今回は初心者向け自重版です。刺激がほしいという方は以下よりお飛びください。
タイプ1と言えば、至って真面目な性格で知られています。
常に「こうあらねば」という完全な姿を目指してストイックに努力を重ねていくことから、「改革する人」とも言われていますね。
タイプ1の特徴
タイプ1は、真面目でストイックな性格で知られています。当人たちは否定するでしょうが、求めているのは常に高みにいる自分。そのために足りていない部分を見つけては是正を繰り返しています。
「これこそが完璧な姿だ!」というよりは、「ここはどうにかならなかったのかな?」みたいな思考回路の場合が多いですね。
何らかの理想像を持っており、そこに向けて世界を動かしたいという欲求を持っている人たちですね。
よくやるよ……
私は自分の世界で好き勝手やりたいですね。清きに魚も住みかねて……
性格
しっかりしている人が多いタイプという印象ですね。少なくともちゃらんぽらんに好き勝手やりまくるタイプではないでしょう。
問題解決を意識上で心がけているかは人によりますが、少なくとも現状ある人や物事の欠点をどうにかしたいと思う人たちです。
また、自分の理想が高いと気づいているかどうかを問わず常に高い理想像を持ち、そのためにできることをとことんやっていくストイックさがあるのも特徴ですね。
そんな性格なので、当然中身は「べき」思考。「こうした方がいい」ではありません。「こうすべき」というのが正解です。
自分の中に確固とした正解を持っており、それを基盤に立ち回るような人と言えるでしょう。
清廉潔白
タイプ1は物事が完璧でもない限り、必ずと言っていいほど何らかの欠点に目を向けます。仮に自分が目指す完璧の形になっても、また別の欠点が気になり始める人も少なくないでしょう。
そしてその完璧に向けた飽くなき改革・是正の姿勢は、効率化や合理化だけでなく、人間性の向上にも向けられます。
「自分を含めたすべての人が善良で清廉な世界を生きること」。これはタイプ1ならば誰もが持ち得る目標です。
仮に目標と言えるほどに意識していなくても、人間的にダメな人を見ると「何なんだ」とちょっと困惑したり、場合によっては怒りを覚えるかもしれません。
このように、タイプ1は質の高い人間を目指す側面があるのです。結果、清廉潔白な好人物であることも決して少なくはありません。
実際は汚いことなんてやったもの勝ちな側面ありますけどね、世界は。
高潔さがむしろ弱点になることもあります
「べき」思考
タイプ1を象徴するものとして、「べき」「ねば」思考があります。要するに、「こうあらねば」という思いが無意識に強いわけですね。
タイプ1には、自分が理想とする世界や自己像があります。そしてその多くは、そうあって当たり前のものです。
そのため、「こうでないと」「こうあるべき」といういわゆるべき思考に陥りやすいタイプと言えるでしょう。
清廉潔白であることも、「清廉でなければならない」と自分に言い聞かせた結果の産物。全てを取り払った素の自分が、必ずしも善良とは限らないのです。
あくまで「こうあるべき」に突き動かされて生きるのが、タイプ1の日常。
その道は当人が自覚している以上に険しく、難しいものであることも少なくありません。
恐れと求めるもの
どのタイプにも、恐れているものと求めている姿が存在します。タイプ1の場合は、以下の通りですね。
恐れ
→堕落した悪人で欠陥があること
欲求
→高潔でありたい
恐れるものは、自身の堕落。悪徳官吏のように私欲を満たすためだけに動く、どうしようもない極悪非道の輩になることをひどく恐れています。
「自分はそうはなりたくない」と願い、そのために清廉潔白な人格者であることを望んでいるわけですね。
完璧で非の打ちどころがない究極の人格者。それがタイプ1の望む姿と言っても過言ではありません。
その人格者になるために自分をせき立て、悪の道に走ることを許さず、人によっては些細な欠陥やちょっとしたたるみすら許さない厳格すぎる人になることもあります。
当然自分だけでは不公平なので、他人にも同じくらい人格者になることを求めます。
そうやってみんなで人格者に近づこうとする。これがタイプ1のよくある姿と言えるでしょう。
親と子の関係
人格者を目指すと言っても、人格者の方向性は人や状況によってまちまちです。必ずしも、タイプ1の目指す人格者が万人の手本となるものであるとは限りません。
ですが、タイプ1にとっては自分の目指す世界こそが最善です。そのため、よく周囲の”間違い”を正そうとします。
それはまるで教えを説く今日そのようかもしれませんし、親が子供を叱りつけるようなものに見えるかもしれません。
とにかく、タイプ1にとっては、自分が目指す世界こそが最もよいもの。そこまで思ってはいなくても、多くは理想に向けての歩みを止められません。
「自分が一番正しさをわかっている」
その一種の慢心から、タイプ1はよく親と子の関係を周囲と結びたがるのです。
「自分は全部をわかってるんだ」系の痛いアレですね
「怒り」に囚われる
タイプ1は理想と現実のギャップを感じることが多く、その内面には様々な怒りを抱えています。
理想に届かない自分に対する怒り、正しいことをしない周囲への怒り、正しい生き方を許さない周辺環境への怒り……本当にいろいろなものに対してフラストレーションを溜め込みやすいタイプと言えるでしょう。
ですが、その怒りが表面化することはほとんどありません。多くは「怒るのはよくないこと」と抑圧され、当人たちも気づかない中で完全に押さえつけられていることが多々あるのです。
怒るということは、自分の感情をコントロールできないということ。そのみっともない姿は、決してタイプ1が望んだ人格者の姿ではありません。
そのため、内心ではかなりイライラしていても、決して怒りを外に出すまいとしているのです。
正そうとしているだけ
ほぼ唯一、タイプ1が自分の怒りを表現する方法があります。それが、”正すこと”です。
タイプ1は心に余裕がなくなればなくなるほど、「自分だけが本当の正しさを知っている」という思いを抱きやすい人たちです。
そのため、イライラを「間違っている」という事実に変換し、それを正すことで自分のイライラを解消しようとするわけですね。
「自分は怒っているんじゃなくて、間違いをどうにかしようとしているだけ」
こんなことを考えながら、タイプ1は怒りの源を是正しようとします。
これがタイプ1の怒りの発散方法です。
ストレス下ではタイプ4へ
タイプ1がストレスを感じると、タイプ4のような行動が目立つようになります。
例えば急にわがままで浮気性になったり、気晴らしやガス抜きが多くなったり、何かと悲劇の主人公ぶったりと、今までのきっちりしたタイプ1の中に隙のようなものが生まれます。
これは苦しい状況から逃れて自由になりたい気持ちの表れですが、当のタイプ1はそんな自分の気持ちなどほとんど理解できません。
というより、あってはならないものと言うのが正しいでしょうか。自分の高潔さから離れた堕落した気持ちの発生など、タイプ1にとってはまさに恐れていた事態そのものです。
そのため、タイプ1は自分の堕落が許せません。常にダメな自分を責める声に苛まれながらも好き勝手やでたらめな感傷をやめられず、どんどん苦しい状況に追い込まれていきます。
どこまでもダメな自分を許せない自分がいて、そいつが地の果てまで追いかけてボロクソに貶してくるわけですね。
タイプ1に安息の瞬間はない……
精神が成長するとタイプ7に向かう
一方、精神的に成長(統合)を果たすと、タイプ1は健全なタイプ7のような振る舞いが目立つようになります。
例えば「べき」思考の堅苦しい側面がなくなったり、子供っぽさをいい意味で発揮したり、日常の刺激や娯楽を抵抗なく享受したり……。とにかく、角が取れた人物になるわけですね。
ここまでになるとタイプ1らしい張り詰めた感じや過剰なまでの厳格さがなくなり、のびのびと生きていくことができるようになるのです。
義務感から解放され、やるべきことでなくやりたいことを主軸に動き、もはや善悪や正義に縛られることはなく、自分が思うまま、あるがままに生きる。
通常のタイプ1にとってこれは堕落を意味するかもしれない恐ろしいことですが、成長の上で自分を解放することは避けて通れないことなのです。
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タイプ1の退行(分裂)・統合
ウィング
エニアグラムではウィングというサブタイプが存在しています。それぞれ隣り合ったタイプ同士、タイプ1ならばタイプ9、タイプ2と溶け合ってウィングという概念が完成します。
タイプ1ウィング9(1w9):理想主義者
基本的に一人でいること、世間の喧騒から身を引くことを好むタイプ1。主に自分の理想を追求することをよしとしている人たちですね。
純正のタイプ1と比べて、理想を押し広めようとするよりも、自分の中で静かに理想の世界を持っていることが多いです。
理想主義者の名前通り、実際的な改革よりも脳内の理想の中にいることを好むタイプ。
そのため外部の情報をあまり受け付けず、やもすれば「自分の理想を共有できない相手と関わる価値を感じない」と閉鎖的になってしまうこともあります。
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タイプ1ウィング9「理想主義者」とは何者か?
タイプ1ウィング2(1w2):擁護者
文字通り弱者の擁護者。もとい、自分の理想を世界に浸透させていきたいと願う人たちです。
もう一つのウィングと比べるとはるかに熱量があり、感情的で、自分の思想を惜しむことなく主張していきます。
指導者気質な人たちであり、気づけば自分を中心としたコミュニティを形成する/したい欲求に駆られるタイプですね。
エネルギーはあくまで外向き。自分の理想のために世界で戦い、外界にどんどん「こうあるべき」「こうあってほしい」を主張していくタイプですね。
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タイプ1ウィング2「擁護者」とは何者か?
まとめ
今回は絵にエグラムタイプ1について真面目に解説していきました。
このタイプほど真面目な人たちはいませんが、同時に「真面目で清廉潔白な人物を演じなければならない」という強迫観念に駆られた人たちです。
同時に世界へも自分の理想を要求しますが、これも「自分は正しい」とどこかで思っているがゆえ。健全性を損なえば損なうほど、自分の正しさを当然のように外界に押し付けるようになっていきます。
ガス抜きや本当の自分の解放をどこまでできるかが、このタイプの健全度に大きく関わります。
ぜひとも本当の自分を否定せず、理想の自分でなく等身大の自分と向き合い、その上で理想を目指していってほしいところですね。
というわけで、今回はここまで。他にもさまざまな記事を上げていますので、エニアグラムに興味を持ったよーという方はいろいろ見てやってください。
たまに毒物も混じっているので、用法、用量にご注意を。
筆者:春眠ねむむ
X :@nemukedesiniso
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