エニアグラムを読み解いていくと、時折矛盾した組み合わせが目に付くことがあります。
7w8ソーシャル優位型なんかは、まさしくその例の一つですね。
7w8は他者を押しのけてでも目的を達成したい。タイプ7のソーシャル優位は善良かつ控えめでいたい。この相反する組み合わせは、はっきり言って謎に包まれています。割と意味不明で不安定な様相を呈しています。
今回は、そんな謎と不安定さに満ち満ちた7w8ソーシャル優位の組み合わせについて考えてみましょう。
7w8の強烈さとソーシャルゆえの利他主義
7w8については以下の記事を見ていただけるとわかりますが、とにかく目的主義者で得られるもののために全力を傾けます。
詳しくはこちら
タイプ7ウィング8(7w8):現実主義者
一方、タイプ7のソーシャル優位は完全な利他主義者。ソーシャルの本能に従い人間関係を重視するため、ウケが悪い我欲は封印し自己犠牲的に動きます。
7w8が我欲全開。ソーシャル優位は人のために遠慮する。完全に矛盾しています。
その結果どうなるのかというと、考えられる人物像は以下の通り。
- 自分の溢れる欲望を悪と断ずる
- 善良で我欲を完全に見せないように振る舞う
- 人の楽しみと欲望のために動く
- 基本一人でいたい
その性質はアンチわがまま。自分の強すぎる欲求を悪と断じ、世のため人のために動く自分をよしとします。
ソーシャル優位だからこその欲求
なぜそこまで善良さにこだわり、いい人であり続けるのか。それは、ソーシャル優位だからというのが答えになります。
ソーシャルの生得本能が強くなると、自然と承認欲求が強まります。集団に属し、地位を得ることで自己価値を実感するからです。
7w8ソーシャル優位が我欲を封印し世のため人のために動くのも、潜在的に「認められたい」「尊敬されたい」という欲が働いているからです。
集団に属し、あわよくば一目置かれる場所に行くのに都合がいいような振る舞いを見せる。これはソーシャルの鉄則です。
7w8は我欲が特に強いからこそ、ソーシャルの本能が「我欲を解き放つのはまずい」と警鐘を鳴らし、あらゆるものを我慢するいい子属性が出来上がっていくのです。

使い捨てにされて終わりのケースも割とありますけどね。結局我欲を封印してもダメじゃねーか
特に強い我欲には特に強い封印を
貪欲と我欲に対するカウンタータイプ。貪欲の囚われや欲求に逆行しなければならないという強い強迫観念にとらわれているのが、タイプ7ソーシャル優位の特徴と言えるでしょう。
我欲がかなり強いのが、ウィングが8に傾いたタイプ7。つまり7w8は我欲マシマシです。
この溢れんばかりの我欲と飽くなき暴食の魂を封印するには、当然ながらより極端な逆行による封印が必要になります。
となれば、自分の貪欲をなかったことにするために、極端なレベルで他者に尽くす。これしかありません。

うわぁ……完全にダメ人間製造機じゃないですか……。
実際問題、甘やかして自分を徹底的に犠牲にしないとやってられないって感じですね。生きにくさの塊じゃねぇか
欲しいものはあえて見ない。見えたとしても絶対言わない。最低限以下の惨めな生活を送りながら、ひたすら他人のために尽くす。ここまでする人もいるでしょう。
大好きなホールケーキは一番小さいものを選び、焼肉では肉が食べたい時ほど焦げた野菜を口にし……元来、7のソーシャル優位は自己犠牲精神が徹底しています。
本来は我欲の塊である7w8の場合は、この我欲をなかったことにしなければならないため、7w6よりもさらに極端な方法で自己犠牲を展開します。
すべては、「いい奴」という看板を掲げて集団に属するため。
健全度が下がれば下がるほど、その犠牲者魂は痛々しいものへと変わっていきます。
優越感への変貌
タイプ7のソーシャル優位の我欲は別のものへと変貌し、完全に代替品として作用します。
封じこまれた我欲の代替となるものが、優越感と承認欲求。
道徳的、君子、善良な人。これらは、タイプ7のソーシャル優位が集団に属するために身に付けた看板です。
この善良さにかけては、タイプ7は「他人より遥かに上」というタイプ1も真っ青な優越感を持っています。
ある意味では、善行を積むことで善良ポイントを稼いでおり、この善良ポイントを勝手に周囲と競って勝って優越に浸るわけですね。
「善良度合いでは誰にも負けません」
これは、タイプ7のソーシャル優位が集団に自己アピールする強力な手段として作用します。
7w8の場合は、この善良アピールが結構うるさい傾向にあるでしょう。善悪の物差しを人に押し付け、「ほら、お前よりいい奴だろ」とかやり始める、もはやいい奴の定義から大きく外れた人にすらなるかもしれません。
もともと攻撃的なタイプなので、善人でいるためには手段を選ばないかもしれませんね。
このように、ソーシャルの本能が封印した我欲は優越感となり、7w8の場合は特に強烈な優越感として作用するわけです。
孤独を求めるという一面
善良ポイント獲得のために徹底した自己犠牲を展開していては、当然ながらいずれ疲れ果ててしまいます。
7w8は他のサブタイプでも「一人の方が気楽でいいや」とか考えるタイプ。とすれば、ソーシャルの本能に振り回されて疲れた時は、特に一人の時間を強く欲するでしょう。
というより、基本は単独行動の方が気分がいいかもしれませんね。
というのも、7w8ソーシャルにとって、集団や他人とは自分を捨てて尽くすべきもの。我欲を封印するため派手に尽くし、無私の心をひたすら演出し続ける、ソーシャルな場や他人の前は、とにかく身を置いていて疲れる場所なのです。
7w8の「一人の方が気楽でいい」という心はソーシャルの集団疲れによってより加速し、一人で何にも縛られず生きることを渇望していても不思議ではありません。
社会に顔を出して人々を助けては、気が済むと引きこもって孤独の中で生きる。この繰り返しこそが、7w8ソーシャル優位の理想です。
気力がある時以外は外に出たがらないので、ある意味ではソーシャルらしくありませんね。
まとめ
タイプ7の中でも、7w8は自らの欲求がかなり強いタイプ。ソーシャルの本能はその我欲を決して許さず、極端な方法で無理矢理封じ込めようとします。
7と8の間にあるタイプは、いわゆる「悪」であることにためらいを持ちません。だからこそカウンタータイプの7w8ソーシャル優位は、そんな悪に抵抗するために善であることを強く望むのです。
有り体に言えば、善であることへのこだわりですね。いい人であるためには手段を選ばず、あらゆる方法を用いて善属性を演じ、そうやって集団に受け入れられようとする。
ですが、その生き方は長く続きません。いずれ力尽きてしまいます。
そのため、7w8ソーシャルは孤独という選択をし、人を助けなくていい空間に引きこもるわけです。
裏には承認欲求や善であるという自負心が隠れていますが……まあ、いい奴であることには変わりありません。
今回はここまで。他にもさまざまな記事をアップしているので、興味がおありでしたらいくつか覗いて行っていただけますと幸いです!
筆者:春眠ねむむ
X :@nemukedesiniso
threads:@shunmin.nemui
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