞれ理想の自分があり、理想通りの自分を演出することによって周囲からの関心を得ようとしています。
幼少期にありのままの自分を認められることがなかった。これが大きな引き金となって、認められる自分を無自覚に探し求めるようになったわけですね。

端的に言い表すなら、「親の理想通りのいい子ちゃんじゃなきゃ認めません」みたいな?
最たる例として、タイプ3と英才教育の関連性とか考えてみるのも面白い……かも?
エニアグラム基礎編に、面白い言葉が載っています。
「これが私ーーそうでしょう?あなたも気に入っているでしょう?」
これこそが感情センターの願いと言えるでしょう。
感情センターは自分が望んだ通りに見られたいという願望がある。これが根幹です。
アイデンティティと敵意にまつわる問題
感情センターを示すテーマとして「アイデンティティ」「敵意」というワードも存在しています。
感情センターは自分が望む通りの人物として見られることを強く望んでいます。これがアイデンティティとして強く定着するわけですね。
そして、もし望んだ通りの人物だと思われなかったら(アイデンティティの否定)、非常に強いショックを受けます。
もし自己イメージとかけ離れた印象を持たれてしまったら……感情センターは恥の感情と同時に、強い敵意も覚えます。
これもエニアグラム基礎編からの引用ですが、以下のような感情を抱くことになるでしょう。
「あなたは私が望んでいるように愛してくれないから、嫌い!」
感情センターにとって、アイデンティティとは愛されるための唯一とも言える手段になります。その愛されるためのただ一つの方法を否定する人物には、かなりの敵意を持つというわけですね。
アイデンティティから見る3タイプ
タイプ2
人からよく思われることに主眼を置いているタイプ。そのため、必然的に自己イメージは外部に依存するようになります。
タイプ2は、自分の正直な気持ちがわからないという欠点を抱えています。それは周囲からの好意的反応が自分の存在を認める/認めさせるための手段であるという強い思いから来ているものです。
親しげだったり優しかったりするのは、自尊心を高めるための手段であると言えるでしょう。
タイプ3
自己イメージと外部からの評価の双方を維持することに力を入れるタイプ。総じて自分を有能であると感じなければなりませんし、それと同じくらい周囲から評価されなければならないと考えます。
「達成する人」と言われるのも、周囲に価値を認めさせる最もわかりやすい手段が目標の達成であるという事実から来るものでしょう。
内外両方から「素晴らしい価値のある人」というイメージを持たせたい人たちですね。
タイプ4
タイプ4も人から認められるための自己イメージを築く点は変わりませんが、それはかなり内向きで、何よりまず自分自身の中でアイデンティティを確立させたいと感じています。
しばしばドラマチックに自分自身を演出しようとするタイプですが、そうすることで「自分は他とは違う」「自分はドラマチックな世界に生きている」というアイデンティティを得ようとすることの表れでしょう。
「他と違う」という気持ちは優越感になることもありますがネガティブな意味を込められていることも多く、しばしば疎外感を覚える人も多いです。
まとめ
今回は3つのセンターの中でも感情センター(ハート/フィーリングセンター)についてまとめていきました。
3タイプとも形は違えど何らかのアイデンティティがあり、それに沿って生きようとしている人たちですね。
その心は「人から自分のアイデンティティ通りに見られたい」という願望があり、そこから外れた人には強い敵意を覚えるでしょう。
人間誰しも「こう見られたい」というアイデンティティはありますが、それが特に強いタイプということですね。
今回はここまでです。他にも時に真面目に、時に好き勝手にエニアグラムはじめいろいろなことを語っていますので、興味がおありでしたらいくつか覗いていっていただけると嬉しいです!
筆者:春眠ねむむ
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